麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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三話

 

 

 フーシャ村の酒場である『PARTYS BAR』に突如、現れた山賊のヒグマ一味は結果で言うならば生きてはいるが、シャンクスの娘であり、それ以外でも『赤髪海賊団』である皆の子供であり、宝以上に大事にされている存在に棟梁であるヒグマが手を出そうとしたこともあってその代償を払う事になり、全員、再起不能となった。

 そして、ヒグマがウタを手を出そうとしたところを助けたのはルフィでその出来事により、更に二人の関係に変化が訪れる。

 

 まず、ルフィはウタの事を自分が他の誰よりも守りたい存在、そして出来る限りずっと傍に居たい存在として意識するようになった。

 

 ウタも又、ルフィの事を自分の事を守ってくれる存在として意識するようになり、可能な限り傍に居てほしい存在として意識するようになり、こうして二人の関係は更に深まるようになったのである。

 

 そうして赤髪海賊団がフーシャ村を拠点にして航海をするようになって一年、ルフィは七歳になり、ウタが九歳になったある日……。

 

 

 フーシャ村近くのとある場所で遊んでいたルフィとウタを少し離れた物陰から見ている十数人の者たちが居た。

 

「まさか、あの『赤髪のシャンクス』に娘が居たなんてな……」

 

「くく、攫って人質にしちまえばこっちのもんだ」

 

 彼らは『赤髪海賊団』とは別の海賊であり、ウタの情報を手に入れたため、力を自分たちよりも持つ同業者を潰すためにフーシャ村よりは遠くの場所に潜入して、暗躍している者たちである。

 

 海賊には世界政府関連の者だけでなく、今の彼らのように別の海賊が敵になる事も大いにあるため、実に『敵』が多い存在なのだ。

 

 そして、彼らの前に居るのはたかだか少年と少女、子供二人なためにウタを簡単に攫えると歓喜していたのだが……。

 

「あれ、ガキが消え……」

 

 急に少年、つまりルフィが立ち上がって突如として消えたかと思うと……。

 

 

 

嵐脚(ランキャク)――乱裂(みだれざき)!!」

 

「ぐあああああっ!?」

 

 海賊の周囲を残像を置き去りにしかねない程の速度、地も空も足場にして駆け跳ねる機動をもって移動するルフィが放つ蹴り――それが鎌風となって海賊に放たれる。

 

 これこそ蹴りによって、斬撃波を放つ『六式』における遠距離攻撃の『嵐脚』だ。

 

 そうして蹴りによって放たれた斬撃波は海賊たちに放たれ、彼らを滅多切りにして地面へと倒す。

 

 

 

「シャンクスたちはともかく、ウタに手を出す事は俺が絶対に許さない」

 

 ルフィは怒り交じりにそう告げた。

 

 彼の持つ力(シャンクスに『覇気』と教わった)の領域はウタを守れるようにと更に鍛錬を厳しくしたことで高まり、少なくとも人や生物の気配や感情を感じ取る『見聞色の覇気』は人や生物だけでなく、木々や土に風と物体の思念などそうしたものを声として感じ取れるようにすらなっていた。

 

 その高い感知能力により海賊たちがウタを狙っている事にも簡単に気づいたのだ。

 

 そして、『トイレに行ってくる』という建前でウタから離れ、陰ながら守るために行動していたルフィであるが……。

 

「ふふ……ありがとう、ルフィ」

 

 ヘッドセットを外したウタは嬉しそうに微笑む。彼女の聴覚は歌い手であり、音楽家であることもあって常人より並外れている。

 

 そして更に『トイレに行ってくる』と言ったルフィの仕草から彼が嘘をついていたのも分かっていた。何故なら、ルフィは嘘をつく際、その精神的抵抗によるものか頬を掻き、視線を少しそらすという癖があるからだ。

 

 ともかく、ウタはルフィが戻ってこようとしているのを聴覚で捉えたのですぐにヘッドセットをつけて何事も無かったように戻ってきたルフィに対し、同じように何事も無いように振る舞ったのであった……。

 

 

 

 

2

 

 

 

 

 ある日、フーシャ村の酒場である『PARTYS BAR』にて……。

 

「ねぇルフィ。私達、今回は音楽の国だっていう『エレジア』に行くんだけど……ルフィも一緒に来てくれない? 前に助けられたお礼よ」

 

 

 

 ウタが頬を赤らめ、恥ずかしがりながらルフィに航海の誘いをかけた。

 

「ぇ……い、いや……誘いは嬉しいけど俺が海賊と航海したなんて爺ちゃんに知られたら、殺されちまうよ」

 

ルフィはウタからの誘いに誰が見ても物凄く困り果てた様子で葛藤しながら、言った。

 

「……でも、私ルフィと航海したいの。一度だけで良いから、一緒に来て。お願い」

 

「ぅ……ぐ……」

 

 そんなルフィへとウタはさらに詰めよって攻めていき、ルフィはさらに激しく葛藤する。

 

 

 

 

 因みにこの様子をマキノにシャンクスたち、赤髪海賊団とフーシャ村の村人は微笑ましく、あるいは面白がりながら見ていた。

 

 中には賭けをしている者もいたりするが……。

 

 

 

「……分かった。俺もウタとは航海したいし、行くよ」

 

「っ!! ありがとう、ルフィ。大好き」

 

 ルフィは覚悟を決めて息を吐くと頷き、ウタは本当に嬉しそうな笑顔を浮かべて抱き着いた。

 

「っ、ああ、俺もだよ」

 

 ルフィの方もウタを抱きとめ、その言葉に答えた。

 

 

 

 

 

『おおおおおっ!!』

 

 そして、周囲の大人たちはよく言った、あるいはよくやったとばかりに歓声を上げる。

 

 

 

「ウタ、流石は俺の娘だな」

 

「ルフィも偉いわ。安心して、ガープさんが来たら、うまく言っておいてあげるし一緒に怒られてもあげるから」

 

 シャンクスはウタを褒め、マキノはルフィを褒める。

 

 こうしてルフィは『音楽の国』として有名なエレジアを目標とした赤髪海賊団の航海に加わることになったのであった……。

 

 

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