麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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二十話

 

 

 この世界には『魚人族』という様々な水生生物の特徴を持つため、肺呼吸は当然として水中にてエラ呼吸が出来るために陸上でも水中でも生活が出来る人種が居る。

 

 その証拠に彼らの国である『リュウグウ王国』はとある海域の深海一万mの底にあるのだ。

 

 そして、その魚人族による海賊団の一味が『東の海』にあるコノミ諸島にある20の町村を支配地域とし、町民に対して従属の態度を強制しながら一見、テーマパークのような外見で『ARLONG PARK』と記した豪華な建物を本拠地として集っていた。

 

「……そろそろ『東の海』全域を支配するか……」

 

 この魚人族の海賊団こと『アーロン一味』の船長でノコギリザメを人間にしたような外見の男、アーロンがそう告げる。

 

「おお、とうとうですか。腕が鳴ります」

 

 エイの魚人である男、武道家のような雰囲気を出しているクロオビが拳を叩きながら喜んだ。

 

「チュ♡ もっともっと下等な人間どもを甚振ってやりたかった」

 

 キスの魚人であり、おかま染みた雰囲気の男が笑う。

 

「ニュ~、アーロンさんにどこまでもついていくニュ~」

 

 タコの魚人の男であるハチが呑気に言う。

 

『おおおっ!!』

 

 他の魚人たちもアーロンの声に喝采を上げる。

 

 アーロンを始めとしてこの海賊団たちは魚人こそ『至高の種族』だと意識し、だからこそ下等種族である人間は自分たちの奴隷になるべきなのだと人間に対する支配欲を有していた。

 

 もっともこの思考には魚人族全体の根深い事情も存在するが……。

 

 

『っ!?』

 

 血気にはやるアーロン一味であったが、突如として彼らの本拠地である『アーロンパーク』の正門が破壊された。

 

 驚愕し、思考停止するアーロンたち。

 

「お前たちがアーロン一味だな?」

 

 そうして正門を破壊した本人であるルフィと彼の後に続いてウタが彼らの前に姿を現したのだった……。

 

 

 

 

 

2

 

 コノミ諸島にある村の一つ、『ココヤシ村』にて義母ベルメール、義姉ノジコと共に幼少期を過ごしていたナミは突如として現れたアーロン一味により、ベルメールを殺され、『ココヤシ村』も拠点の一つとして奪われた。

 

 幸い、航海や測量、海図の才能に恵まれていた事でそれをアーロンに見込まれたナミは彼の一味の仲間になる事を引き換えにノジコなど『ココヤシ村』の村人への手出しを控えさせ、一億ベリーを払えばココヤシ村をナミのものとして解放するという取引を交わしながら、今までアーロンのための海図、村を買うための金を稼ぐために旅をしてきた。

 

 そうした事情をナミは話す。

 

 

「良く話してくれたな。そして、良く頑張った……後は任せろ、絶対にお前も村の人々も助けてやる」

 

「……ありがとう」

 

 ルフィはナミの肩に手を置きながら、笑みを浮かべて言うとナミは涙を流しながら言った。

 

「そして、そういう事なら、ナミは此処で待っていろ。裏切り者だなんて思われたらもしもの時、まずいことになるからな」

 

「うん……ごめん」

 

 ルフィはナミからコノミ諸島の場所、アーロン一味の本拠地を確認しながら更にバラティエが持っていたアーロンの手配書を確認する。

 

「(長年にも渡って、多くの村を支配しているのにこれだけ……)」

 

 ナミの話を聞いただけでもアーロンのやっている事に対して賞金額が少ないような気がし、何やらきな臭いものを感じ、直感も疼く。

 

 ともかく、ナミの船を借りて準備を整えるとゾロの看病をナミとウソップに任せてルフィはウタと共に出航しようとする時……。

 

 

「これは俺にとって、大事な帽子でな。取りに帰ってくるまでちゃんと持ってろよ」

 

「はい」

 

 ルフィは麦わら帽子をナミに被せる事で預け、彼女が頷くと出航する。

 

「モー(やったぁぁぁ、ご飯だぁぁぁぁ)」

 

 

 そうして、アーロン一味が居る場所へと向かっていると突如海の中から巨大で牛の頭部を持つ魚、アーロン一味が飼っている海牛であるモームが姿を現す。

 

 

「そういう事なら、食われないためにもお前をご飯にして良いよな?」

 

「モッ!!モー(た、食べられるのは嫌です)」

 

 軽く『覇王色の覇気』で威圧するとモームは降参の意思を示した。

 

 

「なら、このまま去るんだな。今なら、無かった事にしてやるから」

 

