麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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二十一話

 

『偉大なる航路』の中の三日月型の島が『マリンフォード』、この島は海軍が所有する島で海兵たちの家族の住居や海軍にとっての総本山である海軍本部が置かれ、元帥は勿論、大将や中将など幹部級の海兵たちが在籍している海軍の中でもエリート集団の集まりと言える場所でもある。

 

 また、『偉大なる航路』以外の海軍支部の海兵とは階級制度も別になっている特徴もあった。

 

 

 

 例を挙げるなら同じ階級同士でも本部と支部では実力や扱いは三階級ほど開きがあるほどだ。

 

 そんな海軍本部の元帥室にて……。

 

 

 

「それにしても二日ちょっとの旅でもう、こんなに大活躍をするとはなぁ……流石はルフィ君だ」

 

 そう、普段の仕事での態度とは違い、孫の活躍を喜ぶ好々爺な態度で喜びを露にしているのは3m近い体格の偉丈夫で巨大なアフロヘアーに三つ編みにした長い顎髭、黒縁の丸眼鏡をかけた老齢の男性。

 

 この男こそ海軍本部元帥のセンゴクである。

 

 

『センゴク、非番のところ悪いが、儂の孫のルフィに実戦稽古をつけてやってくれんか?』

 

『ど、どうかよろしくおねがいします。センゴク元帥』

 

 今より7年ほど前、同期であるガープを通じてルフィと出会ったセンゴクは……。

 

 

 

『は、こんなに礼儀正しい子がお前の……孫?』

 

 適当でマイペースなところがあるガープと違い、礼儀正しく真面目そのものな雰囲気を出しているルフィ、性格が正反対だった事で激しく混乱した。

 

 とはいえ、稽古をつけ、知識を教えるなど交流の中でセンゴクにとってもルフィは可愛い教え子であり、孫のような存在になっている。

 

 そんなルフィが旅に出て2日ちょっとで懸賞金アベレージが三百万ベリーの『東の海』において懸賞金五百万ベリーの『金棒のアルビダ』、千五百万ベリーの『道化のバギー』、部下の催眠術師によって影武者を用意し、自分自身は潜伏していたことが判明した懸賞金千六百万の『百計のクロ』、そして先ほどは千七百万の『海賊艦隊提督』の首領・クリークと名だたる海賊団を全て捕らえ海軍へと身柄を引き渡した。

 

 更には海軍にとってはあるまじき事だが基地を任されながら、町で独裁政治をしていたモーガン大佐をルフィが捕らえるという不正の解決までしてくれているのだから、借りが沢山できている。

 

 立場が立場なので積極的には出来ないが、借りに対する返しは取り計らいなどという形で少しずつでも返していこうと思っていた。

 

 個人的にはすぐにでもご褒美を沢山、あげたいほどであるのだが……。

 

 

 

 

「わしの自慢の孫のルフィがなんじゃって?」

 

「うおぅっ、急に入ってくるなぁっ!!」

 

 ルフィの活躍を内心で褒めつつ、名をセンゴクが呟くと急にガープがおかきを持って入ってきたので驚く。

 

「ふふ、それにしてももうルフィは大活躍しとるのぅ、本人がどうしてもというから『海軍』入りは保留にしたが、正直、すぐにでも海軍に入って欲しいものじゃ」

 

「ああ、まったくだ。ルフィ君は優秀で仕事もしっかりするから期待できる。すぐにさぼりに来る誰かさんと違ってな」

 

「いやぁ、それほどでも」

 

「褒めとらんっ!! ったく、本当にルフィ君がお前の孫か毎度、疑わしくなるぞ」

 

 そんなやり取りをしていると……センゴクの部屋に置かれている電伝虫に通信が入る。応じれば相手は『海軍第77支部准将』のプリンプリンだった。

 

 なんでも懸賞金二千万の魚人海賊アーロンが支配しているコノミ諸島にある、彼の一味により壊滅させられた村、『ゴサ』の生き残りの救助のために向かったのだが、そこでなんとアーロン一味を倒し拘束したルフィと出会い、彼からなんとアーロンがコノミ諸島近くの海軍第16支部を任されているネズミ大佐と取引関係にあり、ネズミ大佐は賄賂を受け取って彼についての情報操作をしている事を聞き、それについての証拠も見せられたという。

 

 

「ルフィ君からも話を聞きたい。代わってくれ」

 

「なに、ルフィじゃとっ!? 儂に代われっ!!」

 

「ああ、もう。代わらなくとも聞こえるし、話せるだろう」

 

