この世界の結末は?   作:ありくい

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誤字報告ありがとうございましたm(_ _)mまさか勇者と魔王を間違えるとはね…。二視点初めてなので勇者サイドと魔王サイドがごっちゃになっちゃう事が多分これからもあります。その時は、よろしく!


魔王と勇者の仲間探し①

 

≪魔王視点≫

勇者との話し合いの後、執務室に行くと、リースがいた。

 

「お待ちしておりました。魔王様。ところで、本日はどちらに?」

 

「勇者と会ってきた」

 

簡潔にそう表すと、リースは時が止まったように固まり、目の前にまで距離を詰めてきた。

 

「どういうことですか!勇者なんて貴方様の天敵でしょう?お怪我をしたらどうするのですか!」

 

まくし立てるリースに苦笑しながら、

 

「勇者は心優しい者にしかなれないと言うだろう?今回の話し合いはそう物騒な物ではない。むしろ、勇者、いや、心優しい者になら協力したいはずの話だ」

 

「そんなの迷信かもしれないじゃないですか!魔王様は我々を纏めてくださるお方!そんな魔王様に傷一つでもついたら…」

 

「あーもうわかったわかった!悪かった!次からはリースを連れていくから!」

 

「分かれば良いのです」

 

帰ってきてそうそう、どっと疲れた体を椅子に預けながら、リースから報告を受ける事にした。

 

「今日の報告は?」

 

「魔王様のお考えの通り、少数ですが、入り込んでいる人類側の部隊を発見いたしました。殺すことも可能でしたが、一度捕らえ、現在、魔王城の拘置所に拘束しています」

 

少し意外な報告に目を見開く。以前は問答無用で殺していたはずだが…。

 

「殺さなかったのか?」

 

「はい。どうやら昨日までの魔王様とは別の魔王様のようですから、対応も保留とさせて頂きました」

 

固まる私を尻目に、リースは報告を続ける。

 

「また、勇者の力が現時点で歴代勇者の最盛期と並ぶほどの力を有しているという報告がありました。部下には遭遇したら即座に撤退しろと命令を出しています。本日の報告は以上です」

 

「そ、そうか。よくやった。捕虜については少し話し合いたい事があるから置いておけ。後は…人類を奴隷として扱っている者がいるらしい。それについての調査を頼む」

 

「承知致しました。失礼します」

 

リースが執務室から出て行って、私は頭を抱えた。

 

ばれてる!確かに私と勇者の力は以前と同じだ。とはいえ見た目は同じだから見た目では気付かれないと思っていたのだが…。違いといえば、リースがいなくなってから手に入れたこの魔剣だ。リースを失った恨みから戦場へ出るようになり、多くの人間を殺しているうちに手に入った魔剣。勇者の聖剣にも匹敵する。これが、二年後からついて来た。もしかしたら、リースにこれを見られたのかもしれないな。

 

「これをどうするか、か」

 

自身の体から一メートル以上離せないこの魔剣を見て、私はため息を吐いた。

 

まあでも、人類の駒は手に入りそうだし、終戦への道は見えてきた。リースにはばれてるみたいだが、あいつはどちらかというと終戦派だったはず。問題はないだろう。だから、勇者との密会に来ても…

 

大丈夫か?

 

 

 

 

≪勇者視点≫

魔王との話し合いの後、家に帰り、家族との別れの時間を過ごしていると、教会から使者が来た。確か聖剣を渡しに来る使者だったはずだが…俺もう持ってんだけど。

 

ぱっと教会で目を覚ました時、当時は素振りのための木の剣を入れていた鞘の中に、思いっきり聖剣が入っていた。適当な場所で素振りしてみると、魔族を殺して強化した二年後の聖剣と同じ性能だった。どうやらついて来たらしい。

 

「えーこちらが、勇者に与えられる聖剣でございます。後に、王によって授与式が学園で行われますが、学園までの道のりで襲撃があるかも知れません。そのため、今与えます。学園についたら、係のものを送ります故、そのものに預けて頂ければ」

 

「分かりました」

 

というわけで…増えちゃった。

 

目の前には二本の聖剣。性能は当然ついて来た聖剣の方…旧聖剣の方が強いが、新聖剣も育てれば同じくらいにはいく。

 

「二刀流にでもしようかな」

 

これまで聖剣一本で戦ってきたが、せっかく二本あるのだからそうしてもいいかもしれない。聖剣は魔族の血は付かないのだが、人類の血はこれ以上ないほどこびりつくので、少し黒くなっている。これでも必死に落としたんだけどね…。

 

まあつまり、見た目は結構違うから二本使っているのを見られても何も言われないだろう。学園では剣術の型を練習出来るので、そこで学ぶのもいい。

 

「そろそろか…」

 

馬車は明日の早朝に来るが、王都からこの村までの道中で人間側に紛れ込んだ魔族の家族との戦闘になったはずだ。馬車の護衛の人が一人犠牲になりながら、その家族を全滅させたと言っていたのを思い出す。

 

うまくいけば、魔族の協力者が手に入って、うまくいかなくても、護衛を助けたという名声が手に入る。

 

俺は、深夜にこっそりと家を出た。

 


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