オビ=ワンの隣には、青い目を持った少年がいた。青い目は父親譲りだろう。雰囲気が父親そっくりで、アナキンかと思う程に錯覚しそうだった。
「サム、ルークだ。」
「父親そっくりだね。」
「そんなに似ていますか?」
「ああ、似ているよ。ルーク、彼女がサマンサ・ホーガンだ。」
「〈ホーガ・フォレスト〉のオーナー!?」
「オーナーって呼び方はやめよう?」
どうやら、店の名前は外縁部にも広まっているらしい。あんな小さな店なのに。まぁ客を選ばないから、傭兵や賞金稼ぎが私の店に来るんだ。広まっても不思議じゃない。
「一度行ってみたかったけど、養父に止められたんです。」
「来なくて正解だよ。子供には危ないから。あれ?ドロイドは?」
「外で待たせている。これから我々を運んでくれる船を探すのだ。」
「じゃあ、ベテランのあんたが探して。私がルークと一緒にいるから。」
「お前という奴は………」
オビ=ワンは羽目を外すなという釘を刺してから、パイロットと船を探しに行った。
ルークと2人になると、彼は私に話しかけてくる。
「貴女は僕の父と交友があったと、ベンから聞きました。父はどんな人だったの?」
「お父さんは、うーん………めちゃくちゃ強かった。」
「ヴェイダーはどういう奴ですか?」
「え?」
「ヴェイダーが父を殺したんでしょう?どういう奴だったんですか?父を殺した奴が、どんな奴か知りたいんです!」
そうか、ヴェイダーは憎まれる対象なのか。
奴が殺したのは、カリや他のジェダイだけじゃない。自分も殺したんだ。オビ=ワンも、葛藤しただろう。
「今はヴェイダーのことは忘れて。」
「え……?」
「ヴェイダーが奪ったのは、あんたの父親だけじゃないってこと。」
「……?」
「あ、戻ってきた。」
オビ=ワンは、ウーキーを連れてきた。そのウーキーが、あの有名なチューバッカだ。同じウーキーでブラック・クルルサンタンと会ったことがあるけど、実際に会ってみてチューバッカが普通のウーキーで安心した。
「サム、チューバッカとソロ船長の船に乗せてくれるそうだ。」
「何か言いたそうだね。」
「少しばかり値が張るかもしれん。」
「それを私に言うの?」
「銀河の為だ。“協力”してくれ。」
私の“ステータス”と“財布”はその為にあるんじゃない。
でも、あーだこーだ言ってられない。
「分かったよ。」
私は了承して、オビ=ワンの後に付いていく。ルークは話の意図が分からなかったようだけど、知る必要もないだろう。今のルークに負担はかけられない。
「あんたが船長か?」
「ああ、ハン・ソロだ。仕事だって?」
「そうだ。」
チューバッカがソロ船長の隣に座り、彼はテーブルの上で腕を組む。
「何を運ぶ?」
「我々だ。人間3人とドロイド2体。」
「ドロイド2体だと?」
「何か問題でも?」
「ドロイドは問題じゃない。だが、外の帝国軍を見るにヤバイ仕事らしいな。それ相応の金はもらえるんだろうな?」
ソロ船長の問いに、オビ=ワンは私を指差す。
「彼女が“財布”だ。サムがYESと言えば、それで成立となる。」
つまり、私次第ということだ。
オビ=ワンの答えに、チューバッカは困ったように吠える。だけど、ソロ船長は動じていない。ハットと関わりを持っているだけのことはある。
ソロ船長は駆け引きに強いだろう。
「いくら払える?」
「いや、条件付きの言い値で払うよ。」
「本当か?」
「待ってください!そんな簡単に、」
「大丈夫だよ。」
ルークは、私の素性とソロ船長の図々しさに焦る。
「貯蓄ならある。痛いけどね。だから馬鹿な値段言わない限り、言い値で払えるよ。」
「だが、条件とは何だ?」
「あんたの持つ情報を頂戴。」
「情報?」
首を傾げるルークとは反対に、オビ=ワンは呆れた表情を見せる。
「密輸で使うルート、帝国軍が見落とす不備とか。私の店で活用する。」
「店だと?」
「〈ホーガ・フォレスト〉の営業で有効活用するの。」
「あの店の店主か、いいぜ。じゃあ3でどうだ?」
「分かった。半分は前金でこれ。」
ポシェットからクレジットを出してテーブルに置く。
「残りは着いた後に渡す。」
「分かった。船はベイ94にある。」
そう言うと、ソロ船長とチューバッカの視線が後ろへと向く。
カウンターの方で、店主が私達を指差しながらトルーパーと話している。やはり、ここでドロイドを連れていると目立つ。早々に消えた方が良さそうだ。
「騒がしくなってきたな。もう行った方がいい。」
「そのようだな。」
私達は早々に出て行き、ドロイド2体と合流する。
オビ=ワンとルークが今後のことを話すと、C-3POは回路がショートしそうな程焦る。
「3万クレジット!?!?」
「何か文句ある?」
「大有りです!」
「それは僕も同感です!ぼったくりじゃないか!」
どうやら、ルークとC-3POにとってあの金額は妥当じゃないらしい。でも、未来のことを考えたらこれくらい払っても痛くはない。寧ろ、これくらいの出費で済んで良かった程だ。
「今回しか払わないよ。だから気にしないで。」
「さっさと行こう。サム、ライトセーバーはまだ持っているか?」
「持ってるけど、なんで?」
「後で話す。絶対に売ろうなんて考えるんじゃないぞ。」
「は……?」
オビ=ワンの魂胆が分からず、私は眉間に皺を寄せる。
先頭を進む彼の背中は、身体は衰えながらも心強さがあった。強いて言うなら、デス・スターでのカリと同じ雰囲気を纏っている。嫌な予感を感じつつも、オビ=ワンを信じるしかない。
脳裏には、前世で観たヴェイダーとの対決が思い浮かぶ。
肉体の衰えたオビ=ワンに勝ち目はない。シスに勝てないということは、死を意味する。カリの時と同じように。
ベイへ向かいながら、私は何をすべきか考え続けた。
オビ=ワンの死を避ける為に。