私とオビ=ワン、2人で順調にヴェイダーを押していた。
19年前だったら、こうはいかなかったかもしれない。サイボーグで弱体化したヴェイダーに、隠遁生活で衰えたオビ=ワン、戦場に立たなかった私。更に言うなら、長い年月がこの戦いを成り立たせているようなものだ。
唯一の違いは、暗黒面にいるか否か。
弱体化したとはいえ、ダース・ヴェイダーの暗黒面は凄まじい。
オビ=ワンは兎も角、私がまだ生きているのは奇跡に近い。
「お前達に勝機はない。大人しく降伏すれば、」
「命は助けるって?生かす気ないくせに。」
衰えているけど、オビ=ワンは涼しい顔をしている。でも私は少し冷や汗を流していた。もうずっと緊張している。負ければ2人共死ぬ。
ここで生き残らないと、未来が翳ってしまう。
「良かろう。2人共処刑してやる。」
ヴェイダーの暗黒面の力が強くなった。
その瞬間、オビ=ワンに襟を掴まれて後ろに引っ張られる。
「オビ=ワン……!」
突然のことに、私は叫ぶのが精一杯だった。
「お前は行け。」
「は!?」
「フォースと共にあらんことを。」
「っ…!?!?」
勢いよく引っ張られ、オビ=ワンとヴェイダーが遠くなっていく。私を引いているのがワイヤーだと気付くまで、大した時間はかからなかった。慌ててワイヤーを切ると、私は〈ミレニアム・ファルコン〉に乗り込もうとしていたソロ達の前に落ちる。
「ベン!!!」
ヴェイダーとオビ=ワンの戦いに焦ったルークは、咄嗟にオビ=ワンを呼ぶ。
その声で、トルーパーのレーザー弾が撃たれ始めた。
「オビ=ワン!やめて!」
ライトセーバーでレーザー弾を防ぎながら呼ぶけど、オビ=ワンには無視された。仕方なくフォースでヴェイダーを止めようとするけど、オビ=ワンに邪魔されて逆に押し返される。彼は不敵に笑うと、胸の前にライトセーバーを立てた。
その瞬間、ヴェイダーは躊躇うことなく横一閃にライトセーバーを振る。同時に、彼の肉体は消えた。オビ=ワンの肉体は、フォースと一体化したんだ。
ルーク達が船に乗り込む中、私は聴こえてくる声に急かされ、ソロの後を追って船に乗り込んだ。
「急げ!!」
ソロの声に、チューバッカが急いでエンジンを蒸す。
コックピットに入ると、入れ替わりでルークとソロが銃座へと向かった。操縦席に座ると、チューバッカが私に指示を出してくる。指示に従い、細かい操作はチューバッカに任せて私は操縦に集中する。
追撃のTIEファイターをひたすら避け、ハイパースペースの計算を待つ。
その間に、ルークとソロはTIEファイターを墜としてくれた。
「あんたが操縦してたのか。」
戻ってきたソロは、私が操縦していたことに驚いていた。
「操縦しただけだよ。後は任せる。少し1人にさせて。」
返事を待たず、私はコックピットを出る。
誰もいない休憩室で、溜め息を吐いてしまった。
あれだけ言ったのに、オビ=ワンは私の話を聞いてくれなかった。ジオノーシスで再会した時、私を友人だと言っていたのに。私も、オビ=ワンのことを友人だと思っていた。だからこそ、懇願したのに。
悲しいとは思わない。でも、虚しい。いや、これは寂しさだ。
それと、ちょっとの苛立ち。
「………嘘吐き。」
約束は守る為にある。
聴こえてくる声は、私に謝ってくる。
分かった、許そう。
その代わり────────
「サマンサ」
レイアが、私に声をかけてくる。心配する表情がパドメに似ていて、今更だけどレイアはパドメとアナキンの娘なんだと自覚した。そして、ルークも2人の息子だ。
これがフォースの意志によるものだとしたら、とても意地が悪い。
「ペレス大尉のことは聞きました。気持ちは分かります。カリは………貴女のことを大切に思っていたはずです。ケノービ将軍も、だからこそ、」
「知ってるよ。」
「でしたら……」
「お姫様、私はジェダイじゃないから、オビ=ワンとカリに置いていかれたことが辛いの。」
その時、ルークが顔を覗かせてきた。
「だったらジェダイに戻ればいい。」
「何を、」
「もう貴女しかいないんです。生き残ったジェダイは貴女だけなんだ。銀河を良くしたいのは、貴女も同じではないのか?」
私が反乱軍にいたのは、銀河の為じゃない。友達の為だ。そんな大層な目的じゃなかった。
「私にとって大切なのは銀河じゃない。」
「なら、貴女にとって大事なのは何なのですか?」
レイアの問いに、私はたった一言告げる。
「家族」
私にとっての第一優先事項は、家族だけ。
「これで一先ず安心だな。」
空気を割るように、ソロが入ってくる。
「そうかしら?帝国から簡単に逃げ切れるはずないわ。」
「なんだと!?俺の船と腕を疑うのか!」
「貴方と船の心配はしていないわ。恐らく追跡されているはずよ。」
「姫の言う通りだよ。」
「そんなわけあるか!」
ソロは無理があると言う。でも、追跡装置が仕掛けられているなら話は別。反乱軍基地に着いたら、帝国軍も来るだろう。
「帝国を甘く見ない方がいいよ。少し前に重力井戸を備えたクルーザーもあったくらいだからね。それはもうないけど、あいつらは必ず追ってくる。」
「そんな馬鹿な……」
「彼女がそうと言ったら間違いじゃないわ。離脱したとはいえ、ジェダイだったのよ。忠告は聞くべきです。」
レイアがそう言うと、ソロは黙る。
とはいえ、帝国が来るまでまだ時間はある。
「それじゃ、私は銃座にいるから着いたら教えて。」
「待って!まだ話は、」
「終わった。何を言われても、私はジェダイに関わる気はないから。」
二度目の失態はしない。
ルークとは、他人でいたい。ルークは“スカイウォーカー”だ。アナキンと関わって、良い結果はなかった。
それは、レイアにも言えることだ。
もう傷を負いたくない。