秘密犯罪組織の『バロックワークス』は今まで隠密に行動していたが、今日は本格的に動き出していた。
アラバスタ王国の首都である『アルバーナ』付近のとある場所に指定の時間に集合するよう、『フロンティアエージェント』のMr.6とミス・マザーズデー、Mr.7とミス・ファーザーズデー、Mr.10とミス・テューズデー、Mr.11とミス・サーズデー、Mr.12とミス・サタデーとそれぞれのエージェントの部下である『ミリオンズ』にバロックワークスのボスであるMr.0から指令が下ったからである。
ようやく秘密主義であったボスに会えるのもあって、皆がボスより早く集まり、出迎えようと動いたのだが……。
「
バロックワークスのエージェントたちを出迎えたのは上空より正に数百を超えた膨大な数であり、流星群の如く、降り注ぐ大量の砲弾。
『うわあああああっ!?』
大きな丘の上からの奇襲に大きく驚き、混乱しながら爆発によって吹っ飛ぶエージェントたち。
更に……。
「お前ら、ルフィが整えた舞台だ。一匹も逃すんじゃねえぞ」
「勿論です、スモーカーさん」
海軍のスモーカーが『モクモクの実』を食べた事で得た能力、体を煙状に変化させ、たしぎは刀を抜き、部下たちが大混乱しているバロックワークスのエージェントたちへと襲撃をかける。
クロコダイルを倒したルフィはその後、すぐにこの時のために待機させていた海軍の者たちへと連絡をするとミス・オールサンデーの協力の元、クロコダイルへと成り代わってこの場所へとエージェントたちを招き寄せた。
協力したミス・オールサンデーは後で借りを返してもらうために機を窺って、会いに行く事を言って去っていった。
そして、他にはアラバスタに内乱を招くのとそれを鎮めて国を救った英雄という名声を手に入れるためにアラバスタ王国にとっては必要な雨の時期を操作するためにクロコダイルが用意していた『ダンスパウダー』という粉があり、それは霧状の煙を発生させ、その煙で氷点下にある雲の氷粒の成長を促し、人工的に雨を降らせることが出来るもの。
それを使うための『人工降雨船 フール号』を確保させに行かせたりもしている。
クロコダイルはかなりの策略家でダンスパウダーをアラバスタの国王であるコブラが密輸しているように仕向けてコブラに対する市民からの信頼を落とし、ダンスパウダーの欠点として風下にある隣国の干ばつ、雨を降らすまでに至らない雲を成長させ雨を落とすその性質のために起こる副作用を悪用してアラバスタ王国に雨を降らさないようにすることで民衆が内乱を起こすようにしたのである。
そして、この内乱を自分が鎮めながらそれと同時に雨が降るという奇跡を起こすためにやはり、上手く『フール号』で雨の時期を計算していた。
正にひたすらに嵌め殺しの如き、策略である。
そのクロコダイル唯一の誤算は効率を突き詰めたがゆえにそれが一つでも瓦解すると途端に崩れてしまうようになっていた事だろう。
ましてや正体を徹底的に隠していたがゆえにルフィにとって組織を乗っ取りやすかったのだから……。
そうしてルフィはMr.0としてバロックワークスのエージェントたちを奇襲を仕掛けやすい場所に集めた。
もっとも全員ではなく、どうしてもアラバスタ王国軍と反乱軍に潜入している部下には不審がられても面倒なためにこの場には呼べなかった。
そこはウタたちとウタたちに協力しているボンクレーに任せる事にした。
ともかく、今、ルフィはスモーカーとたしぎ、それに……。
「ふふ、ルフィ君……随分と良い男になったわね。ヒナ感動」
ピンク色の長髪、麗しく色気もある美貌、スタイル抜群のその体を紅色のスーツで包み、海軍独特の後ろに『正義』と書かれたコートを羽織った女性、海軍本部大佐でスモーカーの同期であるヒナが感慨深げに言い、微笑しながら動いた。
彼女は自らの体をすり抜けた相手に鉄の錠をはめて拘束できる能力を得る『オリオリの実』を食べた檻人間であり、その能力を遺憾無く、発揮していった。
「それじゃあ、俺も行くか」
次々と海軍により、制圧されていくエージェントを丘の上から見ながらルフィはそう言い、凄まじい速さで駆け下りながら、加速に次ぐ加速をし……。
「
体を疑似的な銃弾に変えての突撃技を使い、追撃する事で吹っ飛ばしていく。
「ゲロゲロー!!」
「オホホー!!」
カエルの衣服に身を包んだ女性、ミス・ファーザーズデーと丸っこい髪型に数字の7を体中にあしらった衣服に身を包んだ男であるMr.7たちなどエージェントたちは捕まっていく中で……。
