麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

13 / 159
十二話

 

 規模は大小様々とはいえ、数えるのも億劫なほどに蔓延っている海賊であり、『大海賊時代』を迎えているこの世界。

 

 そんな海賊たちによる暴虐から一般市民を、世界の秩序を守るために最も対抗している組織こそ世界政府直属の海上治安維持組織である『海軍』であり、そのシンボルは『Ⅿ』の文字を図案化したカモメのマークである。

 

 そして組織として掲げているのは『絶対的正義』。

 

 ルフィは数年の間、海軍の教育機関で教育を受けながら志を学んでいるし、更にガープ個人の頼みによって彼と同期だという海軍本部元帥、その元帥もであるがガープも教えを受けたという歴戦の老兵であり教官、それぞれ『青雉』、『黄猿』、『赤犬』と呼ばれる三人の大将などといった大物たちにも師事しながら、交流を通してそれぞれ彼ら個人が掲げる『正義』も学んだ。

 

 因みにルフィと関わったガープ以外の者たちはルフィの才気溢れる実力もそうだが、マイペースなところもあるガープと比べてルフィは非常に真面目で礼儀正しい少年だったので『本当にガープの孫なのか?』と驚愕した(特にガープに振り回されることの多い海軍本部元帥)。

 

 だからこそ、ルフィは良く知っているのだ。海軍に属する者はその多くが形こそ違えど、己が掲げる『正義』のために、善良な人々や秩序を守るために命を懸けている事を……。

 

 そして、そんな者たちにルフィは尊敬している。だからこそ、今、この『シェルズタウン』にて『海軍』の名を汚している者が許せなかった。

 

 

 

 

 

 

「ガキがぁぁ、この町で一番偉い俺を悪党呼ばわりするとはなぁっ!! 初めてだよ、こんなにも歯向かわれたのはっ!!」

 

 ルフィの罵倒により、激怒しながら大勢の部下を引き連れてその男は姿を現す。

 

 そして、罵倒した本人であるルフィとリカを海軍基地から逃がし終えて戻ってきたウタ、磔にされていたがルフィに解放されたゾロの周囲を部下に指示を出して囲ませたのはこの『シェルズタウン』の海軍基地を治めるモーガン大佐。

 

 彼は筋肉質の巨漢であり、金の短髪に下顎には鉄のマスク、右手には斧を義手のようにはめ込んでいた。

 

「それは良かった。ならもっと歯向かう事にしよう。だが、その前に聞かせてくれ、この町の現状からどうやったら、お前が一番偉いって事になるんだ? それに権力を振るって私欲を満たし、それを妨げる者は容赦なく排除するのが偉い者のやる事か」

 

 ウタに麦わら帽子を投げ渡しながら、『見聞色の覇気』でモーガンとその部下たちの内面を探りながら、モーガンへと問いかける。

 

「くく、やはりガキだな。何を言っている……良いか、世の中、称号が全てだ。この基地で最高位の大佐であるこの俺は最高に優れた人間。そしてそんな俺に従うのはこいつらと、この町の人間の当然の義務なんだよ」

 

 失笑するとモーガンは己の自論を話し出す。

 

「……そうか、ありがとう。お陰で分かったよ。お前がどうしようもなく、救いようの無い馬鹿だって事はな」

 

 ルフィは溜息を吐くと……。

 

「良いか、海賊蔓延る『大海賊時代』を迎えているこの世界……人々はいつ、海賊に自分たちの平和や平穏が壊されるか不安で仕方がないんだ。そんな人々の平和と平穏を守るのが貴方たち、海軍だ」

 

 モーガン以外の海兵たちへと語りかけ始める。

 

「なのに、この町の人々は海軍の名を聞くだけで震え、恐怖している。守るべき人々を逆に害してどうするっ!! 貴方たちがやっている事は海賊と同じどころかそれよりも性質が悪く、他の海軍や世界政府の名を汚しているんだぞっ!!」

 

『……っ』

 

「おい、貴様ら。なに、このガキの言葉に耳を傾けてやがる!!」

 

 ルフィの言葉にモーガンの部下は全員が心揺り動かされ、そんな様子にモーガンは怒った。

 

 

 

「貴方たちは今の自分の姿を同じ海軍の仲間に……家族に……友人に誇れるのか? 胸を張れるのか? もし、まだ誇りが残っているなら、誇りを取り戻したいのなら、俺が助けてやるからこれ以上、その塵屑の言いなりになって自分を貶めるのは止めろ」

 

『!!』

 

 そして、ルフィの呼びかけにモーガンの部下たちは構えていた銃を捨て、その場から離れて距離を取る。

 

 

 

「それで良い」

 

「貴様らぁぁぁ、何のつもりだぁぁぁっ!!」

 

 ルフィは頷き、モーガンは更に怒る。

 

 

 

「お前には分からないが、これは当然の結果だよ。それじゃあ、始めようか決闘を……一人じゃ戦うことも出来ない臆病者の腰抜けじゃないなら、掛かって来い」

 

「ぶち殺すっ!!」

 

 ルフィは手招きするとモーガンは怒りが振り切れ、彼へと猛進。そうして右手にはめ込まれた斧をルフィの頭上へと振り下ろす。

 

 しかし……。

 

 

 

「お前に俺は殺せないようだな」

 

「な……あ……」

 

 ルフィが左の人差し指を立てて振り下ろされる斧の刃の前に置けば、それだけでモーガンの斧の動きは止められる。モーガンが力をいくら込めようともやはり、動かなかった。

 

「じゃあ、次は俺の番だ。今まで誰も裁けなかったお前の罪は、俺が裁くっ!!」

 

「う、うおおおおおおっ!!」

 

 ルフィは言い終えると同時に左の人差し指を斧ごと上へと突き出した瞬間、モーガンの斧は砕け散り……そして……。

 

 

 

拳砲(ケンホウ)――連破(レンパ)っ!!」

 

 機関銃を想起させる程の両拳による猛烈な連撃がモーガンに対して繰り出され、モーガンの全身を破壊し、悲鳴すら許さず蹂躙する。

 

「はあああああっ!!」

 

 ルフィは『見聞色の覇気』でモーガンの様子を探りながら、連撃を炸裂させ続けながらその体を打ち上げていき……。

 

「おおおおおっ!!」

 

 

 最後に拳を握り締め、力の限りに拳撃を繰り出した。

 

 

 

 

「ぐぎゃああああああっ!!」

 

 モーガンは下顎のマスクもそして顔面も体も徹底的に破壊されながら、海軍基地の中へと吹っ飛ばされ、そのまま床を転がって倒れ伏す。

 

「……「お疲れ様」」

 

 モーガンに対し、溢れる怒りのままに深呼吸して、追撃しようとしたところでウタが声をかけて、帽子を被せる。

 

 

「もう、終わり……でしょ?」

 

 そして、微笑みながらも視線で訴え、問いかけた。

 

「……あぁ、そうだ」

 

 モーガンを殺そうとしていた自分を止めてくれたウタに感謝の意を込めつつ、笑みと言葉を贈る。

 

 

 

「全員、敬礼!!」

 

 そうして、モーガンの部下であったリッパー中佐他、海兵たちは自分たちではどうすることも出来なかったモーガンを倒したルフィに感謝を込めて敬礼したのだった。

 

 そんな様子を見たゾロは……。

 

 

 

「面白ぇ」

 

 何か内心で決めながら、そう笑うのだった……。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。