麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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五話

 

 この世界の中でも音楽においては間違いなく、世界一の国であるエレジア。

 

 歌声を披露した事でこの国の王であるゴードンを始め、国中の人たちからこの国に残ることを求められたが赤髪海賊団の一員であり、シャンクスの娘であるがゆえに断ったウタはそれでも『未来の歌姫』としての将来や出会った事に対しての歓迎パーティを受けていた。

 

 

 

「本当に嬉しいよ、君がこの国に来てくれて……」

 

 ゴードン曰く、遥か昔にこの国にも『ウタウタの実』の能力者が居たとの事である。

 

 本当にエレジアの者たちから明日の別れを惜しまれながらも声をかけられ、歌う事を求められる事はウタにとって嬉しかったがそれ以上に……。

 

「(まったく、ルフィったら……あんな事言うなんてずるいよ……)」

 

 少し前に月夜の光の下というロマンチックな雰囲気の中でルフィから告白紛いの言葉はかけられてウタは凄くご機嫌(その先にも行けそうだったところでシャンクスに邪魔されたのは残念だが)であった。

 

 その喜びのままに歌う彼女の声は昼間、この城の中で披露した者より素晴らしく全員が聞き惚れていく。

 

 

 

「(あれ……あそこに楽譜なんてあったけ?)」

 

 歌い終える度に賞賛の声を受けていたウタがふと周囲を見れば、ソファーにいつの間にか置かれていた古びた楽譜が目に入り、何故だか()()()()()ので向かうと楽譜を手に取り……。

 

「(これ、良い曲……)」

 

 楽譜に記された曲は歌い手であるウタにとって、()()()()()()()()()歌であり、歌おうとして……。

 

 

 

 

指銃(シガン)――炎撥(ホムラバチ)!!」

 

「きゃっ!?」

 

 突如、楽譜に向かって飛来してきた指向性を有する火球がウタの手から楽譜を奪い取り、そのまま燃やし尽くす。

 

「……ねえ、自分が何したのか分かってるの……ルフィ?」

 

 火球が飛んできた方を見れば右手首を左手で抑えて固定し、右手は親指と人差し指以外は握って縦にして構え、人差し指で親指を弾いたままのルフィが入り、ウタは信じられないとばかりに問いかける。

 

「あぁ、分かってる。流石にこれ以上はお前の喉に負担がかかるからな。そろそろ寝た方が良いからやった」

 

 ルフィは頬を掻き、目線を少し逸らすという嘘をつく際の癖を出しながらそう言った。

 

 ルフィがそんな程度の理由でこんな事をする男ではないのは分かっているが、だからこそ嘘をついてまで何かを隠している事が腹が立った。

 

「だからってこんな……楽譜は音楽家にとってはその人の全てが籠った宝なんだよ。それを燃やすなんて……」

 

 それにやはり、音楽家であるがゆえに楽譜を燃やしたこと自体にも腹が立ち、ルフィへと詰め寄りながら、先ほどの曲は垣間見ただけでも素晴らしい曲だったのに……。

 

「それはすまない。でも、俺は音楽は専門外だからな」

 

 苦笑しながら、又、嘘をつくルフィ。

 

 

 

「っ!!」

 

 

 そして、ウタは更に怒りに拍車がかかり、彼の左頬を右手で強烈に叩いた。

 

 

「……何が私の味方よ……」

 

「っ……ち……違うんだ、ウタ君。ルフィ君は……!!」

 

 燃えてゆく楽譜を少し見たゴードンはそれが何かを思い出し、そして更にルフィの行動の真意も理解してウタの誤解を解こうとしたがそれをルフィは『喋るな』と目で伝えて制止する。

 

 

 

「……もう良い、ルフィなんて知らない。大っ嫌い!!」

 

 叩いても何も言わずに受け入れているルフィにウタは更に怒り、涙を流しながら走り去っていった。

 

 それをシャンクスが黙って追いかける……。

 

 

 

「……あーあ、嫌われちまった」

 

 そう辛そうな表情のままに自嘲の笑みを浮かべるとルフィもその場から姿を消した。

 

「それでゴードンさん、あの楽譜がどうかしたのか?」

 

「ああ、ルフィ君が燃やしてくれたあの楽譜は……」

 

 ベン・ベックマンが事態を把握するためにゴードンに事情を聞き出したのだった……。

 

 

 

 

2

 

 

 

 

 パーティから飛び出したウタは外で泣き出していた。

 

