三十六話
理由は謎だが『アラバスタ王国』の乗っ取りを企む『王下七武海』の一人、クロコダイル。
彼が『社長』のMr.0というボスとして操っている秘密犯罪組織である『バロックワークス』は副社長、最高司令官を務めるミス・オールサンデーとそして、それより下はMr.1とミス・ダブルフィンガー、Mr.2ボン・クレー(オカマのためにペアなし)、Mr.3とミス・ゴールデンウィーク、Mr.4とミス・メリークリスマス、そしてルフィが成り代わるために殺したMr.5とミス・バレンタインペアを『オフィサーエージェント』として重要な幹部としており、そのオフィサーエージェントの部下に二百人の精鋭、『ビリオンズ』を付けている。
その下からはMr.6からMr.12までのペアからなる『フロンティアエージェント』にその部下として千八百人の部下、『ミリオンズ』を付けていて、例外的な立場として各エージェントたちへの仕置き人・伝達係を現在は麦わら旅団の仲間となっているラキとアンが務めていた。
そんなバロックワークスだが、クロコダイルはいよいよ本格的にアラバスタ王国を乗っ取るために『オフィサーエージェント』に招集をかけ、『ビリオンズ』にも当然、招集をかけたのだが……。
『ウオオオオオ(全ては王様のためにぃぃぃぃぃっ)!!』
『な、なんで海獣や海の生物の群れが襲っててくるんだよぉぉぉぉっ!?』
アラバスタ王国を目指していたビリオンズであるが、サンディ島沿岸を縄張りする巨大な猫の海獣でアラバスタでは神聖な生き物とされる海ネコを始めとして多くの海獣、海の生き物たち、多種多様でとにかく数も多いものたちの襲撃を受け、蹂躙された。
「ありがとう、お前たち。助かったー」
そして、そんな海獣たちにビリオンズを倒すように頼んだ張本人、ルフィが大声で礼を言う。彼は単独でアラバスタへの潜入のためにドラム王国であった場所から航海を始めたその道中、何度か海獣たちに襲われたがその度に交流する事で仲良くなったのである。
『オオオッ(いえいえ、こちらこそー)』
喜びの声を聞きながら、ルフィはアラバスタ王国の港町、『ナノハナ』を目前にすると西の入り江に船を隠して上陸する。
不審がられないのと目立たないように砂漠を渡るためと旅行者に見せるための衣装とサングラスをしての変装やバックパックを背負って向かうと何処からか結構な勢いで回転しながら向かってくる。
「指令書か」
それは封筒であり、中身はラキとアンから聞いて場所は知っているが、バロックワークスの本社である『スパイダーズカフェ』へ今夜八時までに集合するようにと書かれた指令書であった。
「よほど、俺にやらせたいことがあるようだな」
投げたのはミス・オールサンデーであるのは『見聞色の覇気』で感知しつつ、中身は記憶したので指令書は破り捨てるとまずは『ナノハナ』の中へと入った。
すると、なにやら町の様子が騒がしく……。
「おい、聞いたかあの店で死人だってよ」
「マジかよ」
そんな物騒な会話が聞こえたので気になって、客が突然死したという『spice bean』という店名の料理屋へと向かえば、上半身裸で背中に海賊団の海賊旗をそのままタトゥーにしたそれを刻んでいて、両脇に多くの空になった皿を置いていて肉を持ち上げながら、ご飯の皿に顔を埋めて微動だにしない男が確かにいた。
「エースっ!?」
ルフィは生きているかどうかを一応、確かめるために『見聞色の覇気』で感知してみれば驚愕し、呟いた。
「っ!! その声は……お前かルフィっ!!」
その呟きに瞬時に反応すると男は起き上がり、ルフィの姿を確認すると嬉しそうに笑いながら飛びつく事で抱き着いた。
動物の骸骨のレリーフを下げたテンガロンハット、その帯に笑顔と泣き顔を象ったゴーグル型の装飾、首には赤い数珠のネックレスと左腕にはオレンジのエルボーパッドと紅白のリング、航海するための『記録指針』、腰にはナイフを着用した癖のある黒髪、そばかすのあるこの男はポートガス・Ⅾ・エースでルフィにとってはサボと同じく兄貴分で当然、ウタにとっても同じ、更にはサボにとっては親友な関係の男である。
かつてはサボにエース、ウタにルフィの四人で兄弟のようにしてフーシャ村付近で過ごしていたのだ。
因みにエースは海の皇帝と呼ばれる『四皇』に一人、『白ひげ』という男が船長の海賊団に入っていて、その二番隊隊長で彼個人、『火拳のエース』という異名を持っていて賞金首にもなっている。
「ああ、俺だよ。それにしても『白ひげ海賊団』の一味になったお前が此処に居るなんてな」
「そっちこそ、『麦わら旅団』として活躍しているって聞いたのに一人なのか? ウタはどうしたんだよ?」
