この世界の結末は?   作:ありくい

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べ、別に前回のタイトルつけ忘れてたとかじゃないんだからね!後このタイトルは考えるのが面倒くさくなったわけじゃないんだからね!


魔王と勇者の仲間探し②

 

≪魔王視点≫

魔王城地下にある拘置所。罪を犯したという疑いのあるものを一時的に留めて置ける場所。簡易的なベッドとトイレがある牢屋の中には、手足は拘束され、猿ぐつわを嵌められている人間がいた。 

 

これが、リースの言っていた人類の部隊だろう。全部で20人。よくもまあ、こんなにも侵入されていたものだ。もう少し国境警備を念入りにしないといけないな。

 

牢屋の監視をしている看守に中にいる人を一カ所に集めて貰った。その時の反応は様々で、諦めて素直に従うもの、少しでもと力を振り絞って抵抗するもの、焦点のあっていない目で何かを見つめるもの。私はその中で、リーダー風の男の猿ぐつわを外すように命じた。

 

「さて、貴様がリーダーか?」

 

「……」

 

反抗的な目から察するに、情報を与えないよう黙っているという所だろう。それならばと、看守達に命令して、全ての人間を個室に分けさせた。そして、尋問するようにと命令する。

 

「お前は、仲間を信じているのか?」

 

「……」

 

「このくらいは答えたっていいだろう。私個人の見解としては、何人かは裏切りそうに見えたのだが。どう思う?」

 

「…言うわけがない。俺達は固い決意の元集まった同士だ。裏切りなんてあるわけがない」

 

その後、私も適当に尋問しながら一人、別の命令を出した看守を待つ。およそ10分ほど、その看守がやってきて耳打ちした。

 

「魔王様。ご命令の通り魔王城を一周しましたが、これでいったい何がしたかったのですか?」

 

どうやら、この看守はこんな変な命令を律儀に遂行してきたらしい。何も考えず指示に従ってくれる部下は部下として素晴らしいので、リースに給料アップを命じておこう。

 

「それは気にしなくていい。お前はまだ尋問を受けていない人間の尋問をしてこい」

 

「はっ!」

 

そうして去っていく看守を見送りながら、リーダー風の男の方に向き直った。

 

「さあ、裏切り者が一人出たな」

 

「っ!そんなわけがない!出鱈目を言うな!」

 

前回では殺してしまっていたため、尋問で吐くのかは分からなかった。しかし、前の世界の諜報部隊が得たこの人間の部隊に関する情報があるので、こういう手段を取ることが出来る。

 

「出鱈目かどうかは貴様に教えてもらおうと思ってな。商業都市トルサの自警団代表トーニックよ」

 

「な、何故それを…。そうか、吐いたのか…」

 

トーニックは全てを察したような表情になってうなだれる。

 

「ここでいいことを教えてやろう。ここで、正しい情報を吐けば全員処刑を無しにしてやる」

 

そういって、一枚の紙をトーニックの前に置いた。

 

「これは…」

 

「魔法契約書だ。そちらでも使われているだろう?商業都市なのだから知らないなんて事はないはずだ」

 

魔法契約書には契約書の内容を破ると死に至るというこれ以上なくシンプルな魔法がかかっている。ただ、死ぬときに走馬灯の代わりに地獄の苦しみを味わうと言われている。真偽は不明ではあるがだいたいが恐怖に染まった顔をして死ぬので正しいのだろう。

 

「腕の拘束を外してもらってもいいか?」

 

「ほう。いいだろう」

 

抵抗されても殺せばいいので許可を出す。

 

トーニックは契約書を隅々まで見て、そして、契約のため、血を一滴契約書に垂らした。

 

「契約成立だな」 

 

私も血を一滴契約書に垂らす。

 

「どこから話せばいい?」

 

トーニックは契約通りに話そうとしているが、私はそれを制止した。

 

「それは後でいい。それよりも、一つ。貴様はこの戦争を終わらせたいか?」

 

契約書には質問には答えるとあるので絶対に答えないといけない。だか、これについては差別主義者でもないかぎり、意見は一致するはずだ。

 

「…当然だ。これ以上被害を出したくない」

 

「ふむ。それは人類も魔族も等しく被害の中に入っているか?」

 

「当たり前だろう!戦争のおかげで利益は出ているが、魔族からの注文がなくなったのは一部産業において致命的なのだ!」

 

「そこまで聞ければ十分だ。後はそこで看守の質問に答えておけ」

 

「は?お前は看守じゃ…っておい!どこに行くんだよ!」

 

トーニックを置いて、私は出て行った。後は、勇者を連れていけば協力者になってくれるだろうと確信を持って、私は寝室に向かった。

 

≪勇者視点≫

夜の森を駆け抜ける馬車が不意に足を止めた。そして、護衛の騎士が外に出てきた。

 

「そこのやつ!何をしている!」

 

彼が声をかけたのは、馬車の前に立つ魔族の家族。

 

「お願いします。どうか、どうか食料を我等に恵んでください!」

 

「ん?魔族ではないか!そんな奴らの戯言に惑わされるな!どうせ襲撃者だ!殺せ!」

 

そうして、戦いが始まった。 

 

騎士は馬車に人を残しながら一人が突っ込み、魔法で援護する。それに対して、魔族は全員が魔法で迫って来る騎士を集中狙いする。

 

「小癪な!」

 

魔法を剣で掻き消しながら進もうとするが、魔法の数が多くて中々うまくいかない。そんな中、隠れていた子供の魔族が影から突っ込んでいる人間に向けて魔法を撃った。

 

「リュート!」

 

魔法を撃っていた騎士が、突っ込んでいる騎士の名前を叫ぶ。しかし、リュートと呼ばれた騎士はそれには気づけず、既に魔法は目前にまで迫っていた。

 

今だな。

 

俺は飛び出て、新聖剣を見せつけるように使い魔法を切った。

 

「な、なんだ!…もしや貴方は!?」

 

驚く騎士を見ながら、魔族の家族へと旧聖剣を振るう。新聖剣はまだ慣れていないからね。怪我をさせないのにはこれが一番だ。

 

旧聖剣は魔法を纏わせられる。風魔法を纏わせて、魔族を木の枝に引っ掛けるよう吹き飛ばした。ちゃんと膨大な光のエフェクトも忘れずに。

 

あの後、軽く言葉を交わして騎士の人達には村に行ってもらった。そして、木の枝に吊している魔族を回収する。

 

「おーい、大丈夫かー?」

 

「お願いします、どうか、どうか命だけは!勇者様!」

 

おや?騎士が言ってたこと覚えてたのかな?

 

「なんでここに来たの?」

 

「食料が無くなってしまって…。森に逃げてきました」

 

「ふーん。生きたい?」

 

「生きたいです!」

 

「何をしても?」

 

「はい!」

 

生きるためならなんでもしますって感じかぁー。これは…いいね。

 

「いいよ。じゃあちょっとだけ我慢してね!」

 

「へ?」

 

俺は、旧聖剣の中に魔族を閉じ込めた。

 

この聖剣にはアイテムボックスという機能がある。アイテムを聖剣の中に入れておけるっていう機能なのだが、進化するうちに弱い生き物なら入れられるようになってしまった。

 

これほんとに聖剣か?

 

 

 

 

 


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