麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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五十四話

 

 ジャヤという島の西海岸には今まで、あまりに海賊はもとより、様々な無法者が集まり、根城とすらしている事から政府すら見捨てた無法地帯となっている町がある。

 

 その町の名こそ人が傷つけ合い、歌い笑う『嘲りの町』と呼ばれたモックタウンだ。

 

 しかし、もうこれからは『嘲りの町』と呼ばれる事は無い。

 

「いやー、本当ありがとうございました『麦わら旅団』の皆様。いくらこの町に来る無法者たちは滅多にこの町の人間には手を出さないとはいえ……無法者同士のいざこざに巻き込まれたり、憂さ晴らしされたりと被害が全く無い訳では無いので困ってはいたんです」

 

 今日、朝日が昇る時間帯より少し前に『麦わら旅団』がこの町に居るだけの無法者たち全てを倒し捕らえたからである。

 

 そして、そんな『麦わら旅団』に対しモックタウンの住人の代表者が礼を言った。

 

「だろうな。まあ、悪人を倒すのは俺たちにとっては当たり前の事だから気にするな……後は海軍に話は通しておくから、今後についてはそっちと相談してくれ。とりあえず海軍が来るまで俺たちの縄張りとでもしておけば良い」

 

 ルフィは代表者に応じながら、縄張りを証明するための自分たちの団旗を渡し掲げるように言った。

 

「はい、そうさせてもらいます。この度は本当に……」

 

『ありがとうございましたっ!!』

 

 そうして、モックタウンの住人達は『麦わら旅団』に礼を言う。

 

『どういたしまして』

 

 ルフィ達もまたその礼に言葉を返すと『空島』へと向かうための航海に協力を申し出た『猿山連合』たちの元へと向かうために『モックタウン』を去っていく。

 

 この後、モックタウンは依然と変わって『海軍』の支部が建つなどかつてのそれとはうって変わり海軍御用達の町となり、『麦わら旅団』はこの町の英雄として語られ続ける事になるのだが、それは別の話であるのだった……。

 

 

 

 

2

 

 

 

 

 

 

 ジャヤの東海岸、『猿山連合』のアジトとなっているそこで……。

 

「それじゃあ、クリケットさん、俺たちは行くよ。『空島』へ」

 

 一度、モックタウンから此処まで戻ってくると待っていたモンブラン・クリケットへルフィは告げる。

 

「ああ、行ってこい。本当はお前たちをもっと間近で見送ってやりたいんだがな……こんな事なら、もうちょっと体を労わるんだったぜ」

 

「労わるどころかあんたは今後はもっと、安静にしなくちゃならないんだけどな。長生きしたいなら……」

 

 クリケットの言葉に対し、ルフィは忠告混じりに言った。

 

「うるせぇよ。気にはするから、もう言うんじゃねぇ……ともかく、さっさと行け。そろそろ余裕が無くなるぞ」

 

「ああ、そうだな。それじゃあ、クリケットさん。あんたに会えて良かった」

 

「俺の方こそお前に会えて良かったぜ、ルフィ」

 

 そうして二人は握手を交わし、ルフィはクリケットに背を向けて仲間が待つ船へと歩いていく。

 

「猿山連合軍!!」

 

 ルフィの背を見ながら、クリケットは『猿山連合軍』の最終園長としての号令を発する。

 

 

 

 

「ウォ~ホ~!!」

 

「アイアイサ~!!」

 

 

 あまり号令する事が無い最終園長からの号令に『ショウジョウ海賊団』も『マシラ海賊団』も気合を入れた返事をした。

 

「ヘマやらかすんじゃねぇぞ!! 例え何が起きようとこいつらの為に全力を尽くせっ、『空島』に行くまでの道案内をやり遂げろ。それが俺たちの同士に対する最大の礼儀だっ!!」

 

『うおおおおお!!』

 

 クリケットの号令に部下が応える中……。

 

 

 

 

「さあ、いよいよ行くぞ皆」

 

『ああ、団長』

 

 ルフィは船に乗りながら、皆へと言葉をかけると笑顔で頷き、応じる。

 

 

 

「麦わら旅団、俺は此処でお別れだ。そして旅立つお前に一つだけ……これだけは言わせてくれ」

 

 そして、クリケットは『麦わら旅団』に対し……。

 

「黄金郷も空島も過去誰一人、無いと証明出来た奴ぁいねぇ……馬鹿げた理屈だと人は笑うだろうが、結構じゃねえかっ!!」

 

 クリケットは高らかに謳い上げようと息を吸い……。

 

「それでこそ、ロマンだっ!!」

 

 そう、心からの言葉を告げる。

 

「クリケットさんが言うと重みや説得力が違うな」

 

「だろ。それじゃあ治療をありがとうよ……お前ら、空から落ちてくんじゃねえぞ」

 

「クリケットさんもなるべく、無茶は程々にな。それじゃ」

 

