麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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三十三話

 

 数か月前まで世界政府加盟国の一つに『ドラム王国』があった。『ドラム王国』は医療大国、つまり医学の進んだ国として認識されていて優秀な医者が多い国としても知られている。

 

 しかし、それはドラム王国の王であったワポルの実父でドラム王国の前王までの話で、実父が亡くなり、後を継いでワポルが王となった事で実情は変わった。

 

 彼は父に甘やかされ過ぎたのもあって己に逆らうものは容赦なく殺すし、王である自分こそが全てだと独裁政治を強いるようになった。

 

 更にもっと酷いのは王の城であるドラム城の研究施設にたった二十人の医者こと『イッシー20(トゥエンティ)』だけを残し、それ以外の医者を『国外追放』。

 

 病人が出た際にワポルにひれ伏す以外に治療の道は無いという国民の健康を人質に取った手法までやったのだ。

 

 加えて彼の独裁を止めようにも彼自身は『バクバクの実』を食べた能力者で食料だけでなく、生き物や無機物など何でも食べることが出来る上に口にした物の能力や特性を反映しての強化や食べたものそのものに変身、口にした2種類以上の物質を融合させることが出来るなど強力な力を持っている。

 

 彼の部下であるチェスは弓の名手、クロマーリモも静電気でくっつくうえに良く燃えるアフロを駆使しながらの優れた拳闘の腕もあって強いと性質が悪かった。

 

 更にビビによれば彼女は幼い時、父であるコブラに連れられて世界政府加盟国の王たちが4年に一度、開催する『世界会議(レヴェリー)が開催される『聖地マリージョア』へと向かった事があるのだが、その時、『世界会議』にてどうでもよさげにしていたワポルをコブラが叱咤した。

 

 それを根に持ったワポルが偶然、見かけた幼いビビの額をわざとらしく、偶然装って叩いたとの事だ。

 

 勿論、こんな事をすればアラバスタとドラムの戦争の引き金になってもおかしくは無いが、この時は戦争とならないように振る舞ったビビによって事なきを得た。

 

「……ああいう奴はしぶといからなぁ……次、会ったらとりあえずぶちのめす事にする」

 

「ルフィ、その時は俺も入れろ。幼いビビちゃんに手を上げるなんて許せねぇっ、王どころか男の風上にも置けねぇ野郎だ!!」

 

 

 ドラム王国を襲った『黒ひげ』率いる海賊団の実力に恐れをなし、20人の医者とチェスとクロマーリモ、軍隊を引き連れて国を見捨てて逃げ出し、海賊として振る舞いながらドラム王国に帰還しようとしていたワポルたちを投げ飛ばした後、ルフィはドラム王国に帰りたいという軍隊やイッシー20、ビビからも話を聞いて次は痛い目に遭わせる事を誓い、サンジもそれに同意する。

 

 

 

 そうしてワポルたちが使っていた船、海賊旗は処理している『ブリキング号』を率いながらドラム王国へと向かう『麦わら旅団』はせっかくなのでイッシー20達による健康検査を受けて全員、健康であるという結果を受けたが……。

 

「これほどまでの健康体は見たことない、是非とも研究したいくらいだ」

 

 特にルフィ、ゾロ、サンジにウソップたちは凄まじい免疫力を持っていたのでイッシー20から研究したいとまで言われるくらいであった。

 

「良かったな、ウソップ。お前もこっち側だってよ」

 

「喜んでいいのか、良くわかんねぇよ」

 

 ルフィの言葉にウソップは微妙な表情をした。

 

 ともかく、雪の中を航海しているうちに気候は安定し、そうして……。

 

「あれこそ、ドラム王国です」

 

ドラムのような形状の巨大な山に中央の山の上には城が見える冬島、かつて『ドラム王国』と呼ばれた国へとたどり着いた。

 

「貴様ら、この国に何をしに来たっ!!」

 

 

 すると船を止めた場所で複数の集団が現れ、そのリーダーらしき髪の後ろが尖っているような独特な髪型、四角い形の顔で生真面目な雰囲気が出ている男が前に出て声をかけた。

 

 彼はワポルの父の代から守備隊長を務めるドルトンという男で唯一、ドラム王国を救おうと残り、今までこのドラム王国であった国と国民を守るために尽くしてきた男である。

 

「初めまして、俺は海軍関係者で政府公認の『旅団』を率いる者だ。旅の途中、海賊に扮していたワポルとチェス、クロマーリモを撃退し、彼に従うしかなかった兵士とイッシー20を連れてきた。詳しい話をするためにもこの島に上陸させてくれ」

 

「っ、分かった。そういう事なら話を聞かせてくれ」

 

 ルフィが身分証明書を出しながら、今までの経緯を説明するとドルトンは許可を出し、そうしてルフィ達は上陸した。

 

 

 

 

 

 

「ありがとうルフィ君……ワポルたちを撃退して更には彼の言いなりになるしかなかった兵士にイッシー20を連れてきてくれて、本当にありがとう」

 

 ドルトンはワポルを撃退したルフィに対し、深く感謝をした。

 

「偶々だから、気にしないでくれドルトンさん。もっともワポルの悪行を知っていれば、投げるだけじゃ済まさなかったんだが……」

 

 彼の礼を受け取りながら苦笑するルフィ、そうして話していると……。

 