 何らかの事情を自分一人で抱え込んで嘘をつき続けてまで隠そうとするルフィにウタは自分の事を信じてくれないことがどうしようもない程に悲しく、そして同時に腹立たしかったのだ。

 

 

 

「此処にいたのか、ウタ」

 

 そんなウタへと声をかけながら、静かに近寄り寄り添うシャンクス。

 

「ねぇ、シャンクス。ルフィはどうして何も言ってくれないのかなぁ……苦手な嘘をついてまで……」

 

「……男っていうのは好きな女に対しては不器用になるからなぁ……だが、これだけは言える。あいつはお前にも言ったようにお前のために行動しているのは確かだ。実はな……」

 

 そうしてシャンクスは少し前の話をする。今より一年前でルフィとウタが出会い、交流しだして間もないころの話を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、赤髪海賊団は大パニックを……正確にはシャンクスだけだがともかく、そうなるだけの出来事があった。

 

 拠点にしているフーシャ村に帰還して直ぐの日、航海の疲れによるものなのかウタが風邪を引き、寝込んでしまったのだ。

 

 

 

「お、おいホンゴウ!? お、俺はどうすれば良い……俺の大事なウタが……」

 

「良し、まずは落ち着け船長。熱は少々高いが、唯の風邪だから安静にしていれば治る」

 

 パニックになっているシャンクスに呆れながら船医としての意見をホンゴウは言って落ち着かせようとした。

 

「で、でもだな……よぉし、とにかく看病を……」

 

「だから、落ち着けぇ親バカ船長!! あんたがそんな様子じゃウタは安静に出来ないぞ」

 

「それなら、俺がしますよ」

 

 そうして、パニックになっているシャンクスとは違いルフィは看病の準備をしており、そうして『PARTYS BAR』の部屋の一つをウタの看病のための部屋にしているのでそこへと氷を入れ直して冷やし直している水を入れた桶にタオルを浸したそれを持って向かい、部屋へと入る。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……うぅ……」

 

「大丈夫、大丈夫だ」

 

 熱で魘されているウタの額に置いているタオルを取ると自分が持ってきた桶に浸したタオルを絞ると額に置き直し、もう一つのタオルを桶に浸すと手を優しく握ったり、優しく頭を撫でて声をかける。

 

 それだけでなく、食事の際にはお粥を作って食べさせたりもした。

 

「ありがとう、シャンクス」

 

「どういたしまして、早く風邪なんて治せ」

 

 熱のために意識も曖昧なのかシャンクスだと誤解しているウタに対し、ルフィはシャンクスのように振る舞いながら、看病を続けて一日、寝ずの看病をしていたのだった。もっともウタの容態が安静し、目覚めようとしたところでウタの部屋から出ていったが……。

 

 

 

 

 

 

 

「あれは……ルフィだったんだ……」

 

「そう、だからお前の味方っていうのは嘘じゃない。まさか、お前に嫌われてまでっていうのは予想外だったが……」

 

 驚いているウタに対し、シャンクスは少々、呆れながらウタに言う。

 

 

 

「……本当にバカなんだから……もう一回、ルフィと話をしてくるね」

 

「ああ、そうしろ。それで気が済まないなら、もう一回叩いてやっても良いぞ」

 

「うん」

 

 そうして、ウタはシャンクスの元を離れて去ってゆく。それを優しく微笑み見守るシャンクスは……。

 

 

 

「俺にここまでさせたんだ、責任はしっかり、取ってもらうからなルフィ」

 

 

 そう、ルフィに対して告げたのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、ルフィの姿を求めて城内を歩くウタであったが……。

 

「うあああああ、ぐあああああああああああああああっ!!」

 

「……っ、ルフィ、ルフィなの……!?」

 

 ゴードンから宿泊のために与えられた部屋とは別の部屋の中から激しく、凄まじい苦鳴であり絶叫が聞こえ、最初は驚いたが良く聞けばそれはルフィのものであった。

 

「ぅ、ぐ……ああああっ……く、来るんじゃないウタ。良いか絶対に来るんじゃなぁぁぁがぁぁぁぁっ!!」

 

「そんな訳に行かないわよ、っ、鍵を……」

 

 明らかに尋常じゃなく苦しみながら声を上げるルフィに対し、ウタは部屋の中へと入ろうとしたが鍵は閉まっており、ウタは赤髪海賊団の者を呼ぶために一旦、ルフィが居る部屋から離れたのだった……。

 





 あれについては映画本編ですらだいぶ、ヤバいので少し盛ってもえぇやろうの精神でやります。
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