『海列車』――列車という名であり、海に浮かぶレールの上を走るようにして移動するが実質的に言えば蒸気機関で外車を回して海の線路を進むという蒸気船である。
造船業でのし上がった都市である『ウォーターセブン』から『春の女王の町 セント・ポプラ』、『美食の町 プッチ』、『カーニバルの町 サン・ファルド』、海軍や世界政府関係者専用であり、とある建物への特別便と海列車は優れた移動船なのだ。
そんな海列車だがとある問題を抱えていた。移動中に人間大のカエルが立ちはだかり、力比べをしようとするのだ。
勿論、大きさに重さ、走っている海列車の力に勝てるわけはなく、毎回、撥ね飛ばされるのだが激突の衝撃で排障器が破壊されたりして動作を止めるなど被害は出ていて、客にも迷惑がかかっていた。
「トムさんやフランキーが好きだったこいつの気持ちも分かるんらけろねー」
海列車の造船技師にして今は亡きトムの秘書にして今はシフト駅という海列車が止まる駅の駅長である飲んだくれの老婆がルフィが気絶させた大カエルを見、呟いた。
カエルの名はヨコヅナと言って、彼も又、海列車の造船技師であるトムや特にクロールを教えたという船大工のフランキーと仲が良く、しかしとある事情から海列車と敵対するようになったとの事。
ルフィ達は現在、シフト駅の傍に船を止めてココロ達に話を聞いていた。
「だからって人に迷惑かけちゃ駄目だめでしょ!! 知り合いだからってばーちゃんは甘すぎるよっ!!」
怒るのは髪をお下げにしたココロの孫であるチムニーという少女。
「ニャー(なんか違うような気がする)」
そしてココロやチムニーは猫としているが、本当はウサギであるゴンべはだからこそ、混乱していた。
「ああ、そうだな。皆に迷惑をかけるのは良くない」
(そりゃあ、兎だからな)と内心でゴンベに突っ込みながらルフィはチムニーの意見に同意する。そして……。
「ヨコヅナ、勝負だ……お前の全てをぶつけて来い」
「ゲコォォォォォッ!!」
ルフィはヨコヅナを気絶状態から意識を覚醒させると力比べによる一騎打ちを申し込んだ。
そして、手招きするとヨコヅナはルフィからのプレッシャーに気圧されながらも突撃を開始して、ルフィの腰に組み付いたが……。
「どうした、それがお前の全力か?」
「ゲコっ!?」
ヨコヅナはルフィをその場から一歩も動かせず、持ち上げる事すらも出来なかった。
「ゲ、ゲコオオ(まだまだぁっ!!)」
「そうだ、もっと力を振り絞ってみろ」
「ゲコオオッ(うおおおおお)」
ヨコヅナはルフィの言葉に闘志を燃やしながら、力を振り絞っていき……。
「ゲコォ……」
「良い力を持っていて、根性もある。なら、それを無駄にするな。お前が尊敬している人たちもきっとそう言うだろう。ふんっ!!」
「ゲコブッ」
自分をわずかに後ろへと押してみせたヨコヅナに微笑み、背中を軽く叩くと軽く持ち上げ、地面へと軽く叩きつける事で力比べに勝利してみせた。
「再挑戦したいなら、いつでも受けるぞ。だから、海列車に挑むような事は止めろ。な?」
「……ゲコ(分かった)」
倒れているヨコヅナにルフィは呼びかけるとヨコヅナは敬意を込めた瞳と頷きで返したのであった……。
二
シフト駅の駅長であるココロによるとウォーターセブンに入って次の島への行き先示す記録が溜まるのは一週間との事でルフィ達は空島への旅やそこから戻って来た事で負担がある船の修理あるいは整備のため、空島で獲得した黄金の換金をする事にした。
また、ココロはウォーターセブンの市長であるアイスバーグと知り合いという事で紹介状まで書いてくれた。という事でウォーターセブンへと向かうと……。
『おおおおおッ!!』
大きな噴水を頂上に家を幾つも積み上げたような外観の水上都市であり、産業都市に驚愕の声を上げたが……。
「おいおい……」
凄い勢いでルフィ達の方へと近づいてくる小型船があり、しかも小さい帆で『麦わら旅団』のそれを掲げていた。
『会えて光栄です、麦わら旅団の皆様方ぁぁぁぁッ!!』
『団違いです』
『うわぁ、今にも関わるのがイヤそうな顔してるー!!』
感動の涙すら流してルフィ達を出迎えに来た麦わら旅団傘下義勇組織バルトクラブの団員たちは関わりたくなさそうで面倒くさそうであり、イヤそうな顔をしたルフィ達にショックを受けたのであった……。