この世界の結末は?   作:ありくい

14 / 42
魔王様と勇者様の価値観

 

≪魔王視点≫

翌日、執務室で積み上げられた仕事をみて溜息をついているとリースに呼び止められた。

 

「魔王様。少しお聞きしたい事がるのですが」

 

「なんだ?珍しいな」

 

「えー。戦争についてはどのような方針で進めていくのでしょうか?これまで、勝つための動きを重視していたような気がするのですが」

 

リースが疑問に思うのも当然で、これまで私は過去を思い出しながら、悪い手を避け、良い成果をあげた指示ばかりしていた。お陰で以前よりかは優勢となっている。

 

「確かに、私の目的は戦争を終わらせることだ。しかし、それは魔族の為だ。人類なんてどうでもいいとまではいかなくても、私にとっては優先度は低い。故に、私は勇者との作戦が開始できるまでは、魔族の犠牲が少なくなるようにしている」

 

「畏まりました。それでは、どちらかというと守備を重視すると?」

 

当然攻めるよりかは守る方が被害が少ない。だからこその意見だろう。

 

「そうだな。そうしていくつもりだ。その方が人類の被害も少なく、魔族と人類の関係改善に繋がるかも知れないからな」

 

「では、最後に。もし圧倒的に有利な状況になり、攻めれば滅ぼせるという状況であれば、どうなさいますか?」

 

いつになく真剣な顔で、リースは言う。

 

「…攻めない」

 

「承知しました。お時間をとらせてしまい申し訳ありません。私はこれにて失礼します」

 

リースが出て行ったのを確認してから、私は書類に手を付けた。

 

 

≪勇者視点≫

「おいリュア。寝るなよ」 

 

「う~。でも~」

 

あの後あんまり眠れなかったのか、目を擦りながらリュアは教室へと移動する。

 

「今日は、俺はまた二刀流かな」

 

「私は打撃武器のやつだよ~。またね~!」

 

ぱっと消えたリュアを見送ってから俺も教室へと向かった。

 

 

 

 

「おはよう」

 

「やあおはよう」

 

教室の扉を開けると、先に教室へと来ていたニアとレイトが挨拶をしてきた。

 

二ヶ月も経てば、一人や二人は友達も出来ると言うもので、ニアとレイトは同じく二刀流を学ぶ仲間だ。二人とも剣の扱いは上手いが、レイトは特に上手い。レイトよりも圧倒的に高い身体能力を最大限活かしても、技術でいなされてしまう程だ。

 

「おはよう。レイト!今日は負けないからな!」

 

「ふふ。いいよ。全力で相手をしよう」

 

「待って。私が先。ライガ、倒す」

 

「っしゃあこいやぁ!」

 

いつものやり取りを終えて、先生を待つ。

 

数分経って、先生が血相を変えて扉を開けた。

 

「済まない皆!今月の実戦は私達のクラスが担当になってしまった!」

 

クラスが、ざわついた。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。