麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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五十七話

 

 

 数百年前に突如発生した島をも巻き込んだ『突き上げる海流』により、ジャヤから分断されながら空の世界であり、『神の国 スカイピア』のある上空一万mの『白々海』へと飛ばされてしまったジャヤにあった『黄金郷シャンドラ』の大部分。

 

そしてシャンドラに住み、守ってきたシャンディアという部族たちも又、強制的に『白々海』での滞在を余儀なくされる。

 

 だが、それだけでなく『スカイピア』の者たちが天の恵みと称して空の世界には無い『大地』を有するシャンドラを奪おうとシャンディア達と戦争。

 

 その結果、シャンディアは多くの戦士とその長であった大戦士カルガラを失いながら生き延びるために逃走し、それ以降は『雲隠れの村』を拠点にスカイピアの神と神兵を相手にゲリラとなりながら、シャンドラの奪還を使命として戦ってきた。

 

 

 

 

 そんなシャンディア達のアジトへと……。

 

「次のスカイピア達との戦争……俺はこの青海人達と組むことにしたッ!!」

 

 ルフィ達麦わら旅団と共闘する事を決めた現在のシャンディアのリーダーであるワイパーがルフィ達を船が隠せる場所などを案内しつつ、麦わら旅団を連れて『雲隠れの村』に戻ると仲間たちへ報告する。

 

『んなっ、お前がそんなことを言い出すなんてどういうつもりだよっ!!』

 

「あんたがそんなことを言い出すなんて珍しいを通り越して不気味だね、ワイパー」

 

 自分たちの手で取り戻すと普段から豪語しているワイパーが方向転換した事を言いだした事でモヒカンのような髪型でゴーグルをしたカマキリ、帽子を目深に被った男であるブラハム、大柄で特殊な形の帽子を被ったゲンボウ、長い髪を後ろで結った女性であるラキが驚愕と戸惑いのままに意見を発する。

 

「俺はシャンドラを取り戻すためなら、なんだってするしなんだってやる。それにこの青海人に俺は負けて、生かされた借りもあるからな……」

 

 ワイパーも不承不承と言った感じでルフィを見ながら、言った。

 

『っ!?』

 

 シャンディアの生粋の実力者であるワイパーが負けたという発言にやはり、シャンディア達は驚いた。

 

 

 

「まず、俺の自己紹介から行こう。俺は青海でそこの仲間たちと『麦わら旅団』として旅をしているモンキー・Ⅾ・ルフィ。この空島で長い間孤軍奮闘し、故郷シャンドラを取り戻そうと戦ってきた誇り高きシャンディアの皆……余所者が急にやってきて戦いに加わろうとするなんて戸惑いや不信、拒絶感を抱くのは良く分かる。そして、それは当然の事だ」

 

 ルフィは一歩前に出ると自己紹介しながら、話を始める。

 

「だから、無理に受け入れろなんてのは言わない。信用や信頼も今はさせる事は出来ないしな。青海の方ではシャンドラがこの空に消えた事でお前たちシャンディアとそして、カルガラと再会を夢見ていたノーランドは嘘つきとして処刑されてしまった。その子孫、クリケットと俺たちは会っていてな……」

 

『……』

 

 ルフィの真剣で誠実な雰囲気や口調もあるがカルガラとそして、彼の唯一友誼を結んだノーランドの名が出た事でシャンディアの戦士たちは真剣な表情で聞く。

 

 

「クリケットさんたちノーランドの一族は他の皆から嘘つきと長い間、蔑まれながらもシャンドラは海に沈んだと考えながら、体を壊してまで無理に潜って来た。これからもそれは続けるだろう……だから、俺はシャンドラにある鐘の音をクリケットさんに届けたいのさ。もう、潜る必要は無いと知らせたい……だから、どうか俺たちにシャンドラを取り戻す手伝いをさせて欲しいんだ。どうか、この想いだけは理解して欲しい」

 

 そうして、最後にルフィは深々と頭を下げた。

 

「あ、あたいはこの人信じて良いと思う。綺麗な『声』がするから」

 

 そのルフィに対し、外からシャンディアの少女で『見聞色の覇気』、この空の世界では『心網』と呼ばれるそれが生まれつき、使えるアイサが言った。

 

 

「ありがとう……とりあえず、戦力になるかどうかの証明はまず、させてもらおう」

 

『っ!?』

 

 そうして、ルフィは軽く覇気を放出する。その瞬間、ワイパー以外の者たちはルフィがその気なら自分たちなど軽々と屠られてしまう事を理解させられる。

 

「分かっただろう、こいつの力は頼りになるし利用できる価値がある……もう一度、言わせてもらうが俺はシャンドラを取り戻すなら、なんだってやるし、なんだってやる。それにかつて、カルガラはノーランドの手を借りて危機を乗り越えた。なら、俺達だってそうした事をやっても良いだろう。何か異論はあるか?」

