C-3POから着いたと教えられて、私はルーク達とタイミングをズラして船を降りた。
ヤヴィン4の基地では、R2の持つ設計図の解析が急ピッチで行われた。その間、私はルーク達と合わないように格納庫内をウロウロする。できれば顔を合わせたくない。
そんな中、ソロが私を探しに来た。
チューバッカは船のメンテナンスをしているらしい。
「こんなところにいたのか。探したぜ。」
「何か用?」
「残りの金を取りに来たんだよ。」
「あぁ、そうだったね。」
後でドロイドに持って行かせると伝えて、証拠のパッドを手渡した。
背を向けると、何かが違うようで呼び止められた。
「ちょっとばかし多くねぇか?」
「あ、それ危険手当。」
「何だって?」
「多少なりとも巻き込んだわけだし、色を付けたの。それにあんた、借金あるんでしょ?知り合いみたいに後悔する前にさっさと解決してきなよ。」
知り合いというのはリックのことだ。彼もミラーに借金して面倒なことになった。そしてソロも近い未来、解決できずカーボン凍結されることになる。リックと同じで悪い人ではないから、少しくらい手を差し出したっていいはずだ。
だからこれは、私なりの善意と、私達を運んでくれたお礼だ。
「おい!待てよ!」
また背を向けると、ソロは腕を掴んで引き止めてくる。
「あのな!密輸に危険は付き物なんだよ!」
「気にしなくていいよ。ただの善意だから。」
「善意だと?だったらルークを助けてやったらどうだ?」
その言葉に、私は刺されたような気がした。
「ソロ……あんたこそ、金を受け取ってサヨナラするくせに。」
「俺にできることはないだろ!」
「それは私も同じ。私にできることはない。私はジェダイじゃない。」
「ジェダイじゃないと教えられないのか?」
「ジェダイの技は、ジェダイが教えるものだよ。」
「そうか?俺は長年密輸してきたが、誰かに教わったわけじゃねぇぞ。自分で考え、プロの技も盗んだし、危ない橋も渡ってきた。全部生きる為だ!」
私が返事に詰まっていると、ソロは呆れたように溜め息を吐く。
「俺は俺の選択をする。あんたもあんたの選択をしろ。じゃあな!」
そう言って、ソロは格納庫から出て行った。
彼の言葉が、何度も脳裏に響く。
クローン戦争時代、私がジェダイ聖堂で先生をやったのは、他にもジェダイがたくさんいて、私は座学程度で済んでいたから。でも、今ルークに教えるとなったら話は別だ。ルークには一から十まで教えなきゃいけない。
何より、ルークに関われば失うものが多すぎる。
「ホーガン」
司令部を通り過ぎようとしたら、議員の1人が私に気付いて呼び止めてきた。その声に、司令部の面々が一斉に私を見る。逃げようとすると、ドドンナ将軍が近付いてきた。
「ケノービ将軍とペレス大尉のことはお悔やみを。」
「お気遣いありがとうございます。」
「ホーガン、できれば君にも手を貸してほしい。」
「でも、私にできることは多くありません。」
「そんなことは、」
「貴方もご存知の通り、私はジェダイ・オーダーを脱退しました。加えて、カリやオビ=ワンのように訓練を続けなかった。戦闘で力にはなれない。」
この際だから、はっきり言っておくべきだと思った。みんな、私に期待しすぎている。だからはっきりと断っておくべきなんだ。
もっと早くこうしていれば………
いや、考えても何も変わらない。
「私はサポート側に。戦いが全てではありません。」
「分かった。周知させておこう。」
「感謝します。」
そのままXウィングのある格納庫へ向かい、私は他の技師達と一緒にメンテナンスに取り掛かった。
これからデス・スターが来る。戦いが迫っているんだ。整備くらいしかできないけど、僅かながら力にはなりたい。
やがて、出動準備のアナウンスが流れる。
そこへ、レイアが通り掛かった。
「ここで何をしているのですか!?」
私がみんなに混じって整備しているのが、相当違和感があるらしい。
「何って、出動準備。」
「サマンサ………」
「何?」
「無理をしなくても私達は大丈夫です。少し休んでください。」
「これから戦いが始まるのに?」
どうやら、レイアは私を心配していたようだった。〈ホーガ・フォレスト〉に戻ろうかと思ったけど、黙って見ていることができなかった。連絡したリックにも休めと言われたけど、休んだら余計なことを考えそうで休めない。
確かに周りが危惧するように、カリに続いてオビ=ワンまで死んだとなれば、私のショックは大きい。
ショックが大きかったから、動いていたいんだ。
戦いも始まるのに、休んでなんかいられない。
「1人でも人手が欲しいでしょ?」
「何を言っても、考えは変わらないのね。」
「心配しないで。これが終わったらちゃんと休むから。」
「分かりました。貴女を信じます。」
「ありがとう、お姫様。」
「その“お姫様”ってやめてくれます?レイアでいいわ。」
「了解、レイア。」
よろしいと言って、レイアは司令部へと戻っていった。
実は、彼女に嘘を吐いた。“これが終わったら”と言ったけど、整備のことじゃない。戦いのことだ。
休むのはデス・スターの破壊を見てからだ。
ポシェットからコムリンクを取り出し、アズに連絡を取る。
『はい、サム様!』
「アズ、私は戻ってるってことにしておいて。」
『アリバイってことですか?』
「うん。」
『畏まり、』
『おい、聞いてたぞ!』
『………申し訳ありません、サム様……』
横槍の声に、私は落胆する。
「リックー、ただの世間話だよー?」
『聞いてたって言っただろ!』
「オーナー指示でも?」
『普段は否定するくせに!』
「今回だけだよ。大丈夫。1人うるさいのがいるから、戦いが終わったら戻るよ。」
『誰がうるさいんだ?』
「あ、リックのことじゃないよ。何ていうか、背後霊?」
『サム様、やはりお休みになった方が………』
「例えだから!じゃ!後は頼んだよ!」
返事を待つ前に、急いでコムリンクを切る。
その時、デス・スター接近を告げるアラートが鳴り響いた。
Xウィングが発進し、今度は医療エリアに向かった。別任務で負傷した隊員達の手当てを手伝い、医療ドロイドのメンテナンスも請け負う。医療エリアは常に人手不足だから、私が入ってもまだまだ忙しい。
戦いの後は、もっと忙しくなる。
落ち込むのは後だ。
あ、うるさい人?あの人だよ。ほら、私に嘘吐いて肉体をフォースと一体化させた人。
うん、いいよ、マニュアルだけ用意するよ。
小言も許す。嘘を吐いたことも許す。あえて死を受け入れたことも許す。
その代わり、私の文句は否定させない。
だから、オビ=ワンのことは許してあげる。
上から目線?そんなの知らない!!