ヴェイダーと2人になり、私は着席を促す。ヴェイダーは異論なく座り、私も反対側に座る。座って早々、私は皇帝にも繋ぐように頼んだ。
私の無茶ぶりに、ヴェイダーはさすがに却下する。
「なぜ繋ぐ必要がある?」
「後で独断で決めたって言われても構わないなら、あんたと2人でもいいけど?」
そう言えばヴェイダーは皇帝を呼び出し、跪く。
接続されて映された皇帝は、私がいることに驚く。
『これは一体どういうことだ?』
「私がこの場を設けた。商談でね。」
皇帝は私の態度に、怒りの感情を抱く。
『余は皇帝ぞ。立場を弁えよ、サマンサ・ホーガン。』
「立場は弁えてる。脅しと言っては何だけど、私にはジェダイの機密がある。で、いくつかの機密を有用することができるんだよ?その良い例は報告に上がっているでしょ?」
私が言う報告とは、セヴァー・フォースだ。仕組みは、私しか知らない。他に知っているとすれば、機密を渡してきたマスター・ヨーダのみ。
でもマスター・ヨーダはダゴバで隠遁していて、表舞台で使ったのは私だけだ。
つまり、やろうと思えばヴェイダーに対しても使える。だけど、私は理由があってそれをやらない。
『だがシスの為に使うことはなかろう?』
「さっきも言ったけど、これは商談。戦術交渉じゃない。受けるか受けないかはあんた次第。私は最後まで自分の方針は変えない。」
皇帝は、私の考えを探ろうとする。だけど、皇帝には理解できないだろう。私の本質とは根本的に違うから。
『では、“子供”の件からだ。若きスカイウォーカーと共にいる娘は何者だ?』
「あの子は私の娘。あの通り、デヴァロニアンの男との間にできた子供。」
「それは初耳だ。なぜ今になって明かす?」
「理由は、これから話す商談が関係する。」
『ほぅ…?言ってみるがいい。』
興味を持たせることはできたようだ。ここまでは予定通りだ。問題は、これからだ。
「単刀直入に言う、私は店を続けたい。反乱軍にいたのも、帝国の妨害があったから。娘はその帝国軍を追っ払っただけ。」
『今更信じろと言うのか?』
「陛下に同意だ。お前のことはよく知っている。何を企んでいる?」
「別に信じなくてもいい。だから妥協案として、第二デス・スターに2号店を置かせてほしい。」
さすがにシスの2人は、拒否の空気を漂わせる。
まぁ、いきなりこんなこと言っても無理があるか。まず私が第二デス・スターを知っていることにも、遺憾的なはずだ。表向きは、帝国の将校が口を滑らした、という体だが。
「嫌なら別にいい。こちら側の客が離れても良いならね。」
『何……?』
「今まで店に来てた帝国軍の客は、反乱軍にいる私の店に来にくくなっていた。でも私が反乱軍から離れたら?その客も付いてくる。昔、あんたが恐れたようにね。」
「ホーガン……!!」
『良い、ヴェイダー卿』
憤るヴェイダーを宥め、皇帝は私を無言で見る。どうすべきか、考えに考えているようだ。帝国の絶対的支配を崩したくないだろうから。
『どうするつもりだ?』
「帝国側用の店は第二デス・スターで、その他の客は〈ホーガ・フォレスト〉で。次に、あの船は今後パトリック・カーターに一任する。私はもうあちらにはノータッチになる。」
『お前の娘はどう関係する?』
「私とあの子は親子だけど、考えは違う。あの子は私ではなく、カリの背中を見てる。だから自ら帝国と戦う。」
『ようやく魂胆が読めたぞ。ずる賢い女め。同時に、見事だ。』
どうやら意図せず皇帝を楽しませているらしい。運良く良い方に転がった。ヴェイダーは不服みたいだけど。
「私がこちらに身を置けば、子供達の抑止にもなる。反乱軍は大人だから気にしないだろうけどね。その代わり、子供達への攻撃は無しにして。難しいことじゃないでしょう?」
「だが、あの2人が先制してきたらどうする気だ?」
「それは正当防衛で反撃すれば?ただ、私の気が変わるかもしれないって覚えておいて。」
攻撃されたって、即時撤退はできる。無駄な争いは避けろって言っているだけだ。本気で戦わせる気はない。
『良かろう。』
「じゃあ商談成立だね。」
『だが、今はお前の狙い通りだとしても、これが続くと思わないことを努努忘れるな。余は今日のことを忘れることはないだろう。』
「ただの商談だよ。あんたを負かしたわけじゃない。」
『それはお前の見解だ、サマンサ・ホーガン。すぐにでも準備を進めるのだ。ヴェイダー卿の判断で即時処分もできることを忘れるな。』
そう言われ、皇帝に通信を切られた。
「やってくれたな。」
ヴェイダーは、怒気を含ませて呟く。
皇帝は心の底で私を完全敵認定したようだ。ヴェイダーも、奴の弟子として感じ取っている。否応がなく、ヴェイダーも私を敵認定している。
「商談だって言ったじゃん。不服なのは、下である私が対等に立ったからでしょ?経営は常に対等なんだよ。上下関係ができたら、それはもう商売じゃない。」
「………」
「そういうことだから。」
そこへ将校がノックして入ってきて、報告をする。
「賞金稼ぎから報告です!反乱軍の船が一機、惑星ベスピンのクラウド・シティへ着艦したようです!」
「〈エグゼクター〉をベスピンに向かわせろ。賞金稼ぎに追って仕事を続けさせろ。」
「了解致しました!」
将校が退室し、ヴェイダーは嬉しそうな声で口を開く。
「商談するには一足遅かったようだな。」
「商談は成立してる。約束を反故にする気?」
「では、フォースに問おうではないか。“我が息子”を生かすか殺すか。」
「我が子を運命の天秤にかけるなんて……何度家族を裏切れば気が済むの?」
「裏切ってなどいない。すべきことをしてきたまでだ。これから起こることから目を逸らすな。全てはフォースが決めることだ。」
誰も彼も、ジェダイもシスも、みんなフォースの意志を重んじる。あのシディアスでさえも。信じていないのは、私だけだ。
フォースに生かされてあの狭間の世界に飛ばされたけど、私はまだ信じられない。
これから先、信じられる保証もない。
私は、私自身と家族を信じる。