「ヒーヒッヒッヒ、随分騒がしいと思えば、あの馬鹿と逃げ出したイッシー20や兵士が帰ってきてたんで驚いたよ」

 

 若いころは美女であった面影を残す容姿と体型を持つ老婆でこの国でワポルが王となっていても非合法に医者として活動していて腕も凄まじいDr.くれはと彼女の愛トナカイでバツ印の書かれた帽子を被り、青い鼻のトナカイであるトニートニー・チョッパーが姿を現した。

 

「随分と健康そうなばあさんだな。何歳だ?」

 

「彼女は139才だ」

 

 サンジの言葉にドルトンが答える。

 

「ん、若さの秘訣かい?」

 

「あんたほどの年齢まで生きられるなら是非とも、聞きたいね」

 

「イーヒッヒ、只で教えるもんかい」

 

 ルフィの言葉に軽く笑ってそう答えた。

 

「しかし、青い鼻のトナカイなんて随分と珍しいなぁ……よぉし、良し……おお、凄くモコモコしている」

 

「……っ……」

 

 ルフィはチョッパーへと近づき、顎を撫でたり毛皮を撫でたりすると警戒を見せていたチョッパーは瞬時に撫でられる心地に浸り、気持ち良さげにしていた。

 

「こいつがもう、こんなになるなんて……随分と動物の扱いには手馴れているんだね、あんた」

 

「動物は好きだぞ」

 

 そうして、チョッパーを可愛がりながら現在、ワポルの城に住んでいる彼女にこの国を観光したいので泊めてもらえるように頼み、その間は家事などの手伝いをする事で取引をすると『まあ、どうせ部屋は空きまくっているからね』と受け入れてくれたのでイッシー20と共に城へと向かう事になったが……。

 

「俺は雪山の動物たちと触れ合いながら、城に行く事にするよ」

 

 そう、ルフィは言って雪山へと向かい……。

 

『ガルル(着きやした、兄貴)』

 

「おう、ありがとうな」

 

 少しして兎ではあるが熊を思わせる強靭な肉体を持つ『ラパーン』の群れや山を歩き回り、一礼さえすれば無害な大きな熊であるハイキングベアーなどを引き連れながらドラム城にルフィはやってきた。

 

「こりゃ、驚いた。特にラパーンは人間には懐かない狂暴な動物の筈なんだがねぇ」

 

「彼はどうやら、大物のようだ」

 

その様子にくれはとルフィ達の付き添いで来たドルトンたち、ドラム王国の者たちは驚き……。

 

「あいつ、もしや海賊王ならぬ動物王にでもなるつもりじゃないだろうな……」

 

「うーん、そうなっちゃいそうだねぇ」

 

 ゾロやウタたちは動物と会うたびに交流深めるルフィにそんな印象を受けるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

2

 

 

 

 

 

 

 かつてドラム王国であったこの島の中央の山の上にある城には桜と髑髏が描かれた『海賊旗』が掲げられていて、それを小さな者が眺めている。

 

 その小さな者とは子供の如き体系であるが、2足歩行しているチョッパー。

 

 彼はトナカイであるが『ヒトヒトの実』という悪魔の実において動物に変身できる動物系(ゾオンけい)の種類のそれを食べた事で人語を理解し、話せるようになり、しかも2足歩行も出来るようになった。

 

 因みにドルトンも『ウシウシの実――モデル野牛(バイソン)』を食べた能力者である。

 

 そうして、チョッパーはくれはから医術を学んでいるので医者としても活動できる。

 

 医学を学ぶきっかけとなったのはくれはより前に唯一、自分を受け入れてくれた男で医者として活動していたが腕は全然どころか、無理やり治療しようとして患者の病気を悪化、更には爆弾を使ったりなど滅茶苦茶なやぶ医者Dr.ヒルルクとの出会いと交流によってだ。

 

 ヒルルクは海賊旗を信念の象徴として掲げていた……しかし、彼は元々命が尽きようとしていた重病者であり、イッシー20が病気だというワポルが医者として活動していたヒルルクを誘い、殺すための嘘を吐き、それより前にチョッパーが医学の知識不足、髑髏が信念の象徴だという思い込みから猛毒のアミウダケを渡し、そのスープを食させてしまったという悪い状況が重なりに重なって、ヒルルクはせめてチョッパーが原因で死なないようにワポルの元へと行って、自爆死したのである。

 

 それを戒めにチョッパーは全ての病気を治せる万能薬、万能の医者になれるよう、くれはに弟子入りし城にヒルルクの海賊旗を掲げる事で彼の墓標とした。

 

「海賊旗を城に掲げているなんてな」

 

「っ!? お、おおお……」

 

 海賊旗を眺めていたチョッパーを抱きかかえ、可愛がりながらルフィはチョッパーに問いかけ、チョッパーは『どうして、こいつは撫でるのが上手いんだ。それに落ち着く』とその心地良さに浸っていた。

 

「隠さなくて良いぞ、俺は人や物体の心や記憶が見えるんでな。お前、喋れるんだろう? だから、話そう。ヒルルクの事を聞かせてくれ、代わりに俺も旅の話をしてやるからさ。ともかく、交流してくれ」

 

「ぅ……ん、別に良いけど……(なんでこんなに受け入れちまうんだ)」

 

 何故だかルフィに心を許してしまう事を不思議がりながらもそれぞれ、二人はいろんな話をして交流したのだった……。

 

 

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