 相手がルフィだと知るとガープはセンゴクの元へと移動し、詰め寄ってくる。

 

 

「こんにちは、センゴクさん」

 

「ああ、こんにちは」

 

「わしもおるぞ、ルフィ」

 

「え、爺ちゃんも!? また、センゴクさんに迷惑かけてるんじゃないよね?」

 

「かけてないぞ」

 

 平然と言うガープに、今絶賛かけているだろうがと内心で突っ込むセンゴク。

 

 

「それでアーロン一味を捕らえたそうだが、ネズミ大佐とつながっている証拠があったって?」

 

「はい、アーロン一味の本拠地の中に個人間でやり取りするための電伝虫とそして、部下か無理やり使った者に撮らせた写真、ネズミへと渡すための金の帳簿とか色々置かれていました。脅しや保険も兼ねてでしょう……そして、今から俺は証人として行き、これをネズミ大佐に突き付けてプリンプリン准将に連行してもらうところです。ただ……」

 

「ただ?」

 

 何やら言いよどむルフィにセンゴクは聞き……。

 

「ネズミ大佐を連行する時、事故が起きて彼は大怪我を負うかもしれません」

 

「……事故か」

 

 ルフィが言い含んだそれを見抜きつつ、苦笑するセンゴク。

 

「ええ、事故です」

 

「まあ、死亡事故でなければ問題は無いだろう。その事故はきっと天罰だろうな」

 

「なんじゃ、まどろっこしい会話をしおって……ルフィ、爺ちゃんが許す。そんな屑、ぶっ飛ばしてやれいっ!!」

 

「ガープっ!! さっきまでの会話を無駄にするような事するんじゃなーいっ!」

 

 ルフィとセンゴクは二人の立場から大っぴらに言えないから婉曲的な言い回しをしたのにそれを一気に無に帰したガープに怒るセンゴク。

 

 

「爺ちゃんがすみません」

 

「いや、ルフィ君が謝るようなことじゃないよ……はぁ」

 

 そうしてセンゴクはルフィとの通信を終えるのだった……。

 

 

 

 

2

 

 

 

 

 ネズミ型の建物が特徴的な海軍第16支部、此処を任されているのは上唇にネズミのような髭を生やしている大佐、ネズミである。

 

 そんな彼の部屋で相対しているのは髪を幾つも括り、下髭も括っているという特徴のある男で彼より上の階級である准将のプリンプリンとその部下数名、『海軍の英雄』ガープ中将の孫で最近、東の海の名だたる海賊を捕らえてその身を引き渡す事で協力し続けているルフィである。

 

「いやいや驚きました……准将やガープ中将のお孫様がこのような場所までやってくるとは」

 

 ネズミはなぜ、自分よりも上の立場の人間と更に雲の上のような存在の孫が来ている事にビビりながら、話し始める。

 

 そもそも、自分に対して怒っているような雰囲気も感じた。

 

「『ゴサ』の村から救助要請があったから此処まで来たのだが、なんとルフィ君がアーロン一味を倒してくれて身柄を引き取った。連行はしなければならないが、ゴサの復旧や必要な事はするつもりだよ。そして……」

 

「此処からが本題なんだ。ネズミ大佐……アーロンの本拠地を探ってみると面白いものが色々あってな……例えば……」

 

 そうして、ルフィはバックパックから電伝虫を取り出し、ネズミ大佐の前に置く。

 

 

 

「っ!?」

 

「さて、ちょっとかけてみよう」

 

 ネズミ大佐が驚いている間に電伝虫を使えば、それはネズミ大佐の部屋にある電伝虫に繋がった。

 

「こ、これは……「まあ、まだ待て。色々あるって言ったろ?」」

 

 次にルフィはバックパックからいくつかの写真を机に置く。それはアーロンとネズミ大佐が取引をしているのがばっちりと分かる写真であった。

 

「ぅ……ぁ……」

 

 その写真の存在にネズミ大佐は動揺し、驚愕する。

 

「取引する時は保険や脅しは用意しておくものだし、そうした弱みは作られないようにするのが鉄則だ。悪党を甘く見るから、こうなる」

 

 更にルフィは一つの札束を取り出し、紐を外すとゆっくり数えるようにめくると中に挟まれていた墨がちょっとついた紙を見せる。

 

 

 

「すみません、そこの人……この部屋の……」

 

「なぁっ!?」

 

 ネズミ大佐の心を『見聞色の覇気』で感知したルフィはアーロンからの賄賂を隠した場所を言い、プリンプリン准将の部下にこの場に出させた。

 

 そして、中身の札束を手に取って、先ほどと同じようにめくって中の紙を見せた。

 

