新規ぐだぐだイベ来ましたね!千利休・壱世・山南敬助とか戦う気ある?っていう面子ですけど、この中にひとり今後出したいと思っていた人物に深く関わってるんですよね。すごく映える生きざまの人ですので、予想してみるのも面白いかもしれません。
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カルデアの一行は聖都を囲む嘆きの壁での戦いから離脱し、現在は50名ほどの難民を抱えながら必死で撤退していた。難民の中には病人や子供も混じっているためその進行スピードは遅く、ケンは焦りを隠せなかった。
「クソ……急がなくては、追手が来るというのに!」
「しかし、皆さん疲れています……!サーヴァントの私たちや、魔術礼装のサポートがある先輩とは体力の差が大きすぎます!」
焦りは難民たちの中にも不安を生む。そう考えたダヴィンチの提案で、今夜はひとまずここで休むこととなった。ケンも難民の疲れには気づいていたため、渋々了承して料理を作った。
「ケンさん……。なんでそんなに焦ってるの?」
「マスター。私も、普通の騎士王が相手であれば、このように焦ったりはしません。去る者は追わずという方針もありましたから、追手が来る可能性は低いでしょう。……ですが、聖都でのあの残虐な行い。あれを行う――いえ、行うことが出来る者に、一人心当たりがあります。」
「――アグラヴェイン卿、ですね?」
会話に割って入ってきたのは、先ほどの戦いで協力してくれたベディヴィエールだ。ケンを除くカルデアの一行は、ケンとベディヴィエールが旧知の仲であることや彼が特別な義手を持っていることに驚愕したが、それはひとまず飲み込んでいた。
「ベディヴィエールさん!アグラヴェインっていうのは?」
「……鉄のアグラヴェイン。その通り名の示す通り、頑強な騎士です。ですが、彼の特徴はそこではありません。彼の真の能力は文官としての統治能力。……そして、拷問技術。」
「彼はたとえ、苦痛に呻く声を三日三晩聞かされ続けたとしても眉一つ動かさないでしょう。それほどまでに冷血な面がある人物です。王に対する忠誠心は本物ですが、それ故に敵対者を徹底的に排除する傾向があります。……少なくとも、私たちをみすみす逃がしてくれることはないでしょう。」
「……そんなに怖い人なんだ。」
「少し、人間嫌いなところがあるようでしたね。率直な物言いをしていたので、トラブルの原因になることもしばしば……。」
「まあ、それはいいじゃないかベティ。ひとまず、今の状況の危険さはわかっていただけたと思います。ですから、マスターも出来るだけ早くお休みください。明日も急ぎ移動しますので……。」
「う、うん。それじゃあお休み!ケンさんもベティさんも、ゆっくり休んでね!」
マスターがテントの中に引っ込んだのを確認し、ケンとベディヴィエールはようやく一息つくことが出来た。ケンが作った野菜のポタージュをつつきながら、今までにあったことを共有する。その結果、まずは山の民に助けを求めるべきだということに決まった。獅子王と対立している上、何騎かサーヴァントが混じっているため、協力するならここしかない。ひとまず二人も休むことにして、その日は終わった。
翌朝。ケンとベディヴィエールは昨晩話し合ったことを報告し、カルデアの方針は決定した。難民たちも山の民に話をつけてくれることとなり、すぐに移動を始めた。とはいってもやはり、全てが順調というわけにはいかず、あまりにも暑い気候に倒れそうになる人も現れ始めた。その人たちを休ませるたびに立ち止まらなくてはならず、焦りは蔓延していく。
「……あの人たち、大丈夫かな。」
「うーん、少なくとも命に関わるものじゃないよ。ただの熱中症みたいだ。でも、立ち止まっているのが怖いところだね。」
「こうしている間にも、追手が迫ってきているはずです。最悪、戦闘の準備をしていた方がいいでしょう。……そして問題は、誰がこちらを追っているのかという事です。最悪なのは……」
「―――
「!? い、今の声誰!?ロマ二!?」
『ち、違うよ!?それに、そっちに魔力の反応は確認できない!』
この状況にはまったくそぐわない、ひどく呑気な声が響き渡る。その場にいた誰もが驚いて辺りを見回すが、声はすれども姿は見えない。一体何が起きたというのか。
……いや、正確には一人だけ違う反応をしている者がいた。真っ青な顔をしたケンだ。
「やあやあ、皆元気にしているかな?花の魔術師、マーリンお姉さんの登場さ!もっとも、マーリンお兄ちゃんに悪いから今回は声だけの登場にさせてもらうんだけどね!」
『マ、マーリンだってぇえ!?え、そ、そんな、こんな女性じゃないはずだぞ!?』
「おや、その声はソ……んん!親愛なるドクター・ロマ二じゃないか。ゆっくり挨拶したいところだけど、今はそれどころではなくてね。一つ助言をしに来たのさ。」
