【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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認めたくない悪夢

パドメ達とお茶をして、どれくらい時間が経っただろうか?

 

時を忘れてしまう程、私は幸せだ。

 

 

「サム」

 

 

カリに呼ばれて、私はテラスから中へと戻る。

 

パドメとアソーカは片付けをしていて、奥へと行ってしまった。私とカリはお客様だから、何もしなくていいとも言われた。その言葉に甘えて、私はカリとソファーで待つ。

 

 

「………」

「何?どうしたの?」

 

 

カリを見ていると、視線に気付いたのか振り向く。

 

 

「ううん、ただ……カリがここにいて安心してるだけ。」

「どうして?」

「カリは私よりしっかりしてるし、私を信頼してくれてる。だから一緒にいて、幸せだって実感できる。」

 

 

私の言葉に、カリは複雑な表情を見せる。

 

カリはそうではないらしく、あの子にとっての幸せとは別物らしい。

 

 

「………?」

 

 

また、声が聴こえた。

 

カリにも聴こえているようで、私と同じように意識を向けていた。聴こえないふりをする私とは違い、カリはその声を寂しそうに聴いていた。私はそれすらもなかったことにして、カリとの会話を続ける。

 

 

「みんなで涼みに行こうよ。」

「………うん。」

 

 

パドメとアソーカに声をかけ、私達はショールを持って展望台へと上がった。

 

星空がとても綺麗で、その中でのお喋りは楽しかった。

 

 

「アソーカ、明日の予定は?」

「オルデランへ行くアミダラ議員の護衛よ。」

「明日には現実かぁ。」

「サマンサもカリもお店があるでしょう?」

 

 

パドメとアソーカが明朝コルサントに帰るということで、プチ女子会はお開きになった。今度は私からのお願いで、また集まる約束をする。私の希望通り、パドメもアソーカも喜んで了承してくれた。

 

みんな寝静まった頃、私は一人で再度展望台へと上がった。

 

壁を背に座って夜空を見ていると、また声が聴こえてくる。耳を塞いでも、その声は止まらない。理由は分かっているけど、どうしても耳を塞ぎたくなる。

 

だから、私は暗黒面の力を借りて遮断を続ける。

 

悪夢は早く忘れたい。悪夢を見るくらいなら、暗黒面の力を使う。使い方さえ間違わなければ、問題はないはずだ。

 

暗黒面は私が欲しいものをくれる。

 

なんで今まで素直に使わなかったんだろう。

 

 

「サム」

 

 

顔を上げると、カリが私を心配そうに見ていた。

 

 

「カリ、休んでていいんだよ。」

 

 

カリには無理をしてほしくない。昔の私みたいに。私の心配より、自分を大切にしてほしい。

 

いつも心配してくれるから。

 

でもカリから返ってきたのは、思いもよらない返事だった。

 

 

「休めないよ。」

「え……?」

「サム、なんで暗黒面のフォースを使ってるの?」

 

 

カリの言葉が妙に現実味を帯びていて、背筋が凍る。

 

 

「何のこと?いつもの私でしょ?」

「誤魔化さないでよ。」

「誤魔化してないって。どうしたの、カリ?」

「私が死んだのはサムのせいじゃない。」

 

 

この現実が壊れされたような気がした。

 

ずっと封印していた事実を突き付けられ、カリを睨んでしまう。

 

 

「やめて。」

「サム、分からない?」

 

 

気を抜くと、声が聴こえてくる。

 

それでも聴こえないように、遮断する。

 

 

「何も聴こえない。」

「聴こうとしないからだよ。」

「私はジェダイじゃない!諭さないでよ!」

 

 

消そうとしていた感情が戻ってきて、また暗黒面の力に頼る。そうすれば楽になるから。戻ってきた感情が消え、私は深呼吸する。

 

 

「なんで私が戻ったか分からないの?」

「死んでないからでしょ。」

「それはサムが認めたくないだけ。私がサムのところに戻ったのは、私の意思。サムを助けたかったから。」

 

 

言っている意味が分からず、私は混乱する。

 

 

「サムの前にいるのは、本物の私だよ。」

「どういう意味?」

「私ね、ダゴバに行ったんだ。」

 

 

その言葉に、私は一気に現実を思い出す。

 

ダゴバから、ミディ=クロリアンの故郷へ行ったんだ。それは即ち、カリはフォースの女官に会い、今は全てを知っているということ。もっと言えば、私が何を知っているのか、カリは全部分かっているんだ。

 

でも、それは………

 

 

「結局あんたは………」

「そうだよ。今頃、私の肉体はフォースと一体化してるよ。」

「カリ、」

「ああなることは予期してた。だけど、サムが暗黒面に頼るのは予期してなかった。」

「………」

 

 

ジェダイのようなカリに、私は言葉を失う。

 

段々と、声がはっきり聴こえてくるようになった。相変わらず言葉を理解できないけど、私を諭すかのようだった。中には、私を呼ぶ声もある。また耳を塞ぎ、声を遮断する。

 

何も聴きたくない。

 

あぁ、闇の中に閉じ籠りたい。

 

 

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