「ああ、またいつか会おう」

 

 そうしてクリケットはショウジョウ海賊団とマシラ海賊団の先導の元、旅立つ『麦わら旅団』を見送った。

 

 

 

 

 

 その後、サウスバードのサウスに『突き上げる海流』が起こる南の方向を指してもらいながら航海を続け……。

 

「うおおおお、やっぱりこの方法問題ありだってえええっ!?」

 

 予想より、『積帝雲』が訪れるのは早かったがともかく、『積帝雲』の中に入る事になるのでラキとストロン以外の者はダイビングスーツと酸素ボンベを装備して備えつつ、『突き上げる海流』の前兆たる渦潮へと乗る。

 

 流石に船が大きく揺らぐ中、ウソップは悲鳴を上げ……。

 

「ナミ、『記録指針』は雲の上をちゃんと指しているか?」

 

「ええ、ばっちりと。それに風の向きもばっちりで『積帝雲』は渦潮の中心に向かってる。順調よ」

 

 ルフィからの声に内心で『いやまあ、本当は順調どころじゃないんだけど』と航海士としての常識からおかしな事、言ってるなと思いながらそれでも『空島』へ行こうとしているルフィの気持ちに応えるためにやはり、航海士としての力を振るう事に尽くしていた。

 

「なら、良し」

 

 ナミからの声にルフィは応じる。

 

「どうやら、今回は当たりだ兄弟」

 

「ああ、爆発の規模も申し分なさそうだ、喜べ、麦わら旅団っ!! 行けるぜ、空へ……渦の軌道に乗れ」

 

「分かった」

 

 

 ショウジョウとマシラの案内により、ルフィ達は大潮の中へと入る。

 

 

 

「わぁお、凄い渦だね」

 

 ウタは渦を見ながら楽しげに言う。

 

「いや、もう本当このやり方狂ってるだろっ!!」

 

 ウソップはやはり、人間としての恐怖からツッコミ混じりに叫ぶ。

 

「うっさい、ウソップ。集中してるんだから邪魔しないで!!」

 

 ナミはそんなウソップに叫んだ。

 

「そうだ、それに今更、言うなよウソップ。良いから覚悟決めろ」

 

 ゾロはウソップへとアドバイスをする。

 

「そうだぞ、ウソップ。そして、ナミさんの邪魔はするんじゃねえ」

 

 サンジも又、観念しろよと意を告げながらナミの邪魔をしないように言う。

 

「ふわああ……いよいよかぁ」

 

 チョッパーはいよいよ打ち上げられる事になるため、それがどれほどのものになるか期待を膨らませる。

 

「クエー(やっぱり、怖いいっ)!!」

 

「ジョオオッ(こんな事、聞いてないんだけど)!?」

 

 カルーにサウスはウソップと同じく、怯えており……。

 

 

 

「クオッ(師匠と一緒なら、何も怖くないっす)」

 

「ン(その通り)」

 

「コク(そうそう)」

 

 ストロンにラキとアンは既に肝が据わりまくっていた。

 

 

「本当、ルフィさん達との航海は飽きないわ」

 

「そうね」

 

 ビビとロビンも又、恐怖すら見せずにむしろ苦笑する。

 

 そうして『積帝雲』によって疑似的な夜が訪れる中、ルフィ達の船は渦の中心へ行き、対してショウジョウとマシラは安全のために渦から離れていく。

 

 ふとすれば急に渦潮は消える。

 

 

 

 

「来るぞ、皆何かに掴まって備えろっ!!」

 

 それが『突き上げる海流』の前兆だと聞いていたのでルフィは皆へと指示をした。

 

 そうして皆、それぞれなるべく寄り集まって船体、あるいは船室へと移動を始める中……。

 

「っておいっ……」

 

『良いから、良いから』

 

 ウタにナミ、ビビにロビンは帆の場所に移動したルフィの方へと集まり、彼の体に掴まっていた。

 

「てめぇ、ル「後にして、今はとっと海流に備えろ」」

 

 当然、嫉妬の炎を燃やすサンジであるが手早くゾロがノシて連行していく。

 

 

「来たぞ」

 

 そうして船は海流の大きな爆発による突き上げによって、上昇を始めた。

 

「ルフィ、帆を張って。これは立ち上る海流で下から吹く風は上昇気流、だったら航海してみせるわ。私はこの団の航海士だもの」

 

「ああ、信じているし頼りにしているぞ。ナミ」

 

「うん」

 

 そうして、ナミの指示の元、船は『突き上げる海流』の軌道に乗って上昇を続け……。

 

『行けよ、空島っ!!』

 

ショウジョウとマシラが見送りながら、呟き……。

 

「皆、いよいよだ。空島へ行くぞぉぉぉぉっ!!」

 

『おおおおおおっ!!』

 

 ルフィ達は声を上げながら『積帝雲』の中へと入っていくのだった……。

 

 

 

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