「モー(喜んでぇぇぇぇっ)」

 

 ルフィの言葉にモームはすぐさま海中へと潜った。

 

 そうして、アーロンパーク近くに居た見張りを務める魚人たちを倒し拘束しながら、アーロンパークよりすぐ近くの『ココヤシ村』の村人に『ナミに頼まれた』と言うと『あの子が……』、『そういう事なら』とルフィとウタを通し、こうしてルフィはアーロンパークの正門を破壊してアーロン一味の前に姿を現す。

 

「……ああ、そうだがお前たちは?」

 

 アーロンを始め、魚人たちはルフィ達に対して怒りや憎しみを浴びせながらアーロンは問いかける。

 

「俺はルフィ、こっちは俺にとって勝利の女神のウタだ」

 

 ルフィは自己紹介しながら、ウタの方を指して紹介。ウタは姫のような仕草をしながら礼をする。

 

 

 

「そいつはまぁ、何とも羨ましいもんだな……それで何しに来た?」

 

「お前たちを倒しに来た……だが、その前に質問がしたいんだが良いか?」

 

 ルフィはそう尋ねると……。

 

 

 

「……言うだけ、言ってみろ」

 

 意図を掴めず、怪訝な表情をしながら尋ねるアーロン。

 

「人間は魚人族に対して差別し、迫害し奴隷にさえしたと聞く。お前たちの目的はその復讐か?」

 

 そう、魚人族における根深い事情――それは人間が彼らの姿を異形だとし、差別や迫害、奴隷扱いですらしたという事だ。

 

『てめぇっ!!』

 

 一番、触れられたくない事に触れたルフィに怒りを燃やしながら魚人たちは襲撃しようとし……。

 

「待て、お前らっ!!」

 

 アーロンは一喝して止めると……。

 

 

 

「伊達や酔狂で聞いてる訳じゃねえな」

 

「ああ、俺たちとしても魚人族の問題は理解したいからな」

 

 ルフィとウタが求める『新時代』――そのためには魚人族の差別問題、それに対しての感情など理解する必要があるために聞いたのだ。

 

「良いだろう、なら此処まで堂々と乗り込んできたその度胸を評して冥土の土産に教えてやるからしっかりと理解しろよ。お前たちの罪を……その質問の答えはああ、その通り。復讐だよ」

 

 アーロンは怒りを燃やし続けながら、そう叫ぶ。

 

「そもそも、最初に仕掛けてきたのはお前たちだ。他にも巨人族や手長族、足長族みたいなやつらがいるのに俺たちを異形や化け物だと恐れ、差別し迫害してきた……挙句には口に出すのも忌々しい天竜人の野郎どもを筆頭に奴隷扱いまでしやがってぇっ!!」

 

 天竜人とはこの世界において王族よりも更に高貴であり、絶大的な権力を有し誰も逆らわず、従うしかない神の如き存在だ。

 

 そして、今でこそ違うが昔は『魚人族』は『魚』と認識されていて、だからこそ奴隷の如き扱いを魚人族は受けてきたのである。

 

「けどなぁ、そんなお前たちにもチャンスはあったんだ。そのうちの一人は俺たち同胞どころかお前たちの中でも奴隷になっていた奴を解放した」

 

「フィッシャー・タイガー……」

 

 当時、天竜人に反逆し彼らの奴隷を解放した伝説の存在である魚人族の男の名をルフィは記憶している歴史書のそれから引き出す。

 

「おお、そうだ。ガキの癖に良く知っているじゃねえか……そう、タイの兄貴だよ」

 

 ルフィが言うとアーロンは感心したように言うと、誇らしくタイガーの事を話始める。そこには尊敬や崇拝の念が込められていたし、他の魚人たちも想いを馳せていた。

 

「正直、俺たちは理解できなかったが、タイの兄貴はお前たち人間に対して穏健派だった。戦いはしても不殺まで俺たちに課していた程だったんだぜ……そして、人間の奴隷を助けようともしたな」

 

「……」

 

 ルフィとそれに実は能力を磨く過程で使えるウタも『見聞色の覇気』でアーロンたちの心情を感知しながら、ルフィにおいては当時のアーロンの記憶すら読み取りながら聞いていく……。

 

「だが、そんな兄貴に対してお前たちは騙し討ちし、殺しやがったんだ。それだけじゃねえ、俺は直接見てはねぇが積極的に人間と友好関係を結ぼうとした俺たち、『リュウグウ王国』の姫、オトヒメまで殺しやがった」

 

 そう、怒りをさらに増し……。

 

