リコリス・リコイル 〜雑草にだって花は咲く〜   作:シコウ

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これは銃が千丁行方不明になるちょっと前の話。


黒服業始めました

駅前のロータリーの端に車をとめ、胸ポケットから出したココアシガレットを咥えつつ、『人生万事塞翁が馬』まったく、どう転ぶか予想などつかない物だな、とこの半年程度で何度も思ったことをまた考えてしまう。

こんなことになるとは誰が予想できただろうか?不幸な偶然もあるものだ。

 

お、待っていた彼女たちが来たようだ。相変わらず学生みたいだな。

 

「月岡先生ですね?よろしくお願いします。」『よろしくお願いします。』

 

青い制服の子が1人、ベージュの制服の子が3人。どうやら1個班のようだ。青の子は初顔だな。

 

「うん、よろしく。じゃあ行こうか」

 

側面に『月岡学習塾』『月岡設計事務所』とプリントされたバンに彼女たちを乗せ車を出す。

 

「セカンドさんは初めましてかな?」

「ええ、このたび831支部に配属になりました。井ノ上たきなです。」

「ボクは月岡圭、831の雇われ管理人だよ。」

 

831支部?配属?なんのことかと思われるかもしれないが、実をいうとボクは塾の先生じゃないし、彼女たちも学生ではない。

『DirectAttack』 通称DA、警察や公安とは違う極秘治安維持組織らしい。ボクのような下っ端はあまり詳しくはないが。

 

そして彼女たちはDAの実動部隊『リコリス』、学生風の制服は、集団で行動していてもまったく不自然ではない。よくできた都市迷彩服だ。今のボクたちも外から見れば学生と迎えに来た個人塾の先生にしか見えないだろう。まさか極秘暗殺組織の構成員だとは思わないだろうな。ボクも少し前までは陰謀論者を笑っていたがこうなるとは思ってもみなかった。

 

「先生、831では一般教養を学ぶと伺いましたが具体的には何を?」

「けーちゃんでいいよ。階級的にも君たちが上だし。たきなちゃんはずっと本部の寮だったよね?」

「はい、京都でもそうでした。」

「うちでは世間一般の高校生の生活、つまり外の寮や支部から831まで『通学』してもらう。あと東京の地理も覚えないといけないからね。詳しいことは831についてから。」

 

DA東京支部は主力を東京本部に置きつつも、都内各所に交番か駐屯地のような形でさらに支部と即応部隊を置いている。わが『月岡学習塾』もその一つというわけだ。街に溶け込むことや訓練施設では学べない一般常識なども身につけることを目的としている。

あと、DA倫理委員会(こんな真っ黒組織にそんな部署があるのだ!)が『10代少女が、施設に閉じ込められた生活を送るのはいかがなものか』と申し立てたことも、噂によればあるようだ。

 

「圭さんは元民間人と聞きましたが、本当ですか?」

「そうだよ。『見ざる、聞かざる、言わざる』余計なコトは見聞きしないほうがいい。こんな風になっちゃうよ?」

 

まったく、前2つを破ったばっかりにこんなことになってしまう。最後の1つを破ったら今度こそ消されてしまうな、気をつけなければ。そんなことを考えているうちに目的地に着いた。

 

「ようこそ、DA東京支部831支部へ」

 

 

 

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