別行動をして半刻経った頃、私は何かに呼ばれて、どこかの部屋の前に来ていた。
導かれるように入ると、私は言葉を失った。
「カリ………」
将校の誰かのデスクの上に、カリのライトセーバーがあった。
このまま置いておくわけにはいかない。ジェダイにとって、ライトセーバーは魂だ。ジェダイの道を選んだカリにとって、このライトセーバーは魂なんだ。命同然のライトセーバーは、ここに置いておくべきじゃない。
「一緒に帰ろう。」
ライトセーバーを握った瞬間、私は意識を持っていかれる。
どこからか声が聴こえてくる。
気付けば、目の前にカリと、帝国の将校がいた。将校の方は見覚えがある。店の常連だ。だけど、思っていた以上にカリと親密なのは知らなかった。
会話が段々はっきりと聴こえてきて、私は聞き耳を立てる。
『保安システムは切った。だが、良いのか?』
『これが私の定めだよ。サムを守るにはこうするしかないの。』
何の話をしているのか分からない。
カリは将校に拘束されてはいない。将校もカリを捕まえる気はないらしい。その状況が、更に私を混乱させた。
『ヴェイダー卿は君達を逃さないだろう。私が死を覚悟で手を貸したとしても、血眼で追うはずだ。』
『………分かってる。』
『どうした?』
『なんでデス・スターに来たの?理由はいくらでも後付けできるし、来ない選択もできたはずでしょ?警告したのに。』
『君と同じ気持ちだからだ。帝国を倒す。私の行動で崩壊が始まるなら本望だ。』
場面が変わり、今度はエレベーターの中での会話だった。
カリと将校は、どこかへ向かっているようだった。
『これを。』
カリは一瞬躊躇ったが、将校から自分のライトセーバーを受け取る。
『一緒に逃げよう。まだ間に合う。』
『できない。貴方だけ逃げて。』
『なぜだ!?君が逃げても未来は変わらないだろう!』
『変わるから逃げちゃダメなんだよ。私が逃げたら未来が変わる。私が逃げたら、サムが死ぬことになる。フォースの定めは変えられない。こうなると予期はしてた。』
『そんな……』
将校は絶句する。
表情を見て分かる。彼はカリが好きだったんだ。だから手を貸した。
でも、カリは彼の好意を断った。
その証拠に、私を助ける為に1人で逃げるように言った。
『だったら、』
『貴方がライトセーバーを返してくれたのが、何よりの証。走り出した運命は変わらない。それも、最悪とも言える運命をね。』
『最悪……?』
『貴方もここで最期を迎えることになる。』
『それも予期していたのか?』
『………』
カリは肯定するように、静かに涙を流す。
将校の死は決まっていて、カリも全て分かっててデス・スターに来た。ヴェイダーに悟られないように、私を逃がす為にカリは手を尽くしたんだ。最後のライトセーバーも、あえて打ち負かされて、死を受け入れていた。
私は、意図してカリに救われていたんだ。
気付けば、あの将校のオフィスに戻っていた。
ライトセーバーの記憶は強いものだったけど、一瞬の出来事だった。
現実に戻り、私はカリのライトセーバーを握り締める。
「カリ、ありがとう。」
部屋を出て、私はオビ=ワンを探しに戻る。
私は望まれて救われた。カリと将校の為に、私は戦わなければいけない。それが彼らの願いだから。
これは復讐じゃない。
私はカリやケイナン、ここまで来れなかったみんなの願いを果たすだけだ。
「っ…!」
やがて、オビ=ワンを見つけた。
だけど、状況は最悪だった。
「衰えたようだな、オビ=ワン。」
ヴェイダーとオビ=ワンが、ライトセーバーで戦っていた。
私は考える前に2人の間に入って、ヴェイダーを思いっきりフォース・プッシュする。
だがヴェイダーは物ともせず、受け身をとって持ち堪える。
「殺されに戻ったか?」
「違う。私はオビ=ワンと一緒に戦う為に来たの。絶対に死なせない。」
私の言葉に、オビ=ワンは驚く。
なぜなら、昔の私ではそんな言葉は出なかったからだ。
「サム、」
「オビ=ワン、ジオノーシスの後の言葉憶えてる?」
「憶えているとも。お前が不貞腐れた話だろう?」
「ちょっと違うけど、まぁ、そう。あの時、私は戦力にならないからっていろいろ言った。でも、今は全部忘れて。」
私も、ライトセーバーを起動させる。だけど、ヒルトは1本じゃない。2本ある。私と、カリのライトセーバー。
それに、アソーカから二刀流の扱い方を教わった。
私もオビ=ワンも簡単には負けない。
「何か秘策でもあるのか?尋問官に使った妙な術か?」
ヴェイダーは私を嘲笑う。
「秘策なんてないよ。」
ヴェイダーの言う妙な術というのは、恐らくセヴァー・フォースのことだろう。使おうと思えば使える。ヴェイダーは暗黒面の使い手なんだから。
使えるけど、私は使う気はない。
「セヴァー・フォースも使わない。」
「セヴァー・フォース?」
オビ=ワンは初耳らしい。まぁ、知らなくて当然だろう。寧ろ、知らない方がいい。彼には理想のジェダイであってほしいから。
「セヴァー・フォースは、暗黒面に堕ちたジェダイからフォース感応力を奪うの。」
「どこで………いや、聞くまでもなかったな。マスター・ヨーダからだろう?」
「正解。でも使う気はない。」
「ほぅ?ホーガン、使えばお前が有利になるのに、あえて使わないと言うんだな。」
ヴェイダーは勘違いしている。私が使わないのは、ちゃんと理由がある。奴が暗黒面にいる間は絶対分からないだろうけど。
「私の行動には理由があるの。オビ=ワンと一緒に戦うこと、セヴァー・フォースを使わないこと、デス・スターに来たこと。全てに理由がある。」
「御託はいい。2人で来たところで、お前達の負けは変わらない。この私を見下したことを後悔するがいい。」
ヴェイダーは、ライトセーバーを振りかぶってくる。私はその一太刀を、ライトセーバーを交差させて受け止めた。その下から、オビ=ワンがライトセーバーを横に一閃する。
オビ=ワンのライトセーバーは、ヴェイダーのマントを少し切る。
「2人でようやく1戦力か。」
「そう思う?力でしか見てないなら、あんたの負けだよ。」
「戯れ事を……」
「サム!!」
オビ=ワンの声に、私は瞬時に身構える。
その瞬間、私はフォース・プッシュを受ける。来るのは分かっていたから足で踏ん張り、その場に持ち堪える。驚くヴェイダーを他所に、オビ=ワンは距離を詰めていく。
勝負はこれからだ。
私も、オビ=ワンも、死ぬわけにはいかないのだから。