ヴェイダーもこの3年、ただ黙ってたわけじゃない。
2人がヴェイダーのことを話したいというのは、恐らくルークのことだろう。奴はルークの正体を知っている。誰の息子で、どんな力があるのかも知っている。
一番の懸念は、やはりヴェイダーとルークの関係だ。
『ルークとレスリーの為に、馬鹿な真似はしないで。』
私には、心中を図った前科がある。フォースの意図を確かめる為とはいえ、自ら死を選択した。カリはそれを知ってて、私を心配している。
「あれは確証があったし……」
『狭間の世界のこと?それでも二度としないで。』
「あんなことはもうしないよ。でも、あんた達が心配してるのはそういうことじゃないでしょ?」
私は2人に苦笑する。隠したところで無意味だ。何もかも知ってて、私に会いに来てるんだから。
『ヴェイダーに良心が残ってるって、本気で思ってる?』
『奴は悪の権化だ。お前もよく知ってるだろう。』
「あいつが店に来た時、確かにそう思ったよ。でも、本当に“彼”だけの責任?」
『何だと…?』
〈ホーム・ワン〉からダゴバに来るまでの間、ヴェイダーに言われたことを考えた。
ヴェイダーが暗黒面に呑まれた大きな理由は、パドメが死んだから。そう思っていた。でも正確に言えば、愛を喪い孤独になったからだ。
愛を喪うことは、計り知れない程大きな喪失だ。
だけど、そういう状態になったのはダース・シディアスの策略のせいだけじゃない。
「ヴェイダーは、何度もジェダイの存在は間違いだと言った。もしジェダイの存在がヴェイダーを生み出したとしたら?知らないふりをした私にも責任はあるし、信じ切れなかったオビ=ワンにも責任がある。」
『それは、』
「ヴェイダーが孤独なせいで全てを拒んでいるとしたら?」
『サム、お願い、』
「分かってる。“子供達”は渡さない。」
その中には、レイアも含まれている。あの子も欠かせない存在だ。誰1人として、帝国、シス側に渡す気はない。
『暗黒面に踏み込む気ではあるまいな?』
「私が暗黒面に手を出すことはない。与することもない。私は私だから。」
『未来を変えたいんだね……』
「そう、未来を変える。無理に変えればしっぺ返しを食らうのは分かってる。だから、投げる石は、小さく、重い石を投げる。小さくても、波はいつか大きくなる。」
最後は津波のように。
崩壊への一歩を、私が始めても良いはずだ。フォースの意志が私を引き摺り込んだんだ。だったら、それを利用してやる。
「オビ=ワン、ルークとレスリーに伝えて。私はしばらく戻らないって。」
『だが……』
「必ず帰る。」
『………分かった。』
オビ=ワンが消えて、カリと2人になった。
『サム………』
カリの表情は、不安一色だ。
『無茶だよ……』
「ルークがヴェイダーを救う未来が決まっているとしても、根本的な解決にはならない。」
『そんなことは、』
「この世界に向き合ってこなかったのは私。だから、今度こそフォースの意志と向き合う。ワガママはもう終わりにする。」
私がそう言うと、カリは寂しそうに姿を消す。
シャトルへ戻り、暗号通信で店へメッセージを送った。中身は、アズへの指令だ。アズは、私の命令に従って行動するだろう。
もう後悔はしたくない。
これが私の選択だ。
────────
同時刻、〈ホーガ・フォレスト〉ではパトリックが激しく動揺していた。
その理由は、アズルナ20の言動のせいだった。
「そんなことできるわけないだろ!!」
「しかし、サム様は言い出したら聞きませんよ。」
「ふざけてる…無理だ………」
パトリックは頭を抱える。
「第二デス・スターだと!?しかもそこに2号店を置くだって!?正気じゃない!!」
「いえ、サム様は正気です。何せ暗号通信で、」
「そんなこと分かってるっての!俺が言いたいのはまともじゃないって言ってんだよ!」
そう、サマンサが指示したのは、アズルナ20から第二デス・スターの存在を教えて、そこに店舗を構えるというものだった。さらに、2号店にはサマンサが常駐し、本店である〈ホーガ・フォレスト〉はパトリックに任せるという。
しかし反乱軍すら知らない第二デス・スターの存在を知らされ、パトリックは気が気ではなかった。
「くれぐれも反乱軍には言わないように。」
「なんでだよ!早く教えた方がいいだろ!」
「いけません。未来が変わってしまいます。それに、建設は既に始まっていて、手出しすれば未来は閉ざされるでしょう。」
「またフォースとやらの話か?」
「左様です。」
「はぁ……」
パトリックは溜め息を吐く。
彼は仕方なく、サマンサの決定を受け入れることにした。
「俺は何をすればいい?」
アズルナ20は、パトリックに必要事項を伝えていく。
2人の行動により、事態は急速に進んでいくのだった。