仮眠をしていると、船の揺れで目が覚めた。
というか、寝台から落ちた。
「痛い………」
腰を摩りながらコックピットへ行くと、何やら慌ただしい。
「どうしたの?」
「船が流星群に突っ込んだんだ!」
これは、惑星オルデランの残骸だ。ソロは惑星を吹っ飛ばす兵器なんてないと断言する。でも、それは間違いだ。
帝国には“デス・スター”がある。
現に、デス・スターはスカリフを吹っ飛ばした。兵器は既に完成している。次の攻撃を防ぐ為には、R2が持っている設計図が必要だ。
「戦闘機!?」
「TIEファイターだよ。」
「あれは短距離戦闘機。近くに母船がいるはずだ。」
「逃がすかよ。チューイ、通信妨害!」
チューバッカが通信を妨害するけど、私達の視界には既にデス・スターが見えていた。
次の瞬間、船の航行システムが言うことを聞かなくなった。
「牽引ビームに捕まった!」
「何とか逃げられないのか!?」
「バカ言うな!エンジンが溶けちまう!!」
「じゃあこのまま捕まるのか!?」
ソロとルークが言い争う中、私はオビ=ワンの視線を感じた。
「何?」
「良い案がある。」
それは、床下に隠れるというものだった。この船には、密輸品を隠す為のスペースがあるという。ソロもその事実を認めて、彼は床板を開ける。
ドロイドから順番に床下に降りて、私達は息を潜める。脱出ポッドは事前に射出して、小細工した。あとは、やり過ごすだけ。
やがてトルーパーが侵入してきて、一通り見回った後、船を降りていった。
誰もいないことをオビ=ワンと一緒に確認して、私達は床下から顔を覗かせる。
「よし、出よう。」
「だが脱出はどうする?牽引ビームは厄介だぞ。装置を切らねぇと。」
「私が行こう。」
「何言ってんだ?どうかしてるぜ。」
「そのどうかしてる老いぼれのお陰でやり過ごせたんだが?」
オビ=ワンは不敵に笑ってみせる。
問題は、まだある。オビ=ワンを生きて連れ帰る。オビ=ワン・ケノービというジェダイが必要なんだ。私じゃダメなんだから。
「で、この後は?」
「トルーパーのアーマーを奪おう。成りすまして、脱出路を探れば良い。」
オビ=ワンがそう言うと、丁度スキャン・クルー2人が箱を持って中に入ってきた。ルークとソロがその2人を気絶させ、その下にいるトルーパーを呼び寄せる。そのトルーパーも気絶させ、ルークとソロがアーマーを剥ぎ取った。
そのアーマーはルークとソロに着てもらった。
「では、始めよう。」
ソロは頷いてヘルメットを被り、船を降りて行く。それから合図を受け取り、私達はコントロール・ルームに向かった。管制官は倒れ、最後にルークが追い付きドアを閉めた。
ルークは閉めて早々にソロに怒鳴る。
「なんで撃ったんだ!ステーション中に響くだろ!」
「仕方ねぇだろ!」
「そこまでだ。R2、牽引ビームの動力室を探してくれ。」
R2はソケットに接続して、牽引ビームの動力エリアを探す。
その間、私は放心状態だった。
ふとした瞬間に、カリのことを思い出す。カリはここで死んだ。オビ=ワンもここで死ぬかもしれないと思うと、気が気じゃなかった。
「サム」
「え?」
「私が動力を切りに行く。ここにいてくれ。」
「待って!」
向かおうとするオビ=ワンを引き止める。これを最後にしたくない。そんな気持ちが先走って、私が行くことを伝えた。
だけど、却下されてしまった。
焦るようにルークも行きたいと言うが、それも断られてしまう。
「お前達はドロイドを守るんだ。」
「でも、」
「ルーク、気持ちは分かるが、大勢で動けば見つかってしまう。」
「分かりました……どうか気を付けて。」
「待ってよ。あんたにはまだ役割があるでしょ。」
私の言葉に、オビ=ワンは笑みを浮かべる。
「サム、どうあっても運命は変えられんのだ。私が留まれば、大河は氾濫する。教わったことを忘れたか?」
「忘れてない。でも、あんたこそ忘れてる。私はジェダイじゃない。」
「そうだったな。だがサム、友を助けたいと思うのは当たり前のことだろう?」
オビ=ワンの言葉に否定できなかった。彼も同じように、私を助けたいと思っている。その決断は変えられないだろう。
そこでR2がバイナリーで何か言ったけど、早口で何を言ったのか分からなかった。
「R2が自分も友達だと主張しております!」
C-3POがそう教えてくれるけど、不安は拭えなかった。
「サム、心配するな。全てを知るお前だからこそ、私を信じてほしい。」
「分かってるよ……」
「時間はかかるまい。何かあれば、すぐ船に乗れ。私もすぐに追い付く。」
「ベン……!」
「ルーク、大丈夫だ、信じろ。フォースは君と共にある。」
そう言い残し、オビ=ワンは出て行った。
力なく座る私に、ソロが心配そうに声をかけてくる。
「大丈夫か?」
「………うん。」
R2-D2を撫でていると、ルークが話しかけてくる。
「ベンとは長い付き合いなんですか?」
「長いね。クローン戦争前からの付き合いだから。」
「ちょっと待て。計算が合わねぇぞ。」
ソロが私の見た目とオビ=ワンの見た目が釣り合わないと言う。
それは当然のことだ。フォースで肉体を酷使した人間のオビ=ワンと、現役から遠退いていたキファーの私だ。見た目が違ってもおかしくはない。
忘れられがちだけど、キファーは近人間種族だ。
「私キファーだから。これでも40年くらいは生きてる。」
「キファーだと?」
「そう。私の血を見てみる?」
ソロはドン引きしたようで、そこまでしなくていいと拒否する。
「それじゃ、」
「ルーク様!R2が見つけたと言っています!」
「見つけた?何を?」
「姫です!レイア姫が、囚われているそうです!間もなく、処刑予定と……!!」
「大変だ!!」
C-3POの言葉に、ルークは出て行こうとする。
「おい待て!ここで待てと言われただろ!」
「このままだと殺されるんだぞ!」
「俺には知ったこっちゃないね!」
そんなソロに、ルークはお金で釣ろうとする。案の定、ソロはその気になってしまう。行ったら目立つだけなのに。
「サマンサ!」
「私にも来いって言うの?」
「多い方がいいでしょう?」
「目立つのは嫌いなんだけど?」
「サマンサ様、僭越ながら……ここは私めとR2にお任せを。」
「C-3PO、私まで動けば帝国に気付かれるでしょ。」
「そうとは限りませんよ、サマンサ様。」
C-3POがそう言うと、R2はバイナリーを鳴らす。
「R2は誤報を出せると言っております。その隙に別ルートで監房ブロックへ向かってください。」
「………分かった。」
「準備は良いか?」
「ソロうるさい。」
「なっ…お前……!」
怒るソロをスルーして、私とルーク、ソロとチューバッカはコントロール・ルームを出る。
オビ=ワンが心配だ。
彼はフォースの女官の訓練を受けている。知るべきこと、やるべきことを知っているはずだ。例え、それが自らの運命だとしても。
だからこそ、オビ=ワンが運命に従ってしまいそうで怖い。
シナリオ通りにならないことを願うばかりだ。