【完結】退職(無断)したので、飲食店やります。   作:夭嘉

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新たなる希望(Ⅳ)
砂漠の星へ


タトゥイーンに着いて早々、〈タンティヴⅣ〉が拿捕されたと司令部から報せを受けた。

 

やっぱりそうなったと、私は唇を噛む。

 

拿捕されるのは知っている。だからこそ別ルートで来たんだ。隊員達を見殺しにしたと言っても間違いじゃない。でも、私1人ではあの状況は変えようがない。

 

だから、私は1人でできることをする。

 

 

「それで、私を探しに来たということか?」

「まぁ、そういうこと。」

 

 

そして現在、“オビ=ワン”の住処に押しかけて家主のソファーを陣取っている。

 

何かを感じたのか、私がタトゥイーンの砂漠に踏み入った時、オビ=ワンが現れた。本人は嫌がっていたけど、私はあえて彼の住処に押しかけた。あの付近はタスケン避けの暗示があるし、ゆっくり話せるから。

 

ここまで来た経緯を話すと、オビ=ワンは納得できないと言う。

 

 

「分からないな。」

「なんで?」

「お前の話によれば、カリ・ペレスを失ったばかりだろう。なぜ無理をして来た?」

「無理はしてないよ。」

「気を紛らわせているのか。」

「余計なことを考えなくて済むでしょ。」

 

 

言わなくても分かっているだろうけど、オビ=ワンは私が暗黒面に逃げたことを言及しなかった。ヴェイダーがカリを殺したことは、当然経緯と共に話した。それでも、私を諭すようなことはしない。

 

 

「サム、私の未来も知っているんだろう?」

「知りたい?」

「いや、言わなくていい。」

「分かった。それなら………」

 

 

私はジャンドランド荒野がある方角に意識を向ける。

 

異様な気配を感じる。

 

 

「お前も気付いたようだな。」

「フォースの絆を切りたい。」

「サム、そういう定めだと分かっているはずだ。」

「分かってるよ。」

「荒野は私1人でいい。お前は帝国の目を逸らせ。」

「了解、“マスター・ケノービ”。」

 

 

私の茶化しに嫌そうな顔をしつつも、オビ=ワンは落ち合う場所を指定して私を送り出す。

 

さて、帝国軍を撹乱させよう。

 

オビ=ワンの住処を離れて、私はモス・アイズリー宇宙港に向かった。ドロイド達がこの星に落ちたのは、帝国軍に知られている。この場合、選択肢は限られる。

 

モス・アイズリーに入ると、やっぱり帝国軍がいた。

 

ドッグをチラ見しつつ、ストーム・トルーパーの数を確認する。数はそんなに多くないけど、トルーパーの間では緊張感が漂っている。でも、数だけなら何とかなりそうだ。

 

あのオビ=ワンがいれば、トルーパーに誤魔化すのは楽勝だからね。

 

じゃあ、撹乱作戦始めましょうか。

 

 

「すみません!プロトコル・ドロイドにクレジットを盗まれちゃった!助けて!」

「プロトコル・ドロイドだと!?」

 

 

狙い通り、“ドロイド”に反応した。あとは誘導するだけ。トルーパーの配置を偏らせれば、出立もスムーズに行けそうだ。

 

 

「そのドロイドはどこだ?」

「あっちに行きました!取り返してくれます?」

「ドロイドの他に誰かいなかったか?」

「いないよ。」

 

 

取り返してくれるかという問いに、トルーパーは返事しなかった。トルーパーにとってスリはどうでもいいのだろう。まぁ、私もクレジットはどうでもいいんだけど。問題は、ドロイドだ。

 

トルーパーは教えた方角へ行き、私は密かに酒場へ入る。

 

酒場、カンティーナに入り、まずカウンターへ行った。

 

 

「強めの酒を頂戴。」

「………」

「何?」

「初めて見る顔だな。本当に飲めるのか?」

「飲めるよ。ほら、早く。」

 

 

訝しげな顔をしながら、バーテンダーはグラスを寄越す。目の前で一口飲んで見せると、口角を上げ笑みを浮かべる。最初に提示されたクレジットを渡すと、なぜか半分返された。

 

 

「疑って悪かったな。飲めなかったらぼったくろうと思ったんだ。だが、気に入ったよ。」

 

 

バーテンダーはそう言うと、他の客のところへ行く。

 

問題なく馴染めたようで良かった。

 

カウンターの隅に行き店内を眺めていると、誰かに声をかけられた。

 

 

「あんた、見ない顔だな。」

「旅をしてきたの。」

「へぇ。ここがどういう場所なのか知ってるか?」

「知ってる。」

「そうか。だったら、」

「待て。」

 

 

絡んできた男との間に、違う男が割って入る。

 

 

「俺の連れだ。他所でやれ。」

「テメェ……」

「俺に手を出すのか?やめておけ。ジャバを怒らせたいのか?」

 

 

彼がそう言うと、男は舌打ちして離れていった。

 

振り返った男は先程とは違い、なぜか私に微笑む。

 

 

「こんなところで会うとは思わなかった。」

「………誰?」

「ひどいな。あんたの店の常連だったってのに。」

「え……あっ!!」

 

 

言われてようやく気付いた。

 

以前来店した時は、共和国軍の軍服だった。でも今はブラスターを提げ、前線で戦うような格好だ。店に来なくなったと思ったら、賞金稼ぎをやっていたらしい。

 

 

「印象違いすぎる。」

「よく言われるよ。ここで何やってんだ?」

「いろいろあってね……」

 

 

詳しくは話さなかった。これは私の問題で、彼は関係ないから。ただ単に、気晴らしだと話した。

 

彼は賞金稼ぎをやっていて、時々ジャバ・ザ・ハットの依頼も受けるらしい。拠点はタトゥイーンだそうで、カンティーナにもかなりの頻度で来店するそうだ。〈ホーガ・フォレスト〉に来なくなったのは、彼自身の仕事で私の店に迷惑をかけたくなかったということらしい。

 

客は客だから、気にしなくていいのに。

 

今の店について少し教えた後、彼は外の帝国軍が騒がしいことを私に忠告してから出て行った。

 

オビ=ワンが来たのは、それから半日後のことだった。

 

私の知るあらすじは、あくまであらすじに過ぎない。カリが死んでから、何かが加速しているような気がする。いや、何かが迫っている。

 

気付くべきなんだろうけど、気付きたくない。

 

どうか気のせいであってほしい。

 

 

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