『シロップタウン』で一日過ごし、村人の一人で『赤髪海賊団』の狙撃手、ヤソップの息子であるウソップを加えて船を出したルフィ達……。
次の目的地は昨日、『クロネコ海賊団』の身柄を引き取りに来た海兵が薦めてくれたくれた海上レストランの『バラティエ』である。
「いやー、ルフィの兄貴。相棒を助けていただき本当にありがとうございました」
「この借りは必ず返させていただきます」
航海をしていると『見聞色の覇気』で弱弱しい存在を岩山から感知したのでそこへと行けば、黒の短髪に左頬に『海』という字を刻んでいるグラサンをかけた男のジョニーとスキンヘッドの男で『壊血病』になった事で弱っていたヨサクを発見する。
ルフィはすぐにヨサクを救助してやった。因みにジョニーとヨサクはゾロと賞金稼ぎ仲間であるらしい。
「別に気にしなくて良いぞ。困ったときはお互い様だ」
「ゾロもそうだけど、ちゃんと航海する時に必要な知識や技術、物資は持っておかないとね」
「俺を巻き込むんじゃねえ……」
ルフィに続いてウタが揶揄うように言うとゾロは苦虫を噛み潰したような表情で言う。
そうして、ジョニーにヨサクの二人と別れるとルフィたちは目的地の船首から後ろまで魚の形となっている船である海上レストラン『バラティエ』に着き、中へと入る。
「ああ、海よ。今日という日に何という出会いと幸運を届けてくれたのか。素晴らしく綺麗で素敵な女性に二人も会えるなんて♡」
注文を聞きに来た短い金髪で顔の左側は前髪で隠れていて、露になっている右側の眉毛の先が丸になっているのが特徴的なスーツ姿の男がルフィの隣にいるウタ、彼女の隣に居るナミを見て右目をハートマークにしながら、近づいてきた。
この男はこのレストランの副料理長、サンジである。
「ふふ、ありがとう」
「お世辞でも嬉しいわ」
「いいえ、私は本当のことを言っています。お姫様たち」
サンジはウタとナミを積極的にナンパし始めている。
「ルフィ、お前……ウタがナンパされてるけど良いのか?」
船の上においても島においても良く二人で連れ添っていて、まだ旅に加わったばかりのウソップでも熟年の夫婦みたいな雰囲気を出しているルフィとウタ。
ウタがサンジにナンパされているのは不快じゃないのかと小声で聞いてみれば……。
「ウタは新時代を作る歌姫になろうっていう女だぞ。それにウタ自身も魅力的な女性だから、男が近づいてくるのは当然のことだ。嫉妬してちゃあ、こっちの身が持たない」
「お、おお……なるほど……」
「それにウタと俺は他の誰も俺たち自身も断ち切る事の出来ない繋がりがあるんでな」
「よぉし、良く分かった。もう、良いぞ。俺も聞かない」
このままだとルフィから終わる事の無い惚気話を聞かされそうなのでウソップは何とか止める。
「絶対にもう、この話題には触れるなよ」
「はい」
ウソップはゾロから小声で脅しも含めての注意を受ける事になったのだった。
ともかく、料理を注文しその味に舌鼓を打ちながら食事を楽しんでいたルフィ達だが……。
「か、海賊だぁぁぁっ!?」
「ありゃあ、『クリーク海賊団』の旗じゃねえかっ!?」
少しするとバラティエに巨大な海賊船であるガレオン船がやってくる。もっともボロボロの状態だったが……。
『クリーク海賊団』とは50隻の海賊船で行動している『海賊艦隊』であり、その首領の名は50隻の海賊船の船長を総括している『
「す、すまん。水と飯を貰えないか……金なら……幾らでもある」
「ほ、本当に持っているんだ」
弱弱しく衰弱している大柄な男が同じく衰弱状態な頭に布を巻いている黒い短髪の男に抱えられながら入店する。
大柄な男はなんと『クリーク海賊団』の首領であるクリーク本人で彼を抱えているのはクリークの部下で戦闘総長のギン。
「お前のような極悪人に出す飯も水も無いに決まっているだろうっ!!」
「そうだそうだっ!!」
「罰が当たったんだ」
どちらも土下座しつつ、必死で飯と水を求めたがバラティエのコックの一人が断り、ルフィ達以外の客もコックの意見に同意するが……。
「おい、どけよパティ」
サンジがコックを蹴っ飛ばしてクリークとギンに飯と水を与えた。
「すまんっ!!」
「恩に着るっ!!」
クリークとギンは礼を言いながら即座に飯へと飛びつき、水も飲む。
「ふふ、生き返ったぜ……っ!?」
クリークの得意技は騙し討ち、腹を満たし喉を潤した事でサンジを襲おうとした瞬間、強烈な威圧感に体を抑えつけられた。
「人の善意を踏み躙ろうとするとはな……海賊の世界にも仁義ってものはあるだろう……」
クリークが騙し討ちしようとしているのを『見聞色の覇気』で感知したルフィは密かに近づいていて、軽い『覇王色の覇気』で動きを止めながら溜息を吐くと……。
「
「ぐがあああああああっ!?」
機関銃を想起させる程の両拳による壮絶なラッシュを放ち、彼の顔面も服の下に隠していたウーツ鋼の鎧でさえも全てを打ち壊し続けていく。
「まだまだぁっ!!」
更に打ち上げながらもラッシュの勢いを増していくルフィ。
「おおおおおおおおっ!!」
「ぎ……が……ば……ぐぶぉぉぉぉぉ……っ!?」
更に更に更にルフィのラッシュに終わりが無く、クリークは地獄に居るかのような気分にすらなっていく。
「ぬんっ!!」
「ぐほ……」
最後に宙に打ち上げた状態のクリークの腹部に突き刺すかの如く、拳撃を打ち込むとそのまま、拳を抜き全身、ズタボロに破壊されたクリークは瀕死の状態で床に倒れ伏した。
「モーガンより酷ぇ……」
クリークの姿を見て、ゾロはそう呟く。
「さて、俺は海軍の関係者だ。クリークがこの店で乱暴を働こうとした以上はお前たちを捕らえさせてもらう。文句は無いな?」
「あ、ああ……文句は無い。ただ、虫の良い話だが……」
ギンはルフィに頷きながら、まだ船には百人の餓死しかけている部下がいると言い、施しを求めた。
「……分かった。バラティエの皆さん……どうか、協力願えますか?」
ルフィはギンに頷くと自分の身分を明かし、報酬は約束しつつ百人分の食事と水の用意を頼んだ(無論、これは報酬とは別にルフィが払うが)。
「そういう事なら、良いだろう」
バラティエのオーナーであり、右足は木の義足になっている老人の男であるゼフはルフィの要求に応じた。
そうして、海軍への報告と共にクリークは拘束し、ギンと共にクリーク船まで行って身柄の拘束と引き換えに水と食料を与える事を言えば、「生きていられるなら、それでいい」、「もう海賊なんて止めてやる」などと言いながら、ルフィの言葉に頷き、そうしてバラティエが出した水と食料を口にした。
救助活動を行う中……。
「ゾロ、お前の目当ての男が来るぞ」
「何っ!?」
遠くから近づいてくる者を『見聞色の覇気』で把握し、それがゾロが探し求める者であったためにゾロに教えたのだった……。