麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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五十五話

 

 『麦わら旅団』は『記録指針』が示すがままに空の上にあるだろう島、『空島』へと行くため、とんでもない方法を実行した。

 

 爆発的な海流の上昇現象――『突き上げる海流』に船で乗り、そのまま極度に積み上げられている雲の塊ともいうべき『積帝雲』の中へと入る方法。

 

 他の船乗りたちが聞けば頭がイカれているか、自殺志願者のようなリスクの方がはるかに高いそれを行なったのだ。

 

 しかしてマシラとショウジョウの協力もあって、『突き上げる海流』に乗るまでは上手く行き、上昇する海流に乗ってルフィ達が乗る船は『積帝雲』の中へと入りながらも更に上昇を続ける。

 

『(いっけぇぇぇぇぇぇっ!!)』

 

 体にのしかかる圧力に耐えながら、ルフィ達は船が積帝雲を突破する事を願い……そうして、その願い通り、船は雲の中を抜けきって、少し宙に浮くとそのまま、自重で雲の上へと乗っかった。

 

「……ふぅ……やった、上手く行ったぞ、皆ー、大成功だぁぁぁぁぁっ!!」

 

 ルフィは立ち上がると辺り一面雲の海とも言うべき光景を泳ぐ船の上で立ち上がり、拳を突き上げた。

 

「やったね、ルフィ。それにしても雲の上に乗れるなんて信じられないよ」

 

「『積帝雲』はそれだけ、雲が凝縮しているって事なのかしら……世界って広いのね」

 

「私も驚きよ。リスクしかない方法が上手く行った事も含めてね」

 

「早速、パパ達に聞かせたい話が出来たわ」

 

 ルフィに続いてウタにナミ、ロビンにビビが立ち上がって様子を見ながら、話しだす。

 

「へへ、なんでもやってみるもんだな。やっぱりよ」

 

「……ってウソップの奴、安心の余り放心してるぞっ!?」

 

「……はっぁぁぁ……よ、良かったよぉぉぉぉ……」

 

「ウソップー、そのまま頼むから死なないでくれよ。安楽死するにはまだ早いからなー!?」

 

 ゾロたちも安堵感は抱きつつ、様子を見まわるのだが、サンジが倒れ込んでいるウソップを抱えながら言い、チョッパーが医者として様子を見ながら語り掛けた。

 

『(雲の海だぁ……)』

 

 ラキにアン、カルーにストロンらもそれぞれ、雲の海に感動しながら様子を見ている。

 

「ルフィ、此処には島は無いみたいよ。ほら、『記録指針』はまだ上を差してる」

 

 ナミが腕に着けている記録指針を見せながら、そうルフィに告げた。

 

「また何かしら、方法を探さなきゃいけない訳だな。そういうのも又、冒険っぽくて良いな」

 

 ナミに対し、ルフィは嬉しそうな様子と興奮混じった表情で言う。よほど、冒険らしい事が出来るのが嬉しいらしいし、実際、彼ははしゃいでもいた。

 

『(うーん、はしゃいでるなぁ)』

 

 ルフィの仲間たちもそれぞれ、珍しくも楽し気なルフィの様子を微笑まし気に見る。

 

「さて、こうして雲の上に来たが……空の上だから空気も高い山の上にいるよりも更に薄いだろう。慣れるまでは酸素スプレーや酸素ボンベを使ったりしていこうか」

 

 ルフィはそう皆へと注意も含めて言うとダイビングスーツのメットを取り、皆もそれに倣った。

 

 そうして、雲の海を進んでいたルフィ達だが……。

 

『(飯だぁぁぁっ!!)』

 

 雲の海の中から巨大な蛸や海獣が姿を見せ、ルフィ達に襲い掛かるも……。

 

「違うぞ」

 

『(はい……)』

 

 ルフィが軽く威圧感を出しながら、告げれば瞬時に実力差を悟った蛸の海獣は大人しくなった。

 

「良し良し、良い子だ……おお、柔らかいな」

 

 

 

 そうして、触れあってみれば風船と言ってもいい程に体が柔らかかったり、平たくなっていたりと雲の海に適応するための進化を雲の海の中から出てきた生物たちがしているのを知る。

 

 

 

 

 

「ん……人だな」

 

 

 

 動物と触れ合いながら、ルフィはふと『見聞色の覇気』にてこの先、遠くの場所で何者かが船を破壊し、そしてルフィ達の船を発見した事で此方へと迫りくるのを感知した。

 

 

 

「何……おい、本当に人だ。しかも、雲の上を走ってるぞっ!!」

 

「仮面付けてやがるな」

 

 ゾロとサンジも雲の上を滑るかのように移動し、迫りくる者を発見。

 

 その者はバズーカと盾を持ち、顔には牛の仮面を付けていた。

 

 

 そうして、雲の上を飛び上がってルフィ達の元へと……。

 

 

「排除する……」

 

「それはこっちの台詞だ。虚拳(きょけん)!!」

 

「ぐがっ!?」

 

 ルフィが告げた瞬間、襲撃者は凄まじい圧力と共に自分が強烈な拳撃を受けたのを体感し、そのまま気を失っていく。

 

 ルフィは『覇王色の覇気』と闘気の威圧によって相手に拳撃の炸裂を幻覚させる武技を繰り出して気絶させたのだ

 

 

 

 

「(馬鹿な……あいつは一体……)」

 

 ルフィの底知れぬ実力差に身震いさえしながら、気絶した襲撃者はルフィに捕らえられた。

 

 

 

 

「やるな、そこの若人よ。まさか、そやつを倒すとは……」

 

 

 すると頭上の方から手に槍を携えた騎士そのものな姿の老人が妙な顔と嘴の鳥に乗って現れ、声をかける。

 

「お褒めの言葉、光栄だ……折角会えたんだし、少し話をしないか、()()()

 

 見聞色の覇気で老人の騎士の心を読み取り、全てを見たルフィはそう、話し掛ける。無論、襲撃者の内面をすでに見ていて、大体の事情は把握した。

 

 なので先ほどまではしゃいでいた調子はどこかへと行き、行うべきことに全力を向けるための体勢に既に入っている。

 

 

 

 

「っ、お主っ、どうしてそれをっ!!」

 

「俺は此処で言う心網(マントラ)が使えるんだ」

 

「なんと、青海人が心網を……まぁ、良いだろう。しかし、吾輩の事は『空の騎士』と呼んで欲しい。名はガンフォールだ」

 

「分かった、俺はこの『麦わら旅団』の団長をしているモンキー・Ⅾ・ルフィ。ルフィで良い。よろしくな」

 

 

 そうして、自己紹介をしながらガンフォールとルフィは握手を交わしたのであった……。

 

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