「だったら、もう俺たちも容赦する必要ねぇよなぁっ、お前たちの罪は血で償ってもらう……そう、俺たちこそが魚人族の怒りだぁぁっ!!」

 

 アーロン一味は凄まじい憎悪を放ってルフィとウタを睨みつける。

 

 

「……良く分かった。俺たちの想像以上に魚人族との問題は根深い物だっていうのもそして、お前たちが同胞想いだというのもな」

 

 ルフィは一歩前に出て、口を開く。

 

「だが、俺も同胞に『助けて』と言われた。そのためにお前たちを倒さなければならないんだよ。それが罪だというなら、俺は喜んで背負い、罪人になろう」

 

生命帰還(せいめいきかん)――紙絵武身(カミエブシン)

 

 ルフィは生命帰還を用いて肉体変化をする。彼の体は痩身となりながら、その筋肉は凝縮され、引き締まったものになった。

 

 

「な、体がっ!?」

 

「変化しやがった」

 

 魚人たちが驚く中、アーロンは……。

 

 

 

「良い覚悟じゃねえか。お前、人間にしておくには惜しいぞ」

 

 本心からルフィに敬意を込め、賞賛する。

 

「光栄だな。それじゃあ、始めようか……アーロン」

 

「ああ、お前が助けたい奴を助けられるかやってみろ」

 

 ルフィはアーロンの言葉に返答しながら、構えるとそれにアーロンも魚人たちも構える。

 

 

 

「勝負だっ!!」

 

疾風(ビュウ)ッ!!」

 

 瞬間、ルフィの姿が消えるとアーロンパーク中に暴風の如き衝撃波が吹き荒れる。紙絵武身は速度と俊敏性、機動性を上げるための肉体変化、それによって音速さえも優に超える超高速を手にし、こうして超高速で動き続けるルフィの疾走と加速に耐えられない空間中が絶叫を上げているのだ。

 

『うああああああッ!!』

 

 そして、超高速で動きながらのルフィの打撃と吹き荒れる衝撃波の追撃により、魚人たちは吹っ飛ばされ打ち倒されていく。

 

 

 

「(……どうして、こうなりやがる)」

 

 瞬く間に部下が蹂躙されていく中……アーロンはフィッシャー・タイガーが死んだため、怒りのままに報復しようとして返り討ちにされたこと。

 

 それを踏まえて計画的に復讐しようとした今、こうして又もやられようとしている事を含めて、自分の行動が上手くいかないことを嘆く。

 

 

 

 

「ふっ!!」

 

 ルフィはアーロンの前で背中を向けた状態で姿を現し……。

 

 

 

生命帰還(せいめいきかん)――鉄塊武身(テッカイブシン)

 

 痩身の状態から筋肉を隆々に膨張させ、巨体へと変化する。

 

 こちらは力と耐久、肉体強度を上げるための肉体変化である。

 

 

 

剛槌(ゴウツイ)

 

 そして、先ほどのそれには劣るが勢いとしては爆発的な走行と共に跳躍し、落下しながらアーロンへと拳撃を振り下ろす。

 

 その最中、ルフィの姿を上空で見ていたアーロンは……。

 

 

 

 

「兄貴……」

 

 一瞬、ルフィの姿が自分に対して仕方ないなとばかりの表情を浮かべながら、拳を振り下ろすフィッシャー・タイガーの姿に見え……。

 

「ぐぶッ!?(ああ、あんたなら……良い)」

 

 そのまま地面へと打ち倒されながら自分の敗北を納得し……。

 

 

 

 

 

「(兄貴、俺はただあんたと……)」

 

 もっと憧れであり、尊敬している偉大な男と居たかったと心情を吐露しながら意識を失うのであった。

 

 

 

 

「お前たちの出会いは無駄にはしない」

 

 アーロン一味を倒したルフィは普通の肉体へと戻りながら、誓いを告げる。

 

 

 

 

「ルフィ……」

 

「うっ!?」

 

 しかし、背後から凄まじい念を放出しながらウタが声をかける。

 

 

 

「まだ、一人で抱えようとするところは治ってなかったんだね。後で話とお仕置きだから」

 

「……分かった」

 

 アーロンに対して自分一人で罪を背負うとか言ったのがお気に召さなかったようでウタはルフィに告げ、彼は頷くしかなかった。

 

 ともかく、後はアーロン一味を拘束しながらアーロンパークの中を探ると……。

 

「海軍が使う個人通信用の特殊電伝虫」

 

 特殊な海軍用の電伝虫を発見すると手で触れながら、その残留思念を『見聞色の覇気』で感知し、誰に繋がる物かを探るのだった……。

 

 

 

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