麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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六十話

 

 数百年前の『黄金郷 シャンドラ』ではシャンディア達に『神』として崇められた蛇が居た。名を『カシ神』と言い、世界中の蛇と比べても遥かに巨大な蛇である。

 

 島を訪れたノーランドたちによる医学で『樹熱』の治療が行われるまでシャンディア達はこのカシ神に生贄を捧げるという方法で解決しようとするのが風習であり、ノーランドが現れなければ危うくカルガラの娘であるムースもその生贄となっていたほどである。

 

 そして『カシ神』であるが、まずカシ神自身は生贄として捧げられたムースを食べようとしていたのをノーランドによって殺され、カシ神より一回り小さい蛇でカシ神の子がカルガラによって殺された。

 

 そしてその二匹の蛇より遥かに小さい蛇、カシ神の孫も居たが遥かに小さい蛇とあって、シャンディア達から受け入れられ、ノラと名付けられたのである。

 

 このノラはシャンドラの鐘の音が好きであり、鐘のある遺跡に住み着いていたのだがシャンドラが空島へと打ち上げられたのに伴って、可愛がってくれたシャンディア達から離れ、鐘も又、どこかへと行って事実上、孤独となった。

 

 孤独となったノラはしかし、空島のアッパーヤードで生き抜き、今ではカシ神をはるかに上回る巨蛇となり、『大蛇(ウワバミ)』、『空の主』と呼ばれシャンディアと神官や神兵からも恐れられる存在にまでなった。

 

 しかし、ノラの行動原理は一つだ。また、シャンディアの者たちと一緒に自分が好きな鐘の音が聞きたいというそれである。

 

 そして、そんなノラは……。

 

 

 

「待て、俺はお前と戦う気はない……」

 

「ジュラ……」

 

 目の前に現れたルフィから自分より小さいがしかし、遥かな強者だと威圧によって本能で悟って動きを止める。

 

 そして、瞳を通して自分の全てを見ている事も察した。

 

「そうか、ずっと一人で生きてきたんだな……良く頑張った」

 

「ジュラ~~」

 

 鱗を優しく撫でられると不思議と温かくなり、心地良くなっていく。

 

「……大蛇を手懐けただとっ!?……」

 

 ルフィと行動を共にしていたワイパー、それに彼の部下たちはノラが懐き始めているのを見て驚愕した。

 

「奇遇だな、俺たちも丁度鐘を鳴らそうとしているところだ。一緒に行くか、ノラ?」

 

「ジュラッ!!」

 

 ノラの全てを理解し、ルフィはそう声をかけるとノラは鳴いて答えると……。

 

 

 

 

 

「いくぞ、野郎どもぉぉぉぉぉぉッ!! お前たちの底力を見せてやれぇぇぇぇぇッ!!」

 

「ジュララララッ!!」

 

『オオオオオッ!!』

 

 ワイパーと共にノラの頭に乗って移動しながら、他にも雲ウルフやサウスバードなどアッパーヤードの動物たちの王者となって従え、エネルの待つ場へと進撃を開始するルフィがそこに居た。

 

「馬鹿な、空の主を従え……」

 

「う、うわああああああッ!!」

 

「と、止められんッ!?」

 

 シャンディア達と動物たちによる猛攻撃とルフィが改造したばかりの大型拳銃にして『風貝』の力で射程距離と威力を増大し、弾数も十発ほどになったそれによる銃撃、『花州』による斬撃によってルフィ達を止めようとした神兵にサトリの二人の弟である副神兵長のホトリとコトリ、巨漢にして恰幅の良い神兵長のヤマは目的を果たせず、倒れていく。

 

 

「(本当に不思議な奴だ……)」

 

 急に現れたというのに次々とシャンディアやそして、ノラや動物たちを仲間にし、共に戦っているルフィの姿にワイパーは苦笑する。

 

 不思議と受け入れられてしまうのだ。それに彼と共に戦えば勝利は絶対であるとすら思えてしまう。現に今、今まで到達さえできなかった『神の社』へと迫っている。

 

「……どうやら、エネルは待ってくれているようだ。ワイパー、行くぞ」

 

 ノラ達に他の者たちが来るまで待機するように言うとルフィとワイパーは先へと進み……。

 

 

 

「お前がこのスカイピアの神……エネルだな。まずは初めまして、俺は青海人で『麦わら旅団』の団長、モンキー・D・ルフィだ。前にも言ったがお前に挑戦しに来た。わざわざ此処で待ってくれていた事には礼を言っておく」

 

 大きな蔦の近くで待っていた太い眉毛と金髪、白のバンダナと非常に長い耳たぶ、上半身は裸であり、背中には太鼓が四つ連結して付いている男、手には長い棒を持った者へと声をかけた。

 

「ヤハハハハ、なに……私の神官に神兵たちは全て倒されてしまったのでな。只々、待つというのも暇だっただけの事。お前は特に楽しませてくれそうだしな、青海人」

 

「さて、ご期待に添えられるかどうか……」

 

 快活に笑うエネルに対し、鞘に納めたままの『花州』を腰より取り出しながら、ルフィは苦笑を返す。

 

 

 そして、次の瞬間……。

 

 

「っ!?」

 

 エネルは後ろで鞘なりの音を聞いたかと思えばルフィの姿は無く、しかも自分の頬が熱と痛みを訴えてきた事で手をやり、確認すれば血が付いていた。

 

 驚愕の連続に思考が追い付かない。

 

 

 エネルは悪魔の実の能力者であり、自然系にして『ゴロゴロの実』能力者であり、いわば雷人間。

 

 

 雷であるが故に物理攻撃は受け付けず、雷速で動けるし、反応も又同じ。

 

 これに加えて『心網』も使えるために隙など全く無いのだ。

 

 なのに心網が働かず、反応も出来ず、傷すらも付けられた。

 

 

 

「どうだ、エネル。俺はお前を楽しませられそうか?」

 

 声がかけられたので後ろを向けばルフィが居て、問いかけてきた。

 

 

 

「き、貴様……何者だっ!!」

 

 衝撃に動揺と混乱のままにルフィへと問いかけるエネル。

 

 

「何者か……実は青海では『D』の名には意味があってな……」

 

 ルフィはエネルの問いに昔、ガープになんとなく『D』の名に何か意味があるのかと聞いたのを思い返しながら言葉を紡ぎ……。

 

 

 

()()()()だとよ」

 

「っ、不届きっ!!」

 

 不敵に笑うルフィに対し、エネルは怒りを露にしたのであった……。

 

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