麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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百話

 

 その男には長年、解消できなかった思いが存在する。

 

 その思いが生まれたのは大海賊時代幕開けの三年前の時であり、その思いの相手はその男にとっての宿敵に対してである。

 

「ジハハハハ、お前も分からねぇ男だよなぁ、ロジャー!! この話をするのはもう、何十回目だよ」

 

 何十隻もある大艦隊を引き連れながら、シキは今日を決戦という気で最後の勧誘を宿敵であるロジャーへとし始める。

 

「お前が在り処を知る世界を滅ぼす兵器と俺の兵力っ、そして俺が長い月日を費やして立てた完璧な計画があれば、今すぐにでもこの世界を支配できるっ!! 俺の右腕になれ、ロジャーっ!!」

 

 そう、シキにはこの世界を己がものとする野望があり、それが故にロジャーの知識と力を欲していた。

 

「これも何十回も言ってるよなぁっ、シキっ!! 俺は支配に興味がねぇっ、やりてぇ様にやらねぇと海賊やってる意味がねぇだろ?」

 

 何を言ってるんだとばかりにロジャーはシキの勧誘を断った。

 

「どんな圧力をかけようが、何度言われようがお前の申し出は断るっ!!」

 

「つまりその答えは今ここで殺してくれという意味だよな?」

 

 

「てめぇら全員、叩き潰すって意味だよっ!!」

 

 そうしてシキは宿敵であるロジャーと後にこの世界で『エッド・ウォーの海戦』を繰り広げた。

 

 最初はその艦隊の数もあってロジャーを追い詰めていたシキだが、まるでロジャーに味方するように天候が大きく荒れ狂い、そうしてシキの大艦隊の半分が海に沈められ、更に……。

 

 

 

「っ、な!?」

 

 シキにも不慮の事故が襲い掛かった。どこからか飛んできた舵輪が頭に深く食い込んでしまった。無理に抜けば命に関わるので抜く事も出来ない。

 

 戦い自体も痛み分けとなって終わってしまった。

 

 決戦をするつもりが文字通り、お流れになってしまったのだ。

 

「(まぁ良い、必ずお前を……)」

 

 次の戦いにおいてロジャーを倒そうと準備していた。

 

 そんな中で二年後、ロジャー海賊団は不可能と言われた『偉大なる航路』制覇を成し遂げ、ゴールド・ロジャーは『海賊王』と呼ばれるようになっていた。

 

「へへ、やってくれるじゃねえか。流石は俺の認めた男だ」

 

 シキはロジャーに倒そうと更に気合を入れたがロジャー海賊団は謎の失踪をした。そして、それから一年が過ぎた頃……。

 

 

 

『海賊王逮捕』のニュースが世界を賑わせる。

 

「ふざけるなぁぁぁぁっ!!」

 

 シキは当然、激怒した。自分の宿敵が海軍に捕まるなど信じられないし、認められなかった。自分との戦いに決着すらついてないのだから……。

 

激怒のままにシキは海軍本部のマリンフォードへと乗り込む。

 

「ロジャーがいるなら連れて来い。殺すなら、俺の手で殺してやるっ!!」

 

「残念だったなシキ、お前は奴に勝ち逃げされたんだ」

 

「ここに乗り込んだ以上、お前に引導を渡してやろう」

 

「抜かしやがれぇぇぇぇっ!!」

 

 

 こうしてマリンフォードでのシキにガープとセンゴクの戦いはマリンフォードの町を半壊させるまでに及び決着を見た。

 

 これにより、シキはインペルダウンへ投獄される事になりこの一週間後、ロジャーは処刑され大海賊時代が幕明けたのだ。

 

 そしてロジャーの死から二年後、シキは自分の両足を切断して監獄にて没収されていた名剣である『桜十』と『木枯らし』を取り戻し、それを義足としながらインペルダウンを脱獄し、しばらく世界から身を隠した。

 

 そうして全世界支配の計画を練りながらも……。

 

 

 

 

「(ちっ、奴がいない以上はやりがいがねぇ)」

 

 自らの宿敵との戦いに決着がつけられなかったという決して晴らす事の出来ない負の感情が確かにシキの身に燻り続けていた。

 

 だが……。

 

「まさか、まだこの世界にちゃんとした奴がいるなんてなぁっ、早く来いよ、ルフィィィっ、ジハハハハハハっ!!」

 

 自らの血を、感情を沸かせる強敵だと示したルフィをシキは次なる宿敵と認識し、今度こそそうした相手と決戦を繰り広げ、勝ってみせると誓いながら、シキは自らの能力で高度数百メートルは浮かせて支配している島の『メルヴィユ』にてこれ以上ない程の歓喜に打ち震える。

 

 

 

 

「待っていろよ、シキ」

 

 そして、結構な距離からメルヴィユを見上げながらも『麦わら旅団』は確かに向かって行ったのであった……。

 

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