『私たちを裏切ったのか、Mr.0ぉぉぉぉぉぉっ!!』
自分たちを嵌めたMr.0に内心、あるいは実際に恨みを叫ぶ。
「く……くそ、こうなったらあのガキだけでもぉぉぉぉっ!!」
長髪にシルクハット、11の刺青を顔に入れている男で良業物50工と呼ばれる種類の中の名刀、『花州』の使い手であるMr.11はやけくそで目についたルフィへと突撃したが……。
「しばらく、大人しくしてろ」
「がっ!?」
ルフィはMr.11と交錯しながら、『指銃』による衝撃を筋肉の動きを制御する経穴に炸裂させ、衝撃で撃ち抜いた事で麻痺状態にして地面へと倒れさせた。
「これは貰っておく」
更に交錯するついでに『花州』と鞘を奪っており、刀を鞘に納めながら告げた。
そうして、この場に招き寄せられたバロックワークスは全員、捕らえられたのだった……。
2
ルフィがMr.0となって招き寄せたバロックワークスは全員、捕らえられ……更にバロックワークスの人工降雨船 フール号も別動隊が確保したという報告も入る中……。
「お疲れ様です、スモーカー大佐、ヒナ大佐、たしぎ曹長」
事後処理を行っている中でルフィは協力してくれている者たちへ敬礼しながら言う。
「お疲れなのはむしろ、お前の方だろう。あの『七武海』の一人、クロコダイルを捕らえたんだからな……本当に大したもんだ」
「今までの功績からしても海軍に入ったら、いきなり中将になりそうね」
「無理してませんよね、ルフィ君……」
スモーカーとヒナはそれぞれ苦笑し、たしぎは心配そうに言った。
「無理なんてしてませんよ。出来る事をやっているだけですから……」
「なら、良いですけど……それにしても軍服似合ってますね」
「ど、どうも。まだまだ『正義』は重いですけど」
たしぎが指摘するように今のルフィは海軍の軍服に身を包み、『正義』のコートを羽織っている。
どうもガープからの要請らしいし、先ほど幾つか写真も撮られても居た。
因みにスモーカーにセンゴクとガープの事を聞こうとしたのだが……。
「お前は知らない方が良い」
「ええ、それに関してはヒナ同意」
「そうですね……」
スモーカーもヒナもたしぎも全員、口を濁した。
最終的につるが納めたとはいえ、ガープとセンゴクの喧嘩で海軍本部の建物が半壊したなどとはルフィには言えなかったからである。
「ともかく、後は俺たちに任せて……お前は待たせている仲間の元へさっさと行ってこい」
ルフィが『オフィサーエージェント』やクロコダイルにそのほか、バロックワークスのエージェントたちを捕獲した事をウタたちに渡している『電伝虫』にて連絡するとウタたちも又、遅れて行動したイガラムも加えての行動で反乱軍と王国軍の説得に成功し、内乱を鎮めたとの事だった。
『アルバーナ』で合流する事を約束しているので事後処理が終われば行く予定だったが、スモーカーはさっさと行けと促し……。
「ありがとうございます、それじゃあまた後で」
ルフィはスモーカーたちの心遣いに感謝しながらアルバーナへとミス・オールサンデーが使えるようにしていた鼻先の上と尻尾の先がバナナ状となっていて、人が乗れるほどの大きさ、アラバスタ王国動物の速脚ランキング二位のワニ目バナナワニ科、『Fーワニ』に乗って、アルバーナへと向かい……。
「ルフィー!!」
「お帰りなさい、ルフィ」
首都アルバーナの城が見える手前で待っていたウタがFーワニから降りたルフィに抱き着くと口づけし、ナミも近づくとやはりルフィへと口づけする。
「ルフィさん……」
そして、ビビもまたルフィを待っており……麦わら帽子を持ちつつルフィへと近づく。
「まだやることはあるが、ひとまずは片付いたぞ。ビビ」
「はい……本当にありがとうございました、ルフィさん」
そうしてビビはルフィに近づき、麦わら帽子を被せながら……。
「ん……」
「むっ!?」
ルフィへと口づけし、ルフィを驚愕させた。
「お、おい……」
「せめてものお礼です……嫌でしたか?」
頬を赤く染めながら、様子を窺うようにしてビビはルフィを見つめた。
「嫌な訳が無いだろう。それにお礼にしちゃ十分すぎる」
「なら、良かった」
「……ふふ、それじゃあ行こう。皆、待ってるよ」
「ところで、何で海軍の服着てるの?」
「後でまとめて話すよ」
そうして、三人と共にアルバーナの城へと歩き出すルフィ、少しして空を雲が覆い……。
『あ、雨だぁぁぁぁっ!!』
それは恵みの雨となって、アラバスタ中の人々を大いに喜ばせたのであった……。