麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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一話

 

 

 『東の海(イーストブルー)』において最も美しい国と言われている国、『ゴア王国』。

 

 港町のフーシャ村は辺境ではあるものの、国土としてはこの王国に属している。

 

 そして、フーシャ村にて経営されている酒場、『PARTYS BAR』こそが現在、六歳のルフィが生活する上で世話になっている場所だ。

 

 

 

 

 

 その酒場にある部屋にて……。

 

「ん……んん……」

 

 赤髪海賊団の船長であるシャンクスと一対一の決闘の結果、気絶しその後、この部屋にあるベッドまで運ばれて寝かされていたルフィは目を覚ます。

 

「(あぁ……俺、負けたんだ)」

 

 

 

 そして、自分が実質的には海賊の船長に負けた事を理解したし『生かされた事』も理解した。

 

「(悔しいなぁ……)」

 

 それと同時にルフィに大きな悔しさや敗北感、ガープへの申し訳なさなど様々な感情が襲い掛かった。

 

 とにかく、まずは起きてこの酒場の女店主で自分自身も世話になっているマキノや村の様子を確かめようとベッドから体を起こしたところで部屋の扉が明けられる。

 

 

 

「あ、あんた起きたのね。ねぇあんた、シャンクスに勝負挑むなんて馬鹿でしょ」

 

ルフィが起きているのを確認すると、ルフィの様子を見るように言われたウタはそう一方的に言った。

 

「俺の名前はルフィだ。君もあの海賊の仲間か?」

 

「えぇ、あたしは赤髪海賊団の音楽家であんたを負かした赤髪海賊団の船長、シャンクスの娘のウタよ」

 

 自分の言葉に自嘲しながら名前を名乗り、質問してきたルフィに文句ある?とばかりにウタは名乗る。

 

 

 

「そうか……よろしくって言うのも変だけどよろしく。それでシャンクス船長たちはこの店に?」

 

「ええ、今宴をしているわ。あんたが起きたら、呼んできてと言われたの。嫌だったけど」

 

「それはすまない。じゃあ、行くよ」

 

 ウタの挑発紛いな言葉に動じず、苦笑するルフィは立ちあがって移動する。

 

 

 

「(スかした奴……)」

 

 ウタは大人びているともいえるルフィの反応が面白くなかった。

 

 因みにウタの年齢は現在、八歳でルフィより二歳年上だ。

 

 ともかく、部屋から移動してシャンクスたちが待つという場所へと……。

 

 

 

 

「あ、ルフィ。起きたのね」

 

「よう坊主、おはよう」

 

 

 

 酒場は赤髪海賊団の者たちによって行われている宴で騒がしい中、ルフィに気付いたこの店の女店主で緑がかった黒髪をワンレンに纏め、端整な容姿の女性であるマキノとシャンクスがルフィに呼びかける。

 

「まず最初に言っておく。俺は海賊が嫌いでこの町からさっさと出ていってほしいと思っている。でも、決闘に負けて命まで助けられたから、その礼に此処で悪さはしない以上は居る事を認めてやるよ」

 

「おお、それはすまない。是非とも、お言葉に甘えさせてもらおう」

 

 ルフィの言葉に微笑みながら、感謝してみせるシャンクス。

 

 

 

 

「でも、いつか俺はじいちゃんを超えた最強の海兵になって必ず、お前を捕まえてやるからなっ!!」

 

「そういうの、負け惜しみっていうんだよ」

 

「なんとでも言え。俺も言いたいことを言っただけだしな」

 

「むー。ほんっとう、可愛くないわね。あんた、あたしより背が低いのに……それに何歳よ」

 

 ウタはとことん、自分の言葉に大人ぶっている風のルフィが面白くなかった。

 

 

 

「俺は六歳だけど、背の低さも年齢も関係ないだろ」

 

「っぅー!! もー、シャンクス。こいつになんか言ってやってよー!!」

 

 ああ言えばこう言う態度のルフィにウタは激昂のあまり、何も言えずシャンクスに助けを求める。

 

 

 

 

「はははは、まぁまぁ良いじゃないか。さて、将来の俺たちの宿敵。お前の名前を聞かせてくれ。俺は赤髪海賊団の船長、シャンクスだ」

 

 シャンクスは娘に友達が出来て嬉しいというような笑みを浮かべながら、名乗りルフィに手を差し出す。

 

「ルフィだ。でも、海賊とは仲良くするつもりはない」

 

「おいおい、海賊だっていうだけで嫌いになってほしくないな。海賊の中にも良いやつ、悪いやつはいるんだぞ」

 

 

「そもそも、海賊選ぶ時点でろくでもないのは間違いないだろ」

 

「うっ!? はは、それを言われちゃ何も言えないな」

 

「ちょっとシャンクス、皆も言い負かされないでよー!!」

 

 ルフィからの指摘にシャンクスだけでなく、ウタ以外の全員が気まずげな表情を浮かべ、それにウタは怒った。

 

 

 

「ともかく、ルフィからの許可も出来た事だし宴を続けるぞ。良し、ウタ。気分直しに歌を聞かせてくれ。お前の歌は何度聞いても最高だからな」

 

「ええっ!? でも、シャンクスが言うなら……」

 

 ルフィに聞かせる事になるのが嫌らしく、ウタはそう反応するものの結局はシャンクスの指示に従って頷き、二人の団員によって運ばれ机の上に布を置いてステージのようにしたそこに下ろされる。

 

 

 

 

「あたしは赤髪海賊団の音楽家、ウタ。みーんなが自由になれる新時代を歌で作る女よ」

 

「さあ、うちの音楽家のステージだ」

 

 

 

 

 そうしてウタは澄んだ歌声を披露し、ルフィはまるで心を優しく撫でられ、夢に引き込まれるような心地にさせられ聞き惚れていた。

 

 

 

 

 

「どうだ、ルフィ。ウタの歌声は?」

 

「とても素晴らしかった。言葉で言い表せれないくらいに……」

 

「そう、じゃああたしの勝ちね。あんた、これからは私の言う事に従いなさい。良い歌声を聞かせてあげたんだから」

 

「……俺にとって無理じゃないことなら、従ってやっても良い」

 

「ちょっと、何をしょうがないなって顔してるのよー。もー、本当に可愛くないやつー」

 

ウタは悔しがりもしないルフィに怒り、そんな様子をシャンクスや赤髪海賊団、マキノも又、微笑ましく見守るのだった……。

 

 

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