〈エグゼクター〉がいるであろう場所の座標を計算して、ハイパードライブを立ち上げる。軌道上まで出てハイパースペースに突入した後、私は予め暗号通信で帝国軍にメッセージを送った。いきなり撃ち落とされたら元も子もないから。
ハイパースペース航行中、帝国軍に送ったメッセージは意外にもヴェイダーから送り返されてきた。
内容はまぁ、あちらの指示に従って合流しろって話だった。
ルークとレスリーには、何も言わずに出てきた。私が言わなくても、カリやオビ=ワンが2人に話すはずだ。とは言っても、マスター・ヨーダを介して、だけど。
その時、全く知らない周波数から通信が入った。
「………」
恐る恐る出てみると、見覚えのある顔がホログラムに映った。
その人は帝国軍の大佐で、〈ホーガ・フォレスト〉にもよく来る常連だった。3年前からの新参客とはいえ、店を愛用してくれていた。どうやら、現在は〈エグゼクター〉で着任しているらしい。
『いきなりで申し訳ない。新しいデス・スターに来るというのは本当か?』
「もう通達されたの?」
『笑い事ではない!』
笑って誤魔化そうとしたが、相手は正気じゃないと怒る。
リックが言いそうな台詞だ。
『あんたの店は公平なはずだ!なぜこちらに来る必要がある!?』
「公平なのは変わらないよ。これは私が決めたこと。それに、未来を予期しての決断だから。」
『どういうことだ?』
「いつか分かる。」
笑みを見せて、私は通信を切断した。
それから、〈エグゼクター〉に着艦する前の準備を始めた。
まずシャトルの情報を全て消去。通信ログから航行記録、例外なく全てだ。反乱軍の情報は一切与える気はない。
表向きは、中立だからだ。
だからと言って、シスの好きにはさせない。
「あとは………」
心を落ち着かせる。
私はジェダイじゃない。それは誰に対してもそう言っている。ジェダイじゃないのは本当だし、事実で、真実だ。
シスである皇帝やヴェイダーだって、分かりきっているはずだ。
瞑想している中で嫌なものも見えるけど、恐れてはいけない。
「あ!!」
瞑想をやめて立ち上がった瞬間、床にホロディスクが落ちた。
このホロディスクは、カリとリック、アズの4人で撮ったものだった。
“本当にこれで良いのか?”
そんな疑問が頭に浮かぶ。もしかしたら不正解かもしれない。だとしても、今回はこの道しか思い付かなかった。
でも今は自分と、フォースを信じるしかない。
さて、問題はこれからだ。
ハイパースペースを出て、〈エグゼクター〉の指示に従って着艦する。出迎えは、〈ホーガ・フォレスト〉常連の大佐だ。ハッチを下ろすと、大佐が簡易的に挨拶をする。
不思議なことに、私に対応しているのは大佐1人だけだった。
トルーパーや他の将校達は、私に構うことなく通常業務を行っている。
「私は敵ですらないってことね。」
「貴女もその気はないだろう?」
「まぁ、確かに。」
大佐に案内され、私達はブリッジのドア前に着いた。
ところが大佐はドアを開けず、振り返って懇願の表情を浮かべる。
「開けて。」
「だが、」
「私を逃せば、あんたが処罰される。分かってるでしょう?」
「………すまない。」
「謝られることはないよ。」
大佐はまだ若い。経験も浅く、場数も少ない。下手に行動すれば、賢い彼でも立場が危うくなる。
こんなことで、彼を死なせたくない。
私はポケットからホロディスクを取り出し、大佐に手渡す。
「これは……?」
「預かってて。あいつにうっかり壊されたくないから。」
「分かった。丁重に預ろう。」
お礼を言うと、大佐は意を決してノックする。
そして、ドアが開かれた。
「ようやく覚悟を決めたようだな。」
デスクに座るヴェイダーは、私の答えが知りたくて待ち遠しいらしい。
「勘違いしないで。“ヴェイダー卿”、私は商談に来たの。」
「サマンサ……!」
大佐は私の言葉に青くなり、慌てて前へ出る。
その瞬間、彼は気道を絞められ、呻き声を漏らす。
「彼は関係ない。すぐ解放して。」
今度は私が前に出ると、彼は解放された。
「大佐はただの案内役でしょう?」
「だがお前に肩入れしているようだぞ。」
「争いを止めようとする、ただの反射的行動だよ。冷静になりなよ。私も戦う為に来たわけじゃないし。」
ヴェイダーは私の制止に不満そうだったけど、渋々引いた。
「私からの話は2つ。1つは私の商談、もう1つは“子供達”について。」
「何……?」
「デヴァロニアンの少女については報告が上がってるでしょ?その件についても話したい。」
ルークと一緒に行動するデヴァロニアンのレスリーは、何度も帝国とぶつかっている。何件も報告が上がっているはずだ。だけど、私との関係性は謎のままだろう。
それには、ちゃんとした理由がある。
「どういうことだ?」
大佐は首を傾げる。ヴェイダーですら知らないんだ。大佐が知るはずがない。
「大佐、席を外してくれる?」
「そんな、」
「秘密を持って処分されたくないでしょ?」
「………分かった。」
大佐のもどかしそうな視線を感じたけど、あえて退出させた。
これからの話に、大佐は関わってはいけない。
「本題に入ろう。」
ここからは、私とヴェイダーの2人の話だ。
大丈夫だ、まだミスはしていない。
選択肢は、自分で作るんだ。