突如現れた声はマーリンを名乗り、カルデアに助言があるという。だがその声を遮る者が一人……
「ま、待ってください!え、マ、マーリン殿がなぜここに!?あなたは確かにあの時、『最初で最後のお別れ』だと……!」
「あっ、いたいた!いやあそれがね?あの時の君の答えがあまりに美しいものだったから、サーヴァントの生も見守ってあげようかなと思ったのさ!まあこれから長い付き合いになるわけだし、よろしく頼むよ、マイ・フェイト♡」
「あ、悪夢だ……。」
思わず頭を抱えてしまうケンと、それを意にも介さず楽し気な(自称)マーリン。周りはあっけにとられていたが、立香の目は冷たい。
「い つ も の。今更言う事ないよねケンさん。」
「誤解ですマスター……。今回ばかりは本当に誤解なのです……。」
「えー!哀しいなあ、あんなに素敵な時間を過ごしたっていうのに!おっと、そういえばそれより話すことがあるんだった。さっきも言ったと思うけど、君たちをランスロット卿が追跡中だ。あと数十分もすれば、君たちの計測の範囲にも入るだろう。」
マーリンが軽い調子で話してきたことは、カルデアの中に小さくない衝撃を与えた。なにせ、相手はあの円卓最強の騎士、ランスロットなのだ。戦えばどうなるか、わかったものではない。
「し、しかしちょっと待ちたまえよ?マーリンを名乗る君が、敵の工作である可能性はないのかな?私たちを惑わすためということも考えられるだろう。」
「意外と疑り深いのだね、ダヴィンチ。まあ疑うのも無理はないと思うけど、その理由の一端は君の握る自爆装置にあるんだよ?」
「……。」
自分の隠し玉を明かされて、流石のダヴィンチも驚きを隠せない。なぜわかったと問い詰めるよりも先に、立香とマシュが声をあげる。
「じ、自爆!?なんでダヴィンチちゃんそんなもの持ってるの!?」
「ダメです!そんなこと、許されません!」
「……参ったな。座まで持っていくつもりだったのだけれど……。」
ダヴィンチちゃんは観念したように、されどどこか嬉しそうに自分の企みを語った。嘆きの壁で戦った時点で追手が来ることは予想できたため、最悪自分が車に乗って敵軍に突っ込み、自爆することで足止めをするつもりであったということを話し、立香とマシュからお説教を約束されていた。困ったように笑うダヴィンチだったが、その雰囲気は朗らかだ。
「まあ、つまりはそういうことさ。ダヴィンチが自爆しようとしたらまず間違いなくケンが庇うだろう?というか、ケンなら自分が代わりに突っ込んでいくと予想したんだ。私としてはケンに死なれたら困るから、こうして安全に逃げられる方法を提案しに来たというわけさ。」
「……それは多分、そうしただろう。その点に関しては感謝せざるを得ない。」
「うんうん、それでいいのさ!さて、それじゃあ花のお姉さんの素敵な脱出プランを聞いてくれるかな?まずは、こっちの方角に向かってついて来てくれたまえ。」
マーリンの先導に従って移動する面々。ロマ二とケンはあまりいい顔をしなかったが、手段を選んでいられないのも事実だ。仕方なくついて行くと、やがて激流が見えてきた。まるで何かに怒っているかのようなその川の流れは、難民たちに畏敬の念を抱かせるには十分だった。
『な、なぜこんなところに川が!?そもそもこんな荒野なら、とっくに干上がっているはずだろう!?』
「ここは普通の川じゃないからだよ、ミスターロマ二。観測してごらん、きっと異常性に気づくから。」
『え、えーっと……うわっ、なんだこの魔力量!?ほとんど魔力の塊と言ってもいいくらいだ!これじゃまるで、誰かの魔術で作られたみたいな……あっ!』
「うんうん、優秀優秀。ここはとあるサーヴァントの宝具で作られた川なんだ。誰かはわかるかい?」
激流に飲まれないよう気をつけながら、ベディヴィエールがゆっくりと川に近づく。近くで見たことによって確証を得たのか、息を飲んで驚いた。
「こ、これはケイ卿の宝具……!ここまでの出力をしているなんて、どれほどの怒りを……。」
「ケイ?あ、あのちゃらんぽらんがこれを!?」
ケンも驚き、川に駆け寄った。ケン自身にはその力は感じ取れなかったし、この激流とケンの知るケイとがどうしても結びつかなかった。
「実はこれは戦いの痕跡でね。ここでケイ卿と獅子王との一騎打ちがあったのさ。」
そう前置きをして、マーリンは話し始める。叛逆によって忠義を示した、王に最も近い男の話を。
「実はね、今のキャメロットにいるのは全ての円卓の騎士というわけではないんだ。召喚されなかったわけではないんだよ?召喚された上で、彼らは真っ二つに分かたれたんだ。獅子王に従う者と、反旗を翻す者。両者のとった行動は真逆でも、共に王を想う気持ちは同じだった。」
