『魔の三角地帯』でルフィが出会った喋る骸骨紳士のブルックは『西の海』の出身であり、とある王国の奇襲部隊に所属し、そこから護衛戦団長を務める程に成り上がった。
得意とするのは剣術であり、両刃の剣を仕込んだ杖が彼の得物だ。
そんな彼の趣味は音楽であり、同じく音楽好きで乗船条件の絶対条件が『音楽が好きな事』であった『ルンバ―海賊団』のヨーキという船長の誘いに乗って海賊の一員となり、此処から彼の長い孤高という名の地獄へと向かう旅は始まった……。
「プオー」
「クジラ……お前、ついてきちまったのか」
ルンバ―海賊団は航海の途中、ラブーンと名付ける事となったアイランドクジラの子供に懐かれてしまった。というのも……。
「ヨホホホホ、嬉しいですねぇ。私の演奏を好きになってくれるとは」
「プオー♪」
ラブーンがブルックの演奏を気に入ってのが一番の要因だ。ラブーンの可愛らしさや危機を助けられた事もあって、ルンバ―海賊団はラブーンの同行を暫くは許した。
「あいつは子供だ。これ以上は同行させる訳には行かねぇ」
しかし、『偉大なる航路』は危険海域である事は有名でだからこそ、ラブーンを同行させる限界だと判断した事で置いて行こうとラブーンに関わる事を止めたのだが……。
「ところで一緒に連れてきたクジラはペットか?」
偉大なる航路の入り口、双子岬の灯台守であるクロッカスにそう、指摘され……。
「プオオオ♪」
『ラブーン!?』
結局、仕方ないと三ヶ月ほどルンバ―海賊団は双子岬に滞在すると共にラブーンの説得に努めた。
『ラブーン、おれ達は必ず世界を一周して此処へ戻る。待ってろよー!!』
ラブーンはルンバ―海賊団の説得に応じ、こうしてクロッカスと共にルンバ―海賊団を双子岬にて待つことになり、ルフィら麦わら旅団と出会う事となる。
そして、ルンバ―海賊団というと……。
「無念だ……」
最初の方はスリルも楽しいと明るく過ごし、海軍本部ともやり合う事も日常茶飯事だったもののとある密林にてヨーキ船長他、十数名が未知のウイルスによる疫病に感染し感染していない者と袂を分かつ事となってしまった。
「まだ、息のある者は……どのくらいいますか?」
「息はあっても、誰も助かりそうにねぇな……」
ヨーキ船長の意志を継いでブルックたちは航海を続けたものの、『魔の三角地帯』にて敵対した海賊との戦闘により全員が瀕死(武器に毒を塗られていた)となって最後を迎えようという時……。
「そうだ。どうせ、死ぬなら……楽しいほうが良い。唄いませんか?」
『ああ』
ブルックが『超人系――ヨミヨミの実』を食べて一度だけ死んでも復活できる能力を得ていたため、それに賭けて全員がラブーンへ届けるためで好きだった歌、そして殆どの船乗りたちにとって有名な歌である『ビンクスの酒』を歌いながら力尽き果てたのである。
「約束を果たさなくては……」
一度、力尽きて死亡したブルックだがヨミヨミの実の力によって『黄泉の国』より、魂の状態で現世に舞い戻る事が出来た。しかし、夜と見紛う程に濃い霧に包まれた『魔の三角地帯』で自分の死体を探すのは困難を極め、一年かけてようやく見つけ出せば白骨化していた。
どうにも出来ないのでブルックはそのまま、喋る骸骨としてこの世に蘇ったのだ。
そして、年数にして五十二年もの間、何度も仲間がいる幸せな幻覚を見たと思えば、正気に返ったり……何度も気が狂いかけながらもラブーンへの思いに亡くなった仲間たちとの誓いを支えに霧の中を彷徨いながら生きる事となったのだった。
「そうか……良く話してくれたなブルック」
ルフィはブルックを自らの船の中へと招くと生い立ちからの話を聞いた。そして……。
「ブルック、ラブーンは今もお前たちの帰りを待っているぞ」
「っ……そ、そうですか。彼はまだ私達を待って……っ~~!!」
ラブーンがブルックたちを待っている事を告げるとブルックは涙を流し始める。一方で一度、仕方ないとはいえラブーンを殺し、鯨肉を取ろうとしていたビビは複雑な顔をしていたが……。
そうして……。
「ブルック。お前がラブーンの仲間なら、俺の仲間という事にもなる。再会するためにもまずはお前の影を取り返さないとな」
「よろしくお願いします……皆さん」
『勿論』
ブルックは現在、モリアに影を奪われた事で太陽の直射日光を浴びると消滅してしまう状態になっている。それを解決するためにも七武海の一人であるゲッコー・モリアを倒す事をルフィ達『麦わら旅団』は決めたのであった……。