「……確定だな。市民の平和を乱す海賊と繋がり、しかも長年の暴虐を許すとは……」

 

「ぁ……ち、違……俺はアーロンに脅され……」

 

 プリンプリンはネズミに怒りを露にし、ネズミはパニック状態である。

 

 

「そんなのが通る訳が無いだろう。すぐにお前を本部に連行させてもらう。だが、私たちはその前にちょっとトイレに行かせてもらおう。その間、お前に事故が起ころうとそれは私たちにはどうしようもない事だ」

 

「……は?」

 

 プリンプリンとその部下はルフィを残して部屋を出て、ネズミは混乱の極致に追いやられる。

 

「さて、長年村人を苦しめ続けたその罪のツケを払ってもらう事にしよう。事故という形でな」

 

「ひっ……そ、そんなことが出来る訳……」

 

 戦意を放つルフィにネズミは怯えながら言うが……。

 

「実は先にお前の事は本部に報告済みでな、事故が起きるのも了承済みだよ」

 

「あ、ああ……ゆ、許して……金ならやるから……」

 

「……お前のツケは金じゃ払えないんだ。だが、安心しろ、死にはしない」

 

 この期に及んでなお、悪あがきしようとするネズミに溜息を吐きながら、ルフィは断言した。

 

 

 

「……」

 

 死にはしないという言葉に安堵の息を吐いたが……。

 

「ただ、その醜く腐った性根よりも更に滅茶苦茶になるだけだ……お前の顔面が」

 

「ちゅ……チュウウウウウウウッ!?」

 

 ルフィの言葉の意図を察して、ネズミは悲鳴を上げ……。

 

拳砲(ケンホウ)――連破(レンパ)っ!!」

 

「チュババベアァァァァァァッ!!」

 

 機関銃を彷彿とさせる両拳の猛烈なラッシュがネズミ大佐を蹂躙して、床に倒れ伏させた。

 

「お前は金が好きだからな。ちゃんとツケの領収書を書いてやるよ。受け取りな」

 

 メモ帳から一枚抜き取り、ペンで名前を記すと振り向き、放り捨てながら部屋から出る。

 

「終わったか?」

 

「ええ、後は一旦お任せします准将。ゴサの復興とかは俺の仲間たちと手伝いますので」

 

「ああ……ガープ中将の孫とかは関係なく、君のような『正義』を体現する若者に会えて光栄に思う」

 

「ありがとうございます」

 

 部屋の外で待機していたプリンプリンと会話を交わし、プリンプリンとその部下は海軍式の手の甲を見せる敬礼をし、ルフィも又、同じ敬礼をするとルフィは支部の外で待機していたウタと共にナミが待っている『バラティエ』付近まで戻り……。

 

「全部終わったぞ、ナミ。ただいま」

 

「……ありがとう」

 

 

 

 

 夜になろうとする時間帯、麦わら帽子を被って待っていたナミにルフィは近づき、アーロンの脅威は終わったことを告げるとナミは抱き着き、涙を流しながら礼を言うのだった。

 

 そうして夜中、ルフィ達の船である中型船、その船内には元々、軍用なので幾つかの生活部屋があり、その一つはガープが気を回して用意した防音性となっている。

 

「ふふ……こういうの、癖になりそう」

 

「ぅ……こっちは……ふ……きついけどな」

 

 そこでルフィはウタからお仕置きと称して目隠しされ(『見聞色の覇気』は当然、禁止)、手足を縛られた状態でウタに好き放題、責められていた。

 

 しかし、突如……。

 

 

「ふ、ん……」

 

「む……ぅ……ナ、ナミッ!?」

 

 突如、された深いキスの感触がウタとは違うため、ナミだと分かり、だからこそ驚く。

 

「もう、バレちゃうんだ……悔しいなぁ……」

 

 ナミはただ、キスしただけでばれた事に悔しそうな声を出した。

 

「ふふ、そう簡単に奪えるものじゃないよ。ルフィはね」

 

 軽く勝ち誇り言うウタ。

 

「ぅ、ウタ……お前、どういう……」

 

「だって、堂々とルフィが好きで私と勝負がしたいって言われたらね。遊びや冗談なら怒るけど……ふふ、まぁ、良いじゃん」

 

「良くはな……うく」

 

「ともかく、今はお仕置き中なんだから受け入れなさい」

 

「ルフィ、気持ち良くしてあげるわ」

 

 そうして、ルフィは一方的にウタから責められ、ナミからは奉仕され続け一夜を過ごすのだった……。

 

 

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