麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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十九話

 

 この世界において『最強』の名を冠している剣士が一人、居る。

 

『鷹の目』という異名通りの鋭い目つきに整った口髭が特徴的な男は羽根飾りのついた帽子、首元には十字架をぶら下げているようで実は短刀であるそれをかけていて、伯爵を思わせる衣服に背中には十字架を思わせる鍔がある黒き刀身の大刀であり、最上大業物の黒刀である『夜』を背負っている。

 

 その男の名はジュラキュール・ミホークであり、暇つぶしという名目で小型船で航海しながら『偉大なる航路』を航海していた『クリーク海賊団』を襲撃した。

 

 途中、嵐が生じたために最後の本船を取り逃がしたので嵐が止んだ後、逃がした本船を追ってこの『東の海』までやってきていた。

 

 

 

 

「これで終わりだな」

 

 そして、『クリーク海賊団』の本船であるガレオン船を遠くの距離から見つけ……結局、暇つぶしにはならなかったと思っていると……。

 

 

 

 

 自分が居る場所から左の方向から凄まじい質量の威圧感が指向性を有して叩きつけられる。

 

「ほう、東の海にこれほどの『覇王色』を持つ強き者が……」

 

 ミホークは誘われているのを承知で暇つぶしはしてみるものだと考えなおし、そこの方向へ向かえば……。

 

 

 

 

 

「初めましてだな。『世界最強の剣士』のミホークさん……俺はルフィだ」

 

「シャンクスとは宿敵なんだって? 私はウタだよ」

 

 円形の決闘場とでもいう場所から、ルフィとウタが声をかける。

 

 ウタが音楽の王を呼び出し、その力で創り出したのだ。

 

「ほう……お前たちが前に『赤髪』に会った時、嫌になるほど自慢話をしてきた男と娘か……」

 

 口調こそ感情を感じさせないが、それでも結構な念が込められた言葉をミホークからかけられる。

 

 

 よほど、嫌な気分にさせられたのだろう。

 

 

「……ともかく、暇つぶししたいなら此処に来てくれないか? あんたと戦いたいって仲間の剣士も居るしな」

 

 ルフィは『あいつ、何やってんだ』と思いながら、闘技場に来るように言い……。

 

「俺はロロノア・ゾロ……暇だってんなら、一人の剣士としてあんたと勝負したい」

 

 ルフィとウタの話が終わるとゾロが姿を現し、声をかけた。

 

「……まあ、良かろう」

 

 ミホークは船を闘技場に付けて上陸する。

 

 

 

「おい、何の真似だそりゃあ……」

 

 中央にて三刀を構えたゾロは同じく、中央にやってきたミホークが首元の十字架――先を取って小刀となっているそれを構えた事に声をかける。

 

「お前程度なら、これで十分だ」

 

「言ってくれるっ!!」

 

 

 確定事項を告げるかのようにミホークは言い、ゾロは彼へと突進し……。

 

 

 

(おに)()り……っ!?」

 

 己の剣技を放つも小刀一本で止められる。

 

 更に猛攻をかけるも全て捌かれ……最強の剣士との実力を理解させられながら……。

 

 

 

(とら)()り……ぐっ!!」

 

 ミホークの小刀がゾロの胸に突き立てられる。

 

「? このまま心臓を貫かれたいか、何故退かん?」

 

「退いたら、剣士として終わる気がするからだよ。だったら、死んだほうがましだ」

 

「……よかろう。ロロノア・ゾロ」

 

 ミホークは突き立てている小刀を引き抜いて下がり……。

 

 

 

「剣士の礼儀を持って、この剣で相手してやる」

 

 彼は背中の大刀を抜いて構えた。

 

「光栄だ……三刀流奥義……」

 

「散れ」

 

 そうして、二人は相手へと向かっていき……。

 

 

 

 

(さん)(ぜん)()(かい)!!」

 

 ゾロは奥義を出しながら、ミホークと交錯するも負けて、二刀は砕け散る。

 

 口に咥えた一刀を鞘に納めながら此方へと切り返そうとするミホークの方へと向き……。

 

 

 

「何を……」

 

「背中の傷は剣士の恥だ」

 

「見事」

 

 ゾロの誇りを讃えながら、ミホークはゾロを切り伏せた。

 

 そして、次にルフィが居る方を見て……。

 

 

 

「ふっ!!」

 

 斬撃を飛ばした。

 

嵐脚(らんきゃく)!!」

 

 それに対し、ルフィは『武装色の覇気』を纏わせた右足を振り抜きながら生じた鎌風にて切り裂いた。

 

「我が斬撃の綻びを切り裂いた……いや、無理やり綻びを作り出したのか。面白い『見聞色の覇気』の使い方だ」

 

 ミホークが言うようにルフィはウタの歌声を何とか聴こうと『見聞色の覇気』を磨き抜くうちに相手の感情の動きや、気配、内面を感じ続ける事でまるで太陽を背に黒い紙をレンズで覗けば穴が生じていくかの如く、相手の致命的な部位や瞬間を……綻びであり、間隙を見抜き、あるいは捻じ込み、創り出す事が出来るようになった。

 

 その効力は相手を理解すればする程に増していく。

 

 ゾロとの決闘中にそれを使う事でわずかとはいえ、ミホークの斬撃に綻びを作り出せたのだ。

 

「俺の切り札を一発で見抜くとは恐れ入る。だが、あんたも本気じゃなかっただろ」

 

「ふ……赤髪の件はこれで良しとしよう」

 

「それはどうも」

 

 

 そうして、ミホークは剣を背負い直し……。

 

 

 

「ロロノア……俺は幾年月でもこの最強の座にて貴様を待つ。この俺を越えてみよ、ロロノア」

 

 

 ミホークは倒れ伏しているゾロにそう、声をかけると船に乗り、この場を去っていった。

 

 ルフィはそうして、倒れ伏しているゾロと彼を用意していた医療道具で手当てしているウタの元へと向かう……。

 

 

 因みにだが、音楽の王の力を大規模に使えば、次に小規模で使おうとしても結構な休憩時間を要するという制限があるし、無論、消耗もある。

 

 

 

 

「ルフィ、俺はもう二度と負けねぇっ。あいつに勝って大剣豪になるまでっ!!」

 

「ああ、ならそのためにも今は休め」

 

 そうして、ウタに代わってゾロの治療をしつつ、『クリーク海賊団』の身柄の引き取りに来た海軍に頼んで船の治療室を借りて軍医の治療を受けさせて『バラティエ』に頼んでゾロのための一室を借りた。

 

 

 

 

 そうして、事態が落ち着くと……。

 

「ルフィ、貴方って本当に強いのね……クリークをあっという間に倒したし、それにミホークの斬撃も防いじゃうなんて……だから、お願い……」

 

 バラティエに停泊させている自分の船の中で待機していたルフィにナミが歩みより……縋るように声をかけ……。

 

「その力で私を……村の皆を助けてっ!! なんでもするからっ!!」

 

 土下座してナミはルフィにそう頼んだ。

 

 

 

 

「なんでもするなんて言葉、女が言うもんじゃない……前に言ったはずだぞ。俺は助けたがりだってな」

 

「ルフィ……」

 

 ルフィは屈んでナミに視線を合わせ、涙を拭いながら声をかける。

 

「ようやく頼ってくれて嬉しいよ。まずは詳しい話を聞かせてくれ」

 

「……はい」

 

 こうして、ルフィはナミの事情を彼女から聞き始めたのだった……。

 

 

 

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