麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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二話

 

 

 

 フーシャ村に住んでいる六歳の少年であるルフィの生活、他全てが『赤髪海賊団』との出会いによって激変する。

 

 

 

 まず、『赤髪海賊団』は居心地が良いからという理由でしばらくの間、フーシャ村を拠点として航海することを決めたのだ。

 

 これにルフィはシャンクスたちからして『イヤそう!!』な顔をしたが海賊団の船長であるシャンクスに負けたのは自分で、約束通り略奪などの悪事はしてないので受け入れはした。

 

 

 そして、そのシャンクスとの決闘を通じてルフィは自分の中に何か特殊な力が宿っているのを感じた。それを使えるように瞑想しながら意識し、鍛錬した結果、人や動物の気配を感じたり、心の声を聴くことが出来るようになったし拳や足に纏わせて攻撃力や硬度を強化することが出来るようになった。

 

 もっともシャンクスが出したような凄まじい威圧感は、何か別のやり方があるのか未だ使えないし、纏わせたりすることも出来ない。

 

 また、この特殊な力を使うための鍛錬の副次的なものとして、頭から足のつま先まで自分の体の全てに意識を張り巡らせて自分の意識通りに操ることが出来るようになった。

 

 このように新たな強さを得たのは喜べることなのでルフィは喜んだが、海賊のお陰で強くなったみたいなものなのでその点は微妙ではあった。

 

 だが、一番ルフィにとっての大きな変化と言えば……。

 

 

 

 

「感謝しなさいルフィ、今日も遊んであげるわ」

 

「ああ、ありがとう。ウタ」

 

 赤髪海賊団の音楽家であり、いずれは新時代を歌で作る世界の歌姫になるのを夢としているシャンクスの娘であるウタという友人が出来た事だろう。

 

 ウタは航海から帰ってきたときなど、フーシャ村に居る時はほとんどルフィと一緒におり、ルフィもそれを受け入れ交流をしていた。

 

 最初の方こそ、ウタはルフィが大人ぶっていたり理知的だったりするのが気にくわなかったので突っかかったりしていたが、今においては中々良好である。

 

 その契機となったのはある日、ウタは空想の世界こそが一番だとルフィに話したのだが……。

 

 

 

「……良い場所を教えてやるよ」

 

 そうしてルフィはウタをフーシャ村にある一つの風車の中へと案内し、窓を開いて他の全ての風車や海まで見渡せるという景色を見せた。

 

「どうだ、良い景色だろ? 空想では見る事の出来ない景色だと思うんだが」

 

「……確かに良い景色ね。でも、残念。私は幾つもの海を航海してきたから、もっと素敵な景色も知ってるわ」

 

 一瞬、感動しつつも照れ隠しも含めてウタは言いながら、微笑む。

 

 

「それは羨ましいな……まあ、ともかく俺が伝えたかったのは空想も良いけど、現実も良いって伝えたかったんだ」

 

「どっちもどっちって事? それ、言ったら何にもならないじゃない」

 

「考え方や価値観は人それぞれだからな」

 

 そうして、ルフィもウタも笑い合い、その日からどんどん親密になっていった。

 

 

「……って、ヤバい!? 鍛錬しすぎて分からなかったが、ウタ達、帰ってきてるじゃねえか。出迎える約束、破っちまったなぁ……さて、どうやって機嫌直しをするか……」

 

 

 港を山の上から見下ろすと航海から帰ってきた『赤髪海賊団』の船を見てルフィは気まずげな表情になりながらも急いで村へと戻っていく。

 

 機嫌直しも含めて、今日はウタをどう楽しませるか考え、心を弾ませながら……。

 

 

そう、ルフィにとって無意識の部分も含めて、ウタと過ごす時間が彼にとって一番、楽しい時間になっていたのだ……。

 

 

 

 

 

2

 

 

フーシャ村の酒場、『PARTYS BAR』へと大勢の人物が入り、食事をしていた。この村を拠点としている赤髪海賊団が航海から無事に帰ってこれた事に対しての宴である。

 

 

 

「全く、ルフィの奴。私が帰ってくるときは早く出迎えなさいって言っといたのにー」

 

「ルフィの奴、うちの怖い歌姫を怒らせちまったな。これは機嫌直しも大変だぞ」

 

 

カウンターの方でシャンクスの隣に居るウタはルフィが港で出迎えなかった事にご立腹となっており、シャンクスはウタのそんな様子に苦笑を浮かべる。

 

「ふふ、ごめんなさいね。でも、もうすぐ帰ってくると思うから」

 

店主であり、ルフィの面倒も見ているマキノも苦笑しながらウタへと言う。

 

そんな中、突然、店の扉が蹴破られ……。

 

 

 

 

「おーおー、なんだ。お前たちが此処を拠点にしてるっつう海賊たちか?」

 

頭の上に髪を結い、額の右に十字傷があり無精髭を生やしていて、右腰にはサーベルを帯剣している明らかに堅気ではない男で山賊の棟梁であるヒグマと彼の手下である数人の集団が入ってきた。

 

 

 

「俺たちは山賊だ。だが、店を荒らしに来たわけじゃねえ。酒を売ってくれ。樽で10個ほど」

 

そして、ヒグマがマキノへとそう言うが……。

 

「ごめんなさい、お酒は今出ている分で全部なので……」

 

「これは悪い事をしたな。すまん……これで良かったらやるよ。まだ栓も開けてない」

 

 シャンクスがヒグマに謝りながら、酒瓶を差し出したが……。

 

 

 

「ちっ」

 

 ヒグマは右拳を振って、瓶を叩き割ると中身がシャンクスに降りかかる。

 

「ちょっとあんた、シャンクスになにするのよっ!!」

 

 ヒグマの蛮行にウタは席から飛び降り、近づいて抗議する。

 

 

 

「あ? ガキはすっこんでろっ!!」

 

ヒグマはウタに対して容赦なく、蹴りを繰り出し……。

 

 

 

鉄塊(てっかい)!!」

 

 刹那、ウタの前にルフィが割って入りながら六式において体を鉄の如く硬くする防御技であり、剛体術を使った。

 

更にヒグマの蹴りが炸裂する部分に特殊な力を纏わせ、硬度を上昇させる。

 

 

「うぎああっ!!」

 

 ヒグマの蹴りがルフィに炸裂した瞬間、男の足が砕け折れる音が鳴り響くと彼は堪らず、仰け反り倒れる。

 

「っと、待った。落ち着けルフィ」

 

「っ!!」

 

そのまま、激情のままに飛び掛かろうとしたルフィをシャンクスは抑えて停止させる。

 

 

「娘を守ってくれてありがとう。後は俺たちに任せて、外にでも行ってこい」

 

「……分かった」

 

 ルフィの頭を撫でながらシャンクスは礼を言い、ルフィは深呼吸をして落ち着くと頷き、ウタの元へと向かう。

 

 

 

 

 

 

「行こう」

 

「……うん」

 

 そうして、ルフィはウタに右手を伸ばしウタはその手を取ると二人で外へと向かった。

 

 因みにヒグマの部下はヒグマが倒れたのと同時にシャンクスの仲間たちによって取り押さえられている。

 

ともかく、ルフィはウタと共に外を歩く中……。

 

 

 

 

「ルフィ、守ってくれてありがとう。格好良かったよ」

 

「どういたしまして。間に合って、本当に良かった」

 

 どちらも顔を赤に染め、胸を高鳴らせながら言葉を交わすのだった……。

 

 

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