ランデブーポイントに着いて、<ホーム・ワン>に着艦すると、ルークとレスリーがいなかった。
司令部も報告を受けていないらしく、どうやら独断でダゴバへ行ったようだった。モスマ議員にも居所を聞かれたけど、正直に答えることができなかった。2人がいないのはまだしも、ソロ達も戻っていないらしい。
両方は追えないから、まずダゴバへ向かった2人を追うことにした。
<ホーガ・フォレスト>は置いて、反乱軍の小さなシャトルを借りた。
「サム様!どうかお気を付けて!」
「店は頼んだよ。リックが帰ってきたら謝っておいて。」
アズは店に置いてきて、私は一人で向かった。
うろ覚えながらダゴバの座標を入れて、私は操縦席で溜め息を吐く。
「マスター・ヨーダ……」
まだ生きてるかな…生きてるよね…?
映画では生きていた。1年後に寿命で死ぬけど、現実ではどうなるか分からない。それは私にも言えることだけど。
ハイパースペースを抜けて、青々とした緑色の惑星が目の前に現れ、私はダゴバを見下ろす。
ダゴバの軌道に出て、ようやくマスター・ヨーダが生きていることを実感した。
舵を押し、シャトルは大気圏を抜けて着陸する。
「会いたくないなぁ……」
ハッチを開けると、湿った空気が肌に当たった。それと同時に、強いフォースを感じた。奥深くに強い暗黒面も感じる。
これが、ダゴバだ。
人の気配を追って進むと、家の中から会話が聞こえた。
うん、見なかったことにしよう。
「サマンサ、どこへ行く?」
Uターンしようとすれば、マスターに引き留められた。仕方なく家の中に入れば、ルークとレスリーが驚いていた。マスター・ヨーダに至っては、私を咎めるような顔をしている。
「お久しぶりです、マスター。」
「なぜ逃げようとした?」
「頭のネジが飛んだような幻覚を見たので……」
「何じゃと?」
「いえ、何でもないです。」
気を取り直して、私は本題へと入る。
「なぜそんな顔をしているんですか?」
「未来を託してお前に知恵を授けたというのに……義務から逃げてきた理由を教えてくれんか?」
マスターが言う義務とは、あのジェダイの機密のことだろう。だけどあれは、私が預かっただけで、誰かにジェダイの訓練をする為じゃない。それを分かって私に渡したはずだ。
ジェダイは私に期待しすぎている。
マスターも、オビ=ワンも。
「あの、ママがジェダイの訓練をする未来を見たんですか?」
レスリーが問うと、マスターは肯定した。ただ未来は不安定で、不確かなものだと付け足す。未来を見たマスターの選択次第で、運命は変わるという。
「それで、お前達はわしに何の用があって来た?」
マスターはルークとレスリーにそう言うと、椅子に座った。
2人はマスターに問われ、訓練をしてほしいと懇願する。その為にここへ来たんだから、と。だが、マスターはそれを断る。
「お前達は感情的すぎる。それに我慢ができん。」
『感情的なのは悪いことではありません。』
「だが、年を取りすぎておる。」
「そんな…!私もルークも覚悟はできてるのに!」
オビ=ワンの声は、ルークとレスリーを肯定するようなことを言う。
長年多くのジェダイを見てきたマスターにとって、2人は未熟すぎるのだろう。だけど、私なんか10年のブランクがあって、今のこれだ。アナキンだって、思春期入るかどうかの瀬戸際でオーダーに加わった。何も違うことはない。
「僕も恐れません!お願いします!」
「お前達、本当に良いのか?」
「はい!」
「私も……お願いします!」
「良かろう。」
その時、私は何かに呼ばれたような気がして、家の外を見る。でも、外には誰もいない。外を気にする私に気付いたマスターは、私を促す。
「2人のことは任せろ。お前は声に従え。」
「ママ、どうしたの?」
「何でもないよ。」
「何でもないわけないでしょう!何が聴こえたんですか!?」
「………懐かしい声だよ。」
「左様。これはお前の道じゃ。」
そう言うと、マスターは2人を連れてどこかへ行ってしまった。
残された私は、1人木々を抜けて、湿地帯を歩く。懐かしい声は、何度も私を呼ぶ。導かれるように歩いていくと、意外な人がいた。
その人は、私を見て笑顔を見せる。
『久しぶり、サム。』
「もう会えないかと思った。」
『ダゴバだからだよ。ここはフォースが強いから。』
トワイレックの“ジェダイ”、カリ・ペレスは岩に腰掛ける。
「レスリーには会わないの?」
『死後に自我を保つ為の理由の1つが、この訓練のことを後世に伝える為なの。』
「じゃあ、あの2人がそのつもりなら会うわけ?」
『そうなるね。』
「私はそんな気ないけど?」
『知ってる。でも、サムは自分の未来を知らないでしょ?』
つまり、私の未来はまだ分からないということだ。死ぬといろいろ分かるらしい。私さえ知らない自分の未来も、カリは知っているようだ。
「未来は不確かなものじゃなかった?」
『そうだよ。だから、サムが今決めなくてもいいの。』
「ふぅん?それで、今姿を現した理由は?」
『サムを説得したくて。マスター・ケノービに頼まれたの。』
「ふぅぅぅん??」
どうやらあの人は、私を関わらせたいらしい。
「断る。」
『まだ何も言ってない!』
「何を言うか分かってる。ジェダイとは関わらないって何度も言ったでしょ。オビ=ワン!聞いてるよね!私はお断りだからね!」
『サム!!』
カリでも無理だと判断したのか、オビ=ワンはようやく姿を現す。
「何度も無理だって言ってきたはずだよ。」
『だが、お前にはジェダイの素質が、』
「言っておくけど、私はカリとオビ=ワンに感謝はしてるけど、怒ってもいるんだからね。」
『怒ってる?なんで?』
「ジェダイである2人には分からないかもね。ごく当たり前の気持ちなのに。普通の人は親しい人に置いていかれたら悲しむし、自ら死の選択をしたなら尚更。怒りもするよね。」
フォースの定めだとしても、抗う行動もできたはずだ。でも2人はあえて死を選んだ。カリも、私の為だとしても死の選択をした。
私を助けてくれたとしても、分かりきった答えに何故と言いたくなる。
これは、感謝の気持ちとは別問題だ。
「2人が何を想って選択したかはちゃんと分かってる。だから責めたりしない。もうこの話は終わりにする。」
『サム……』
「姿を現した理由は、本当は違う理由なんでしょ?」
そう、2人の死と私がレスリー達を訓練しない問題は終わっている。
本題は、恐らく──────
『ヴェイダーのことを話しに来たの。』
やっぱり奴のことだ。
でなければ、オビ=ワンまで現れていない。
とても嫌な予感がする。