 

『……』

 

 ワイパーの言葉に誰も反論はしなかった。

 

「決まりだな……それじゃあ、ウタ。交流の手始めにお前の歌を聴かせてやってくれ」

 

「うん、勿論だよ」

 

 そうしてルフィはウタに言って、彼女の歌声を聴かせる事でまずはシャンディアの者たちの心を解し、癒していく。

 

 

 

 

 

 こうしてシャンドラ奪還の作戦を練りながらも『麦わら旅団』とシャンディアの交流が始まり……。

 

「へぇ、この『(ダイヤル)』ってやつは面白いな」

 

「ああ、色々と面白い事が出来そうだ」

 

 シャンディア達から空の世界で用いられる貝の形をしながらその貝殻の中に特定のエネルギーや物質を取り込み、自在に出し入れが出来る道具にして『貝』の事を知らされ、ルフィとウソップが興味を示す。

 

「それじゃあ、これを改造してもらえるかしら。今のままじゃピーキー過ぎるし」

 

 貝の事を聞き、ナミがかつてアラバスタでルフィと別れて行動していた時にウソップに造らせた棒にして『天候棒(クリマ・タクト)』を出しながら言う。

 

「おう、それじゃあ俺がやるよ」

 

「流石ルフィ。それじゃあ、よろしくね」

 

 ナミに頬へと口づけされながら、そうして、ルフィはウソップと貝を用いながら、共同でクリマタクトもであるが、ルフィは自分の拳銃の大改造やアンが背中に背負うランチャーの改造やラキの使う貝殻の武器、ビビのスラッシャーなどの改造に励んだ。

 

 

 

 他にもゲンボウは『うおっ、美味いなお前の料理……こんなに美味い料理を食べたのは生まれて初めてだ』、『そうか、ならもっと味わってくれ』とサンジが出した軽食の味に舌鼓を打ちながら、賞賛しサンジはコックとして喜ぶ。

 

 

 

「……」

 

「へへ、よろしくな」

 

 一方ではブラハムとゾロが何か通じ合うものがあったのか酒を穏やかな雰囲気の中、飲み交わし合っている。

 

「ねえ、もっと歌を聴かせて欲しいんだけど」

 

「うん、良いよアイサちゃん」

 

 ウタはアイサ他、シャンディアの人たちにリクエストされて歌を歌い始めたり……。

 

「凄い、たぬきなのに喋れるのかっ!! 青海も進んでるんだな」

 

「俺はトナカイだぁっ!! ほら、角っ!!」

 

 シャンディアの健康診断をしているチョッパーは何故かたぬき扱いされて猛抗議する。

 

「まあ、無理も無いかも……」

 

「ねぇ」

 

 そんな様子にビビとロビンが苦笑しながらもチョッパーの健康診断を手伝う。

 

 

「クエー」

 

「クオー」

 

 他にも珍しいとばかりに色々と触られたりしているのはカルーたち動物団である。

 

「へえ、あんたもラキって言うんだ。あたしと同じだね」

 

 同じ名のラキに対してシャンディアの女性であるラキが挨拶を交わしたりなど『麦わら旅団』と『シャンディア』は順調な交流をしていく。

 

 ウタの歌声が良い切っ掛けになった事も無論、あるが……。

 

 

 

 

 そうして夜になっていき……

 

「本当に長い間、戦ってきたんだな」

 

 シャンディアの酋長と酒を飲み交わしながら、ルフィは話を交わす。

 

「ああ、本当に我らは長い間、戦ってきた……多くの者を犠牲にしてきた……だからこそ、シャンドラだけは……その思いは今でも変わらない。」

 

「しかし?」

 

「……ああ、我らは怒りすぎたし、戦い過ぎた。正直言うと疲れた。それは向こうも同じだった……ガン・フォールがまだ神だったなら……」

 

 ルフィからの促しに酋長は本心を漏らす。怒りも戦いも長すぎると疲弊するもの……ガン・フォールが神だったならば妥協点を探り出し、和平を結べる方法を用意できる道はあったかもしれない。

 

しかし、エネルという者が神になってしまい、その道は断たれた。

 

「我らの想いは……「間違いじゃ無い」っ!?」

 

 酋長の言葉にルフィはしっかりと告げる。

 

「必ず、今回の戦いで貴方たちシャンディアの苦しみを終わらせることを誓う。シャンドラを取り戻し、それを犠牲となった人たちに対する俺からの弔いとしよう」

 

「……不思議な人だ。貴方は……何故か信じられる……どうか、よろしくお願いする」

 

「任せてくれ……大分、飲んでしまったな。お休み」

 

 そうして、ルフィは酋長の元から去り……。

 

「そういう事だ」

 

「ふん……」

 

 天幕の外から聞いていたワイパーにルフィは告げ、ワイパーは鼻息を鳴らしたのであった……。

 

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