麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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三十八話

 

 

 アラバスタ王国には『夢の町』と呼ばれる町であり、人々がギャンブルで一攫千金を目指す『レインベース』。

 

 この町において最大のカジノでありピラミッド風の外観で頂上にはバナナワニの飾りがある『レインディナーズ』のオーナーこそ密かにアラバスタ王国の乗っ取りを企み、動いている『七武海』の一人、クロコダイルである。

 

「ありがとうな、バンチ。連れてきてくれてよ」

 

 『スパイダーズカフェ』にてクロコダイルであるMr.0とミス・オールサンデー、Mr.5とミス・バレンタイン、Mr.2ボンクレーを除く『オフィサーエージェント』を倒し密かに控えさせていた海軍に任せた後、ルフィは『オフィサーエージェント』の迎えに来たオフィサーエージェント専用の水陸送迎ガメで帽子を被り、煙草まで吸う巨大亀のバンチによって彼が引っ張る車に乗り、明朝にレインベースへと入り、『レインディナーズ』の裏口前で止まったので降りた。

 

 ミス・オールサンデーが指示をしていたようでバンチは特に何の反応もせずにルフィを送ってくれたのである。

 

「ウイ(仕事ですんで)」

 

「おお、仕事人だなぁ……」

 

 バンチの返答に苦笑を浮かべると『レインディナーズ』の裏口を開けて中に入ると……。

 

 

 

「ようこそ、Mr.5。また会えて何よりだわ」

 

 待っていたミス・オールサンデーがルフィを丁寧な礼で出迎え、手招きしてルフィの前を歩きだす。

 

「それはどうも……数々の大きな手助け、感謝する。借りは必ず返す事を誓おう」

 

「ええ、そのために手助けしたんだもの……さぁ、この先に彼が居るわ。武運は祈っておいてあげる」

 

 ルフィの言葉に笑みを浮かべるとミス・オールサンデーはルフィの前から横へと移動し、扉を指し示す。

 

「ありがとよ。それじゃあ、また後で」

 

 オールサンデーにそう言うと、扉へと進み、そして開けて中へと入った。

 

 扉を開ければ中は広々として高級感漂い、客を出迎えるための部屋と思われるその室内であり……。

 

 

 

「お初にお目にかかるMr.0……いや、『七武海』の一人、クロコダイル」

 

「……そういうお前は何者だ? 此処はガキが来る場所じゃねえぞ」

 

 ルフィの挨拶に答えたのは253㎝の長身、艶やかな黒髪のオールバックに顔面を横断するように走る傷跡、左腕は金色の大きなフックが義手となっており、右手には大きな宝石があしらわれた指輪をはめていて、身に纏うのは高級感溢れるフォーマルウェアの上に分厚い毛皮のロングコートを羽織った壮年の男。

 

 クロコダイルが戸惑いと共に言った。

 

「ふふ、お前の戸惑いはもっともだ。俺はモンキー・Ⅾ・ルフィ。海軍の中将、ガープの孫だよ……そして、お前の戸惑いに答えをくれてやろう」

 

 

 ルフィは身分証明書を見せつつ、自己紹介すると『生命帰還』によって声色を本当のMr.5のものに変え……。

 

 

「この声には聞き覚えがあるだろう?」

 

「っ!? 貴様っ……」

 

 クロコダイルは瞬時に理解し、驚くと共に忌々し気な表情を浮かべた。

 

「秘密主義は良いが、徹底過ぎるのも考え物だな。こうやって成り代わられる危険性があるんだから……そう、つまりビビ王女は生きている。そして、あの時、銃殺されたのは本物のMr.5にミス・バレンタインだ。アンラッキーズだったラキとアンは今は俺の仲間だし、他の『オフィサーエージェント』は協力者になってもらっているボンクレー以外は全員、倒して捕らえたぞ」

 

「……で、まさか俺も捕らえに来たとつまらん冗談を言うんじゃねえだろうな?」

 

 自分の野望の邪魔をしているルフィに対して怒りながら、クロコダイルは問いかけた。

 

「そのまさかだ。ビビに『この国を救うのに力を貸してくれ』と頼まれたからな。俺は助けたがりなんだよ」

 

「くくく……クハハハハ、本当につまらねぇ冗談だ。それに海軍の英雄の孫だけあって救えねぇ馬鹿だな。この世界で他人のために命を賭けたり、正義を語るなんざ早死にするだけだぞ。そういう奴を俺はごまんと見てきたんだ。正義が通るのは物語の中だけなんだよ」

 

「正義は無力だと?」

 

「現に海賊が幅を利かせているじゃねえか」

 

 ルフィの問いに嘲笑を浮かべながらクロコダイルは言う。

 

 

「だから、俺がこれから終わらせるんだよ。海賊が幅を利かせる大海賊時代を……そして、人々が平和に平穏に過ごせる『新時代』への道を切り開く」

 

 ルフィがそう言うと……。

 

