ドゥークー伯爵の船から離れた後、オンボロ状態の〈ホーガ・フォレスト〉で何もないセクターまで逃げてきた。
攻撃されたせいで、あちこちが故障している。何とか航行できるけど、ハイパードライブが使えるのは一度きり。もし二度目をやれば、ハイパードライブが完全に壊れる。
ドゥークー伯爵には、マジで恨みしかない。
いや、相手を許し、憎むべからずだった。
いやいやいや、それでも許せん。
「サム様、お客様です。」
「閉店してるのに?」
「この前いらっしゃったキファーの方です。」
手に持っていたグラスを握り壊してしまった。
ドゥークーの話は本当らしい。迷惑だ。すぐに帰ってもらわないと。
「よぉ」
ヴォスが店に入ってきて、私は新しいグラスを取り出す。
今日の出来事全部を忘れたくて、強い酒を飲む。明日二日酔いになろうが関係ない。こうでもしなきゃやってられない。
「アズ、ごめん。グラス片付けて。」
「畏まりました。」
アズが割れたガラスを片付けて、私はヴォスをカウンター席に座らせる。
「………何があった?」
ヴォスは船の状態を見て、眉を顰める。
「ドゥークー伯爵が船をボコボコにしてくれてね、ご覧の有り様だよ。」
「ほらな、何かあっただろ。ドゥークー伯爵から何を要求された?奴が黙って去るはずねぇよな。」
「隠れ蓑に使わせろって。もちろん断ったけど。それで、あんたの要求は?」
答えは分かってるけど、あえて問う。私の態度に、ヴォスは苛立った視線を向けてくる。私はそんなヴォスに物怖じせず、睨み返してやった。
「オーダーに戻れ。」
「理由は?」
「ジェダイの育成の為だ。」
確かに、育成は大事だ。次世代のジェダイを育てるのは、ジェダイの責任の1つでもある。ジェダイの教えは受け継がれるものだから。
でも、これから戦争が始まる。
もし今戻れば、私は弟子と共に戦場に送り込まれるだろう。
「私は戻らない。」
「おいホーガン、」
「もうジェダイじゃない。店だって、ずっとは休業できない。ジェダイの使命より、こっちの方が大事だから。」
珍しく口を噤むヴォスに、私は更に言葉を続ける。
「評議会の指示で来たんでしょう?もし私を本当に連れ戻したいと思っているなら、評議会の遣いとしてじゃなくて、友達として言葉を選んで。」
「友達だと?」
「ジェダイとして、ジェダイ・オーダーを助けるつもりはないもん。」
私の言葉に、ヴォスは考え込む。
ジェダイは愛情を禁じているけど、友情は禁じていない。線引きはよく分からないけど、師弟の間にも友情は生まれる。私とマスター・ビラバの間に友情があるように。
「俺はお前の味方だ。店をやめろとは言わねぇ。お前の気持ちを尊重する。」
「どうする気?」
「弟子を取る必要はねぇよな。」
「何が言いたいの?」
ヴォスは質問に答えず、不敵に笑う。
私はこの笑みを知ってる。これは、ヴォスがルールを破る時の表情だ。良くも悪くも、何かを企んでいるらしい。
「まぁ、評議会と要交渉だな。」
「ヴォス」
「あん?」
「自分で交渉しろって言いたいわけ?」
「察しがいいな。」
「あんたが遣いに来た意味ないでしょ。」
大きな溜め息が出る。
この人に交渉は無理だ。ただ、私のことはよく分かってる。こうでもしないと、私はジェダイ聖堂には行かない。
何が何でも、ジェダイに戻る気はない。
これは私もよく考えなきゃ。
「因みに、私がいない間は店はどうするか考えてるの?」
「当然だろ。代理を立てりゃいい。」
それは考えてなかった。
アズ1人では回し切れない。だから私もアズを相棒にした。私1人で回せないから。
言うなれば、アルバイトの募集だ。
簡単には選べない。まずこの世界で第一に考えるべきは信用と信頼だ。信用だけでもいい。この世界には、前の世界のような雇用契約はなくて曖昧だ。
「分かった。私が自分で、」
「ちょっと待った。評議会からだ。」
ヴォスはポシェットから、イメージキャスターを取り出す。
だがコルサントと通信するには遠く、ホログラムは安定しなかった。
「船の通信機使えば?」
「良いのか?」
「緊急っぽい感じがするから。」
私だってそこまで鬼じゃない。
コックピットへ行き、パネルにヴォスのコムリンクを接続する。船に繋ぐと通信が安定して、マスター・ウィンドゥが映された。映像はマスター・ウィンドゥだけだったけど、映像の後ろには他のマスターや、議員達の声が聴こえた。
『これは一斉通信だ。全員ジオノーシスへ向かえ。オビ=ワン・ケノービの救出へ行くんだ。』
マスター・ウィンドゥの話によれば、オビ=ワンは賞金稼ぎのジャンゴ・フェットを追ってジオノーシスへ向かったという。オビ=ワンは通信でそれを伝えてきたが、途中で何かに襲われて、映像が途切れたそうだ。
それから個別通信に切り替わり、マスター・ウィンドゥが私に話を振る。
『ホーガン、手を貸してほしい。』
「私もオビ=ワンを助けに行けと?」
『お前はオビ=ワンと親しかったはずだ。一度で良い。手を貸してほしい。』
ヴォスを見ると、私の自由だと言う。
オビ=ワンとは確かに親しかった。親しかったけど、私はジェダイじゃない。だから評議会に従う義理はない。
でも、オビ=ワンは友達だった。
オビ=ワンが今も私を友と認識しているか分からない。
「分かりました。ですが、終わったら話があります。オーダーへの復帰について、条件があります。」
『聞こう。では、頼んだぞ。』
通信が切られ、私はジオノーシスの座標を入力する。
戦争は嫌だ。でも、このまま沈黙を貫けばドゥークー伯爵が追ってくる。共和国には付かないが、分離派にはもっと加担したくない。元はジェダイだから、どの道戦いは避けられない。
それなら、明確な意思を示すべきだ。
店を守るにも、何か対策らしい対策をしなければならない。
〈ホーガ・フォレスト〉はハイパースペースに入り、私は埃を被ったヒルトを手に取る。
戦いは久しぶりで、手の震えがなかなか止まらない。
仕事決まりましたw
あと単身赴任的な感じで転勤族になりますwww
更新スピード落ちますので悪しからず…m(_ _)m
サムは独身を貫くべきか否か?
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早く結婚しろ。
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ダメ、独身でいろ。
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