麦わら旅団 冒険記   作:自堕落無力

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七十九話

 

 此処にいる者は『空』という概念の無い世界、観客のいない『闘技場』から異界だと認識するだろう。

 

 そして、それは正解である。

 

この世界は『ウタウタの実』の効果による『ウタワールド』なのだから……。

 

そして、『闘技場』となっている『ウタワールド』の中には……。

 

「これはどういうことなのかしら? ルフィ君、それとウタちゃん」

 

 カリファにブルーノ、カクとルッチとハットリから離れてルフィが居て、闘技場の上の『王の席』とも言うべき場所にはカリファ達が目撃した『音楽の王』とも言うべき異形とウタが座っていた。

 

「簡潔に言うとあんた達を誘き出させてもらった。『古代兵器プルトン』の設計図を渡す訳にはいかねぇよ。仲間になったフランキーを裏切る気も更々、無いしな」

 

「そういう事、因みにこの世界は『ウタワールド』だよ、こっちは音楽の王のトットムジカ。この世界から出る事は悪魔の実の能力者でも無理だよ、牛のおじさん」

 

「……ブルーノだ」

 

 ウタの言葉に【超人系――ドアドアの実】を食べた事で自分の体を隔てたものを扉に変え、あらゆる場所に進入や脱出する事も出来る能力を持った『ドア人間』であるブルーノは不愉快気な表情を浮かべつつ、名乗る。

 

大気を壁と捉える事で亜空間内ですら移動できるのにドアすら開く事が出来なかった。

 

「世界政府と敵対する気なのルフィ君。 海賊になってしまうわよ」

 

 カリファは苦笑しつつ、ルフィに問う。そう、ただでさえニコ・ロビンという世界政府にとっては本来、排除すべき対象を抱えている『麦わら旅団』は海軍の英雄ガープの孫である事とアラバスタの内乱を引き起こし、乗っ取ろうとしていたクロコダイルを倒したという最大の貢献あって、特例としてニコ・ロビンが悪事をしないよう、監督するという形でニコ・ロビンを団員とする事を見逃されていた。

 

よって、ルフィが世界政府に敵対した場合、旅団は海賊になり果て無論、排除対象となってしまう。

 

「それをさせないためのこの空間だ。もっともあまり好きじゃないやり方だけどな。古代兵器の設計図を俺は見たが、あれは遥かに危険すぎる。一隻で国を滅ぼせるから、バスターコールすら要らなくなる……作るべきじゃ無いし、持つべきですらない」

 

そう、ルフィは言い……。

 

「だから勝負だ、CP9。俺に勝ったらこの世界から出られるぞ」

 

「指銃!!」

 

 自然体ながら勝負すると告げた瞬間、ブルーノが即座に剃による高速移動によってルフィへと接近しながら、彼の胸へと指銃を放ったが……。

 

「行動が早いのは流石だな」

 

「っ!?」

 

 しかし、ブルーノの指銃はルフィの肉体を擦り抜けた。ルフィの超微細な体捌きによる紙絵が本来なら無い筈の『間隙』を創り出したからだ。

 

「指銃」

 

「がはっ!!」

 

 そして、ルフィの指銃が小突くようにしてブルーノの額に炸裂し、貫きこそしなかったが衝撃という名の弾丸が彼の脳へと届き、揺らした事で気絶させる。

 

「ならこれならどうじゃ、嵐脚!!」

 

「悪いわね、ルフィ君」

 

 カクとカリファが剃にて前後から挟むようにしてルフィへと近づきつつ直接、斬撃波を生み出す程の鋭い蹴り技、『嵐脚』を放つ。

 

「鉄塊」

 

「うがあっ!!」

 

「うあっ!!」

 

 しかし、ルフィの肉体が斬撃が炸裂したと同時に鉄塊による全身の筋肉の締め上げ、直前まで極限な脱力から筋肉の爆現象とも言うべき反動によって成された防御力の増大が二人の嵐脚を弾くどころか放った足ごと折ってしまった。

 

 「嵐脚」

 

「があっ!!」

 

「くはっ!! (酷い人……)」

 

 そうしてルフィは直後に舞い踊るような動きと共に鋭い蹴りを唸らせ、嵐脚による二連斬を放ち、カクとカリファを切り伏せる。そうして、カリファは意識を失いながら苦笑した。

 

「成程……中々の練度だな。ルフィ……本気で始末させてもらうとしよう、あの女もだ」

 

 ルッチはそう言いながら、肉体を変化させ始めた。

 

ルッチもまた、悪魔の実の能力者だ。

 

【動物系――ネコネコの実・モデル(レオポルド)

 

 この実によってルッチは豹に変身出来る。そして肉食の動物系は凶暴性も増し、そしてなにより動物系は迫撃において優れている。

 

 六式とは相性が良いのだ。

 

そして、ルッチは二回り以上の巨体であり筋骨逞しい豹の『人獣型』となりながら、即座に姿を消し……。

 

「な、貴様っ!?」

 

「練度勝負といこうか」

 

 互いに同じ構え――両手の拳を上下に構えて押し当て合った状態になった事でルッチは驚愕し、ルフィは不敵に笑う。

 

『最大輪・六王銃!!』

 

 そうして直後に爆発的な衝撃波を二人はぶつけ合い……。

 

「がああああああっ!!」

 

「クルッポー!!」

 

 ルッチが爆発的な衝撃波を全身の内部に伝導させられた事で肉体の至る箇所を内部から破壊されながら、凄まじい距離を吹っ飛び、余波でハットリも吹っ飛ばされてそうしてどちらも地面に倒れ伏した。

 

「練度は俺の方が上だったな……それじゃあ、ウタ。後は頼む」

 

「はーい」

 

 

 CP9は厳しい鍛錬をしている事で精神力も遥かに高いため、通常ならウタの能力でも精神改変等の手段は十分に通じない可能性があった。だからこそ、ルフィは直接、精神を倒し敗北という概念を与える事で精神改変が通じるようにしたのであった。

 

「(スパンダム……お前にやるのはこんなものじゃないぞ)」

 

ルフィは本命の相手である者へ内心、告げていたのだった……。

 

 

 

 

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