「ふふ、くくく……クハハハハハハッ!! どこまで笑わせてくれやがる。無知なガキってのは怖いもんだ。良いか、この海を深く知る者ほど、そういう軽はずみな発言はしねぇもんさ。この海のレベルを知れば知る程にそんな夢は見れなくなっちまうんだ」

 

 クロダイルは大きく嘲笑しながら、ルフィに告げる。

 

 

 

「お前はそうだったんだな」

 

「あん?」

 

 ルフィの指摘にクロコダイルは内心を揺さぶられながらも表面上は何が言いたいかというかのように反応する。

 

「お前の情報は予め、聞いている。かつては海賊として活動して名を馳せていたお前は『四皇』の一人である白ひげに叩きのめされたと」

 

 

 ルフィは実際、センゴクからクロコダイルの情報を聞いているし『見聞色の覇気』で全てを見通しながら、告げる。

 

「……黙れ」

 

「さっきまでの発言からして、随分と叩きのめされたのが堪えたようだな……そして理解したぞ、今のお前が負け犬だという事を」

 

 苛立つクロコダイルに彼の核心を突く言葉をルフィはかける。

 

 

「……知った風な口を聞いてんじゃねえぞぉおおおおっ!!」

 

 瞬間、クロコダイルは激昂しルフィへと疾走。

 

 『自然系』である『スナスナの実』を食べた事で体を砂に変えることが出来、操れる能力に更に右手で触れた物体の水分を吸収し、干からびさせる能力を手にしている彼はルフィをミイラに変えようとしたが……。

 

 

「怒っているのはお互い様だ」

 

「っ……ぅ、な……あ……?」

 

 ルフィより放たれた『覇王色の覇気』を浴び、クロコダイルは自分の身を砂に変えていく。自分が死ぬどころか消滅する幻覚を体感した事で防衛本能として能力が暴走したのだ。

 

 少しして正常な意識を取り戻すと体も戻し、戸惑い、大きな汗も流し、荒い息を吐きながら自分が無事なのを確認する。

 

「お、お前……まさか……」

 

「ああ、その通り……俺は覇気使いだ。そして改めて宣言しよう、お前は負け犬だが危険な男だ。だから、全力をもって粉砕しよう。さぁ、来るなら来い。勝つのは俺だ」

 

「ち……調子に乗るなぁぁっ」

 

砂漠の金剛宝刀(デザート・ラスパーダ)

 

 クロコダイルは巨大な右腕を超巨大な振動する砂の刃へと変えながら、ルフィに放つ。

 

 

 

嵐脚(ランキャク)――威断(イダン)

 

 それに対し、ルフィは右足に『武装色の覇気』を纏うと『威国』の原理と組み合わせた嵐脚を放ち、凄まじい蹴圧と鎌風がクロコダイルの刃を断ち……。

 

「ご……あ」

 

 『武装色の覇気』は自然系の能力者の実体を捉える事が出来るために本来なら通用しない物理攻撃が通じるようになる。よってクロコダイルにルフィの放った刃が炸裂し、鮮血が噴き出すと共にクロコダイルの身は倒れようとして……。

 

「ぐ……おお……こんな程度で……」

 

 何とか踏ん張るとクロコダイルは右手に砂嵐を生み出し……。

 

 

砂嵐(サーブルス)――(ペサード)

 

 超巨大な砂嵐にすると蹂躙するためにルフィへと放つ。

 

 

 

威国(イコク)六王銃(ロクオウガン)

 

 対してルフィは六式の奥義である六王銃の構えより威国の原理と組み合わせた六王銃を放ち、武装色での強化されたのも含めて凄まじい衝撃波が弾丸の如く、打ち出される。

 

「っ!? がああああああっ!!」

 

 クロコダイルの砂嵐の中を衝撃波は突き破ってかき消しながら進み、そして彼を呑み込み蹂躙され、吹っ飛ばされながらやがて床に倒れ伏す。

 

 

 

 

「…ぅ……が……(こ、こんな馬鹿な事が……)」

 

 薄れゆく意識、力を失う体に必死に活を入れて無理やり立ち上がるクロコダイル。

 

 自分より遥かに年下で十代の少年のルフィの前で倒れゆくなど彼のプライドが許さず、しかし手も足も出ない現実にクロコダイルは肉体以上に精神に衝撃を受けていた。

 

 

 

 

 

「終わりだ」

 

「……な……」

 

 そして、頭上からかけられるルフィの声にクロコダイルが反応し、上を見ると『覇王色の覇気』を纏った右足の踵がクロコダイルの意識上において緩慢に彼の頭へと迫り、その状況がかつて白ひげに敗北を刻まれた時とあまりに似ていたので重ねて……。

 

「(……俺は……また……)」

 

 凄まじい威力と衝撃によってかなり深いクレーターに埋まりながら、クロコダイルは倒れ伏し二度目の敗北を刻まれたのであった……。

 

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