麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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十六話

 

 とある島の沖に密かに停泊しているのは『クロネコ海賊団』の海賊船。

 

「ジャンゴ船長、たぶん観光船だと思うんですが……妙な旗を上げた船が近づいてきます」

 

 見張りをしている船員が三年前より、この船の船長になっている中折れ帽子を被り、ロングコートを着て、ハートマーク型のサングラスをかけた催眠術を得意とするジャンゴに報告する。

 

「そりゃあ、良い……お前らもしびれを切らしていたところだろう。此処まで近づくのを待って、襲っちまうか……それくらいの息抜きはあの人も許してくれるだろう」

 

「へへ、流石はジャンゴ船長。話が分かる」

 

「思いっきり暴れまくってやるぜ」

 

 ジャンゴの指示に船番を務める『ニャーバン・兄弟(ブラザーズ)』と呼ばれている猫耳を付けた小柄な男であるシャムと猫耳を付けた大柄で恰幅の良い体系をした男であるブチが喜ぶ。

 

「ん、何やら船主近くの方で何やら、麦わら帽子を被った男が砲弾を持って……え、まさか投げる気か?」

 

「おいおい、野球の玉じゃないんだぞ。それに全然、届かないくらい遠いぜ」

 

「そうそう、砲弾は大砲で撃つものだ」

 

「変な奴がいるんだな」

 

 望遠鏡で様子を見ている船員の報告にジャンゴたちは笑うものの……。

 

 

 

「あ、投げてきた。って、速っ!?」

 

 そうして、海賊船に砲弾が炸裂し爆発する。

 

 

 

 

『……は?』

 

 

 

 まさかの炸裂にジャンゴたちは混乱する。その間にも凄まじい勢いで砲弾は飛来し、次々と炸裂していく。

 

 

「ぅ、うおおおおおおおっ!? 急いで此処から離れろぉぉっ、狙い撃ちにされちまうううううっ!!」

 

 

 大慌てで岸から出向する指示をジャンゴは出したのだった……。

 

 

 

 

 

「爺ちゃん直伝、(ゲン)(コツ)――隕石(メテオ)ってな」

 

 『見聞色の覇気』で島の沖に潜む海賊船を感知したルフィはそちらの方へと向かい、アルビダの船やバギーの船からかっぱらっておいた砲弾を使い、ガープ直伝の投擲技を使って攻撃した。

 

「ナイスコントロール!!」

 

「ちょっとルフィっ!! 宝があるかもしれないんだから、沈めないでよね」

 

「お前、本当人間離れしすぎだろう……」

 

 ウタはルフィを褒め、ナミは注意し、ゾロは呆れる。

 

「良し、肩慣らしは終了。というわけで行くぞ、ゾロ。お前も戦いたいんだろう?」

 

「ああ、それはそうなんだが……おい、まさか俺を投げる気か?」

 

「そのほうが手っ取り早いからな。大丈夫、ちゃんと届けてやるよ」

 

「……落としやがったら一生、恨むからな」

 

 そう言って、ゾロは二刀を手に持ち、最後の一刀は口に咥えて戦闘態勢となる。

 

「大丈夫だって」

 

 ルフィは笑うとゾロを抱え上げて海賊船へと大遠投、自分はいつもの如く、六式による『剃刀』で海賊船へと移動し……。

 

『さあ、戦ろうか』

 

『ちょ、ま……』

 

 そうして『クロネコ海賊団』に対しルフィは拳足を唸らせ、ゾロは刀閃を刻む事で彼らを倒したのだった……。

 

 

 

 

2

 

 

 『シロップ村』には大富豪の屋敷が一軒建っている。その主は年若く、病弱な少女である。

 

一年くらい前に少女の両親が病気で亡くなってしまったためだ。

 

少女には莫大な遺産と大きな屋敷、十数人の執事たちが居るが……。

 

「(ようやく、この面倒な芝居生活も終わりだ)」

 

 この屋敷の執事の一人でオールバックに眼鏡をかけた男のクラハドール――しかし、それは仮の姿でその正体は『クロネコ海賊団』のキャプテン・クロだ。

 

 政府や賞金稼ぎに狙われる生活に嫌気がさし、副船長で催眠術師のジャンゴの協力の元、『キャプテン・クロ』の影武者を海軍の一人に捕まえさせた。

 

 こうする事で海賊船から海賊団までジャンゴに譲りつつ、関係は続けながらこの屋敷の使用人、クラハドールという仮の姿を手に入れた。

 

 屋敷の両親が死んだのは予想外だったがしかし、三年の生活で今の主人、カヤとは十分な信頼関係を築いている。

 

 

 

 なので後はカヤにジャンゴによる催眠術をかけて自分に全財産を譲るという遺書を書かせ、沖に停泊させている海賊たちを使って村を襲わせつつ、不慮の事故を装ってカヤを殺して大金を手にしつつ、ジャンゴたちも殺す事で完全なる平穏を手に入れようとキャプテン・クロは計画し、その最終段階を実行しようとしていたが……。

 

 

 

 

「っ……?」

 

 彼が屋敷を歩いていると急に胸が強く動悸した。

 

 

 

「そうだな、お前は終わりだ。キャプテン・クロ」

 

「……が、あっ!?」

 

 突如、何者かにすれ違いざまに声をかけられながらクラハドールであり、キャプテン・クロは凄まじい苦しみに悶えながら気を失ったのだった……。

 

 

 キャプテン・クロを気絶させる事で無力化させたのはルフィだ。

 

 

 『クロネコ海賊団』のジャンゴ達を拘束し、ウタの力で彼らの計画を知ったルフィは単独で『クロネコ海賊団』が停泊していた沖から潜入し、村人にもこの屋敷の者たちにも気づかれないように行動しながら、クラハドールにルフィは近づいた。

 

 そして人差し指による一本貫手で相手の体を撃ち抜く六式の技が『指銃(シガン)』を彼独自に発展させた技であり、直接指で撃ち抜くのではなく、衝撃で相手の内部を撃ち抜く『指銃(シガン)――(ショウ)』を使用する事で彼の心臓の動きを一時的に麻痺状態にする事で無力化したのであった……。

 




 
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