ともかく、せっかくだからとルフィは一緒に食事をする事にし、サボと会ったり、実の父であるドラゴンと会って、殴った事なども話した。
「はははは、良くやったルフィ。俺も生きていたら、親父を殴っていたんだがな」
エースはルフィが実の父親を殴った話を聞き、笑う。因みにであるが彼の父は実は『海賊王』であるゴールド・ロジャー、正確にはゴール・Ⅾ・ロジャーその人であったりする。
その後はサボにもそうだが、『命の紙』と呼ばれていて体組織を材料にする事で作り、その体組織を提供した個人がどこにいるかを示す『ビブルカード』、切れ端でも効果があるために切れ端を受け取り……。
「なぁ、ルフィ。お前の仲間たちも含めてうちに来ないか?」
「悪いが、それは無理だ」
「即答か、まぁ分かっていたし言ってみただけだよ。でも、お前はどう考えても海賊向きだと思うんだけどなぁ」
「誉め言葉として受け取っていいのか、微妙な言葉だな」
「へっ、ともかく会えて良かった」
「俺もだ」
そうして、支払いを済ませて店の外で抱擁を交わして、別れようとした二人だが……。
「くくく、まさかこんなところに『火拳のエース』が居るなんてな」
「お前を仕留めてエージェントに昇格させてもらうぜ」
エースが居るという話を聞きつけて駆け付けた、ビリオンズがエースを逃がさないように得物を包囲する。
「ったく、人がせっかく気持ち良く別れようって時に……」
「賞金首なのに堂々と出歩いてるんだから、こうなるのは無理も無いだろう」
ルフィは溜息を吐きながら指摘する
。
「まあ、俺達らしくて良いけどな」
「だな、じゃあやるか。だが、一般人や町には被害を出すなよ」
「ああ、勿論だ……ルフィ、知ってるかもしれないが、俺は悪魔の実の能力者になったんだぜ」
ルフィの苦笑に答えるエースの体から炎が噴出される。彼は自然そのものとなる『
「ああ、聞いてるよ。因みに俺も火ぐらいなら出せる」
『生命帰還』によってルフィはまず、自身の体温を限界ぎりぎりまで跳ね上げ、そのために彼の体から蒸気が噴出された。
「相変わらずの人外ぶりだな……良し、いくぞっ!!」
「ああっ!!」
そうして、エースはメラメラの実によって炎を操りながらビリオンズの者たちを倒し、ルフィもまた打撃を放つ際の空気摩擦によって高熱を有していた手足を発火させて炎を纏わせつつ、打撃を炸裂させて打ちのめした。
「ふう、やっぱり強いなお前は……ともかく、それじゃあな」
「ああ、またな」
全員を返り討ちにするとエースはルフィに別れを告げて去り、ルフィは見送りながら体温を戻しながら、その場で待つ。
「あらあら、冗談じゃないわよー。あのエースが居たってのに出遅れるなんて」
珍妙な格好、白鳥の飾りを両肩に着けたコートで後ろに『オカマ道』と文字の書かれたそれを着た大柄のオカマ、Mr.2ボン・クレーが現れた。
「あんたがMr.2ボン・クレーだな」
「あちしの事を知っているなんて、只者じゃないわねぇ。あんた」
「まあな、それじゃあ始めよう。全力で来ると良い」
「そうみたいねぃ」
ルフィから放たれる戦意に威圧されたMr.2ボン・クレーは両肩の白鳥の飾りを取り、靴先に装着する。
「いっくわよぅ。オカマ拳法
「
Mr.2ボン・クレーは白鳥の飾りにより、伸びたリーチに一点に凝縮されて破壊力を増した蹴りを放ち、ルフィは『指銃』を蹴り技とし、蹴りで相手を撃ち抜くそれを放つ。
「がはぁぁっ!!」
二人の蹴りがぶつかると、Mr.2ボン・クレーは吹っ飛ばされて倒れ伏す。
「あ、あちしの負けよ……殺すが良いわ」
「なら、その命……俺が拾おう」
全てを諦めたMr.2ボン・クレーにルフィはそう、声をかけたのだった……。
2
マリージョアにある海軍本部……二人の男が睨み合っていた。
「そこをどけ、センゴク。儂はどうしてもルフィの元に行かねばならんのじゃっ!!」
「いい加減にしろ。行ったら、ルフィ君の邪魔になるだけだぞ」
ルフィからクロコダイルから連絡があったのでアラバスタへと向かうという報告を受けたセンゴクであったが、ガープもばっちり聞いていて、さっそく向かおうとしたのでセンゴクは必死に止め、現在、死闘を開始するような雰囲気と化していた。
「面倒くさい事抜きにクロコダイル、ぶっ飛ばせば終わりじゃろうっ!!」
「そういうわけにはいかないから、止めているんだ」
「ならば、仕方ないのぅ」
「この孫馬鹿が……」
そうして、睨み合った二人はどちらも相手が譲らないのを察すると……。
『うおおおおおっ!!』
何年振りにもなる大喧嘩を始めたのであった……。