「冗談きついぞ…中原さんよぉ…。」
どうしても『リコリコ』のメンバーに手渡しが必要な荷物があったので、伝えられた住所に来たが、これがカラオケ店か?ライトアップされた、古めかしい昭和の香り漂う西洋の城を模した建物…どう見ても未成年お断りの建物じゃないか。
一応中原さんに電話して確認してみるか。
「もしもし?着きましたけど合ってますか?ここどう見てもラブ…」
『カラオケ店よっっ!!』
「酒入ってます?誰がどう見てもラ…」
『ち・が・う!…乾杯も済んでるから早く来なさい、502号室よ。』
本当か?半信半疑のまま、アタッシュケースと手土産のホットスナックの袋を片手に入り口をくぐった。
うーん、中も外観通りといった感じだ。こういう場所って一人でも入れるんだな。えーと502、502っと。
「やあ皆さんお揃いで…楽しんでるところをすみませんね。ミカさんここにサインお願いします。…おや、その子は?」
いつものメンバーに加えて、この場には似つかわしくない小学生くらいの少女がいた。
「親戚の子のクルミだ。訳あってウチで預かっていてね。…クルミ、こちらは831支部管理人の月岡くんだ。」
ちょこんと頭を下げると、中原さんの後ろに隠れてしまった。『リコリコ』に突然現れた少女、クルミちゃんねぇ…。ウォールナットじゃないだろうな?奴は年齢性別不明のハッカーだ、その上何度も死亡説が流れている。しかし本部は信頼できる
まあ、ミカさんのことだからなにか考えが有るのだろう。不審感をおくびにも出さずに、
「そうですか。てっきり、相手に恵まれない中原さんがどっかから拉致してきたのかと思いましたよ。」
前に、母となるべき才能が云々と言っていたしな。
「たきなー、銃借りるぞー。つっきーお前も独身じゃろがいっ!!」
危ねぇ、酔っ払い怖えー。たきなちゃんも酔っ払いに
「
そういう問題じゃない。引鉄をカチカチいわせている酔っ払いを横目に、
「今月分の
ケースから一発取り出し、まじまじと見てみる。
本部で試射してみたが本当に当たらない。ボクの腕前もあるだろうが、威嚇射撃8発、必中投擲1回といったところか。
「千束のポリシーだからな。」
まあ、人それぞれ譲れない部分というのがあるだろうからな、たしか『命大事に』だったか。
「そうですか。それはそうとして、この店の造りまるで…」
「カラオケ店だ。」
えぇ…。でも本人が言っているし、そうしておこう。
そんな会話を交わして受領票をポケットに仕舞おうとすると、たきなちゃんが何か持ってきた。
「圭さん、ちょっとこれ見てくださいよ、なんですかね?」
そう言ってガラス張りの浴室からたきなちゃんが持ってきたのは金ピカの…助平椅子じゃないか。
うわぁ…実物は初めて見たぞ。設備の整ったラブ…カラオケ店だな…。
あっ、そんなところに腕を通しちゃいけません。
「この溝は一体何のために…、圭さん分かりますか?」
「さ、さあ…ホテルにはあまり泊まらないから分からないなぁ…。」
「先生は?」
ミカさんに振りやがった。
「アレだよ、風呂の蓋を置くための溝だ。なあミズキ?」
「そうよ、私達の世代には懐かしのアイテムよ。」
二人とも無茶があるぞ。
「ここのお風呂には、蓋がありませんが…。」
「「「そういうこともある。」」」
三人でハモった。
「ミズキと先生が知っていて、圭さんは何で知らないんですか。」
「ほら、ボクと中原さんとは干支の周回数が違うから、ね。言われてみれば昔実家にあった気がするな~。」
ある訳ねーだろ、こんなモン。どんな家庭だ。
「なるほど、昭和のアイテムですね。」
一応納得したのか、たきなちゃんは
(つっきー、831では何教えてたのよ?)
(無茶言わんでくださいよ。こんなの一般教養じゃないでしょう。)
冗談じゃない、そんなの教えてることが本部にバレたら、胴体と首がサヨナラチェーンソーだろうが。
(ミカさん、もっと上手い言い訳無かったんですか?)
(ん~、介護用品とでも言えばよかったか。)
確かにあるけどさ、それにしてもホテルに在るのは珍しいと思いますよ?
「大人三人も揃ってタジタジとは情けないな。DAでは性教育は受けないのか。」
受けるだろうけど含まねーだろ。知らないフリができるお子様はいいよな、自称幼女の
「そーか。しっかし、何のために回転するんだ?このベッド、知ってるか月岡?」
知らん。寿司屋だって回るんだ、ベッドぐらい別に良いだろう。
「まあ、本部に籠もり切りのリコリスは、大抵こうだから…それより月岡さんも一曲どう?最新曲が2000年だけど…。」
アレでも最近砕けてきたほうだと、苦笑いしながら千束ちゃんはマイクを渡してきた。
ふむ、