シャボンディ諸島で二年振りに集結し、ゲッコー・モリアが見つかるまでという条件付きだが新しい仲間であるペローナを加えた『麦わら旅団』はレイリーによるシャボンコーティングをされたサニー号で魚人島へと航海を始めた。
まあ、潜水という特殊な航海方法だが……。
「航海早々、特殊な方法を用いる事になるとはな」
「でも綺麗だよ」
「ああ、滅多に見れない光景だ」
「あれはマングローブの根っこね……海底まで続いてるなんて本当、凄いわ」
「おい、後ろになんかいるぞっ!?」
「深海で生きるために進化してるんだろうな」
「ふふ、本当素敵な光景だわ」
「海の中ってこんなになってるのかぁ」
「それにしてもこのシャボンコーティングは優れものね」
「おお、普通は深海の圧力にやられるだろうからな」
「ヨホホ、この海の光景を音楽として残したいですね」
「航海も悪くはねぇな」
ルフィ達は海の中の光景とマングローブの根っこや海中を泳ぐ巨大な魚などを見て見惚れていた。こういう光景を見れるのもシャボンコーティングの性能もあるが……。
このコーティングはシャボンディ諸島のシャボン玉と特性は変わらない。ある程度までは伸びるが、その程度を超えればシャボンは突き抜けてしまう。
極端な話ではあるが、船に襲い掛かる海獣に向けて銃や大砲を撃ち込んでもシャボンは割れない。
一度に大量の穴が空いたりすれば駄目だ。海獣に海王類の牙に岩や海溝にぶつかって中の船が壊れたり、マストや船体の割れ口でシャボンが割れてアウトになってしまうなどコーティングの性能を過信するべからずだ。
レイリーからのメモによると魚人島を目指す船は到達前に七割沈没するとの事だった。
そうして、サニー号は『受光層』を抜けて『薄明層』も終わり、千メートルは越えたのだ。しかし、船自体は静かに潜水していく。
指針より南西へと船は進んでいるがそれは正しい航路になる。直進すると海流に攫われて下降しきる前に海山や海底火山に突き当たっておしまいになるからだ。
また、海の下層部は『深層海流』と呼ばれる普段、人々が目に出来ない巨大な海の流れがあって、それは『表層海流』とは全く別の動きをする海流だ。
とはいえ、表層海流も深層海流も途切れることなく、必ずどこかで繋がっているのである。
ともかく、ルフィ達は表層から深層へ潜る下降流に乗り、『深層海流』の流れる深海への到達を目指す。
海流が大きく下へ流れ落ちるための条件の一つとして、極寒の冬島の気候帯があり、もう一つの条件も揃っている。
冷たくて重い水と極寒の地に海氷があり、その氷が出来る時に塩分濃度が……そんな話をウタにウソップとチョッパーが詳しく聞こうとしたが……。
『不思議な海流があるんだなぁ~』
「人に聞いたんだから、理解する努力をしろよ」
ルフィもなるべく、分かりやすいように説明をしようとしたがウタたちは理解を諦めた。
ルフィは溜息を吐く。
「おお、海中の巨大な滝だ」
目的の海流がある場所を見つけ、巨大な滝のようなそれに感動すらするが……。
「(助けてぇ!!)」
「この声は……あれからか」
『おいおい、巨大な蛸の怪物がいるぞ』
ルフィが聞こえてきた声の方向を見ると超巨大な蛸の怪物が姿を現した事でウソップにチョッパー、ペローナが動揺する。
「俺達らしいじゃないか」
蛸の怪物の登場に対し、ルフィは楽し気に笑みを浮かべたのだった……。