行けるかなぁ?
行けたらいいなぁ……(´・ω・`)
拳藤さん、オレンジ髪が茶髪かよくわからんぴ
雄英高校の入学当日。学生にとって重要な1歩とも呼べる特別な日。
「太陽の加護を!!」
今日も今日とて個性の修行だ。
ルードゲートが1年かけてじっくりと作り上げた訓練施設。『蒼の祭壇』と呼ぶ、かつてアーナスとルードゲートが死闘を繰り広げた場所を再現した施設だ。
「はぁっ!!」
今回はリリアーナに変身して能力を高める修行。
『太陽の巫女』と呼ばれている彼女は、その名の通り太陽の力を借りて戦う少女だ。
太陽の加護を付与した貫通レーザーで邪妖を倒す。それが彼女の基本戦法である。
『甘いわ!』
しかし、それはルードゲートの剣によって払われる。
太陽は夜の天敵。しかし、相手は力が減少しているとはいえ、夜の君だ。この位の攻撃など屁でもない。
『くらいなさい!参ノ剣!!』
ルードゲートは雷の力を宿らせて剣をなぎ払い、斬撃を飛ばす。
「くっ!!」
迫り来る斬撃を右に跳ぶ事で何とか避ける。が、バランスを崩し、ゴロゴロと転がってしまう。
片手と片膝をついてバランスをとり、瞬時に立ち上がった。
「っ!?」
そして転がった地面にはビッシリと魔法陣が描かれている。
『はぁっ!!』
魔法陣から放たれた雷はとても速く、正に波と言っても過言ではない。
「はああああっ!!」
避けられない。そう確信した時、両腕を前方に伸ばす。
すると、両腕から透明のエネルギーが放たれ、それが雷に向かっていく。
相手が放った攻撃に比べれば、遥かに弱々しいもの。しかし、これに関しては当たりさえすればいい。
そして、透明のエネルギーが当たった瞬間、雷が異常に遅くなった。
その隙にとその場を離れた瞬間。
『甘いわね』
目の前に現れたルードゲート。彼女は剣を払い、樋の部分で殴り飛ばした。
「きゃあああああ!!」
野球ボールの如く吹っ飛ばされ、柱に背中を打ち付けた。
『……勝負あり。ね』
審判を勤めていたヴァルデロッサから終了の合図が言い渡される。
よろよろと立ち上がり、聖歌を歌い、受けた傷を治していく。
『残念ねぇ。まーた打ちのめされちゃって』
クスクスと嘲笑うヴァルデロッサを睨むが、本人はさらりと流している。
リリアーナはどちらかと言うとサポート、後方支援型だ。
回復に、遠距離攻撃。そして時間遅延能力。その能力を使いこなし、アルーシェと共に邪妖退治をしていた。
だが、リリアーナ本人は1人でも戦える。最前線で戦える。チャージなど必要なく太陽光線を放てるし、聖歌で様々なバフをかけているのだ。ものすごく体力を消耗する時間遅延も上手く使いこなしている。
だが、自分は違った。
同じリリアーナの身体、能力を使ってはいるが、それだけだ。
チャージに時間がかかるし、威力も低い。他の力は言うまでもなかった。
『まあ仕方ないわよ。アルーシェ、ルーエンハイド、カミラ、エレノア、ヴェルーシュカ、リリアーナ。彼女達に変身できたのを確認して僅か1ヶ月。アーナスやクリストフォロス、ミストラルと比べると、2年位の経験の差があるもの』
『まあ得意不得意はあるだろうけど、私と戦った彼女と比べると……ねぇ?』
『前進あるのみね』
パンパンと埃をはらい、軽くストレッチを行う。
『我が半身よ。そろそろ行くぞ』
入ってきたマルヴァジーアに時間だと告げられ、少し沈んだ気持ちで登校するのだった。
ーーーーーーー
雄英高校、教室前。4人は扉の大きさに感心していた。
『扉も大きいじゃないのさ』
「ヴァルデロッサの本気モードでも入れるねコレは」
『そう言われればそうねぇ。これがバリアフリーってやつかしら?』
『我でも壊さずに入れそうだな』
妖魔3人がそう評価し、『1年B組』と書かれてある教室に入った。
数多くの同級生がおしゃべりしたり、何かしら作業をしていたり、ソワソワしたりする者が多かった。
天下の雄英。倍率300倍。偏差値79。憧れの学校へ入学した事でテンションが上がっているのだろう。
『邪妖みたいな見た目してる人もいるけど、人間なのよね?』
「血の色は赤だよ。蒼じゃない」
『未だ見慣れん光景だな』
「そのうち慣れると思うな」
クラスメイトを観察してみる。
髪が茨になっている者。顔がボンドの者。角が生えている者等、様々な容姿をした人間がいる。