「実は、一番初めに叛逆を決めたのがケイ卿でね。彼の行動が、他の叛逆者に勇気を与えたと言ってもいいだろう。獅子王側についた騎士たちは、逸話も宝具もモリモリの化け物揃い。そんな相手に戦うことを選ぶとは、私の知る彼とは随分違うようだ。――まあともかく、彼らは獅子王に歯向かい……そして、ボロ負けした。」
「はっきり言わせてもらうなら、勝敗の見えている戦いだったからね。ほとんど守勢一方の彼らは一人また一人と倒れ、最後にはケイ卿一人が残った。実に皮肉な話だね。最後に残ったケイ卿は、獅子王に降伏するふりをしておびき寄せ、自らの宝具を展開した。それがこの川だよ。」
「円卓一の水泳の名手と謳われる彼は、こういう水に関する宝具を持っていてね。これで獅子王と自分とを囲み、誰にも邪魔をされないようにしたのさ。勝てる見込みのない戦いだが、ケイはそれでも戦うことをやめなかった。片腕をもがれてなお、剣を持ち換えて戦った。 ……その結果、この川だけが残ったのさ。」
その言葉を受け、あらためて川に目を戻す。荒れ狂う流れは、髪を振り乱しながら戦う勇猛な騎士を思い起こさせた。彼は一体、何を思って戦っていたのだろうか。
「―――進みましょう。私たちは、彼の意志を継いで戦わなくてはならない。」
ベディヴィエールのその言葉に、みな力強く頷いた。マーリンも満足げに頷き、『うんうん、これこそ私の仕事だよね』と呟いている。
「さて、ではこの川を渡る方法ですが……ダヴィンチ殿。よろしくお願いします。」
「……ふっふっふ。自爆がダメなら別の方法で役に立とうじゃないか!この万能の人、レオナルド・ダ・ヴィンチちゃんに任せなさい!」
その言葉に嘘はなく、あっという間に橋が組みあがった。釘も接着剤も使わないのに高い強度を誇ると有名な『ダヴィンチの橋』に代表されるように、橋を作ることに関してはそれなりに一日の長がある。ダヴィンチちゃんはあっという間に全員が渡れるような橋を組み上げると、渡り終わったあとにそれを燃やして落としてしまった。これで円卓の騎士が追ってきたとしても、その配下の騎士たちまでは追ってこれないだろう。
「やったー!これでちょっとは安心できるんじゃない!?」
「山の民に接触するまで油断は禁物です。しかし、これほどまでに上手くいくとは……。」
「全くだね!マーリンはろくでなしだと各所で聞くが、自分の目で見るまで分からないものだ!」
口々に褒められて、マーリンの方も『やあやあ、ありがとう!』などと調子のいいことを言っているので、難民たちの雰囲気もいつしか柔らかなものになっていった。こうなってはケンもマーリンのことを警戒してばかりもいられないと思い、感謝を告げる。
「――マーリン殿。今回の助力は本当に助かりました。……過度に警戒していたこと、謝罪します。」
「わぁ、久しぶりにしおらしいところを見た気がするね。なに、私がやりたくてやったこと、礼は不要さ。」
「マーリン……!」
ケンは一人、感動していた。マーリンからそんな義に溢れた人のような言葉が聞けるなんて!誰しも、善の道に進めるものなのだと打ち震えていたが、次の言葉でそれはあっさりと裏切られる。
「どうしても礼がしたいというのなら、君のあのかわいい女の子たちによろしく言っておいてくれないかい?『近いうちにお邪魔するよ』とでもさ。」
「……は?」
おじゃま?する?カルデア、に……??
「おっと、そろそろマーリンお兄ちゃんに怒られてしまうね。それじゃあ、残りの旅路も頑張ってくれたまえ、マイ・フェイト!」
「いや!あの!ちょ、ちょっとまっ……!!」
真夏の夜の夢の如く、一瞬で消えていったマーリン。後に残ったのは、更に厄介ごとの種を抱えてしまった男の、悲痛な叫びのみなのであった……。
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「サー・ランスロット!標的の足跡はこちらの川の目の前で途切れています!」
「で、ですが、こんな激流に橋をかけられるものか……?追跡から逃れられぬと観念して、身を投げたのでは……?」
ランスロットはただじっと、川を見つめ続けていた。かつての友の墓ともいえるこの流れ。自分が為せなかった正義を突きつけられているようで、思わず胸を押さえてしまう。
「サー・ランスロット、いかがなさいますか?あなた一人なら、この川を泳いで渡ることも可能なのでしょうが、我々はそうは……」
「……いや、この川を渡ることなど、誰にもできはしない。馬を手配しておけ。川を迂回して追うぞ。」
「了解です!すぐに用意を!」
返事をして慌ただしく動き始める兵士たち。それを横目に見ながら、ランスロットは考え続けていた。己の正義とは、一体何だったのかを。
「マ、マスター……。一応お聞きしたいのですが、その花はいったい……!」
「あ、これ?なんかいつの間にかポケットに入っててさ。すごくきれいだしいい匂いだから、しおりにでもしようかなって。」
「す、捨ててください今すぐに!!なんなら燃やしてください!!」