個性には大きくわけて『発動型』、『変形型』、『異形型』の3種類に分けられている。
発動型は自分の意思で個性を発動する最も多い個性だ。手から水を出したり、触れた物を浮かせたりと、数え切れないほど種類が多い。そこからさらに派生して『増強系』や『拘束系』等、細分化されているものだ。
変形型は文字通り身体を変形させる個性。身体を固くする。巨大化する等、身体に影響を及ぼす効果のある個性がここに分類される。
最後に異形型。動物や物質の特徴が強く、人間離れした容姿及び、容姿に限りなく近い身体能力をもつ個性である。
と、軽く本で見た。だが書かれているものを知るのと実物を見るのは違うものだと妖魔2人は思った。
教室に入り、座席表を見てから自分の席にカバンを置いた。
「あっ!白百合!お前も受かったんだな!」
「……?」
席に着くと、受験で協力したオレンジ髪サイドテール女子が声をかけてきた。しかし、協力した事は覚えているが、名前が思い出せない。
首を傾げ、指を指して隣にいるルードゲートの方を向いた。
「……大拳?」
『それは個性名じゃなかった?』
「……人間?」
『妖魔なわけないだろう』
「……大拳豪?」
『2つ名っぽくなったわね』
手を大きくする個性なのは覚えているけど名前が思い出せない。
「ああ。あの時はゼロポイントが出てきてバタバタしてたからね。改めて、拳藤一佳だ。宜しくな。白百合」
「……?自己紹介したっけ?」
「したよ!アーナス?って人に変わった時に思いっきりしたよ!?」
「いきなりぶん投げられた事しか覚えてない」
「いやそれアンタが頼んだことじゃん!!」
「そうだっけ?」
静かめな雰囲気だった教室が、2人の人間によって騒がしくなる。
「oh!コレがジャパニーズマンザイ言うデスね!」
そんな2人に対し、真っ先に反応したのは角が生えている少女だ。日本語を覚えたての外国人のような口調で、明るく話しかけた。
「ナマで見るノ、ハジメてデス!カンドウ、シマしタ!」
「いや違うから!そういうんじゃないから!」
「あ!ワタシ、角取ポニー言いマス!ワタシもシタいデス!マンザイ!」
「聞いてよ!」
「……?」
と、今度は漫才談義になっていく教室内。先程までほかの事をしていたクラスメイト達は拳藤達の方に目を向けた。
「おはよう!元気があるのはいい事だが、そろそろ席に着け」
それと同時に教師らしき白髪の大柄な男が入ってきた。頬に十字傷を持つ、筋肉質の男だ。下の日本の歯は牙のように鋭い。
「全員席に着いたな。俺が今日からお前達、1年B組の担任になる、ブラドキングだ。長いので『ブラド先生』と呼んでくれて構わない」
担任……ブラドキングの言葉に「はーい!ブラド先生!」と返事する者。
「本物だ……本物のヒーローだ」と感激する者等、嬉しいといった気持ちの者たちが多い。
『ブラドキング……『血の王』ね』
「個性は『操血』。血液を自由自在に操ってヴィランを捕縛したり制圧したりするんだってさ」
『ほう?』
担任のヒーローネームに反応したのは妖魔たちだ。
血を操る……という事は、妖魔の蒼い血も対象内なのだろうか?と思わずにはいられない。
「……かつて、初代聖女は初代夜の君を倒した。でも、彼が死に際に降り注いだ蒼い血の雨によって有機物無機物問わず、邪妖になった」
『ええ。そして私は、2代目の夜の君になった。世界をひとつにするために』
「……!!」
担任が今後の説明を。生徒達がテンションを上げて騒がしい空気の中、蒼い血について思い出していた。
『ブルーブラッド』と呼ばれる11世紀に起こった災厄は、一瞬で世界を混乱と狂乱に叩き込んだ。
妖魔の血を一定量吸収する事で、人は簡単に邪妖になってしまう。
以降、邪妖は夜になると現れ、人々を襲うようになったことから『夜の無い国』と言われていた。
「ほら。何独り言言ってるかわかんないけどさっさと並ぶよ。後は私たちだけなんだからね!」
いつの間にか騒がしい空気は消え、B組が廊下に並んでいるのが見えた。
拳藤に襟を掴まれ、引き摺られながら列に並んで入学式に出席した。
隣のA組が入学式不在というアクシデントが起こったものの、入学式は滞りなく終わって行った。
オフトゥン. [(:3[*:☆.。]