リコリス・リコイル 〜雑草にだって花は咲く〜   作:シコウ

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ストーカーの後始末

 今日は警察署に来た。もちろん仕事だ。

 この間の銃取引の件で偶然にも現場を写真に収めた一般人がいた、そして迂闊にもSNSに顔写真付きでそれを投稿、犯罪グループはそれを見つけ証拠を消そうと彼女を拉致しようとしたらしい。SNSは怖いねぇ。

 まあ、たきなちゃんと千束ちゃんのコンビがそれを阻止したそうだが。さっそくやるじゃないか。

 

 もらった資料と彼女たちからの報告書には住宅街、一般人の前での発砲とある、ストーカーの仕業にするのは無理があるな。上からはただの暴力団の違法取引に偽装せよ、とのお達しだ。リコリスの発砲はどう誤魔化せというのやら。

 ちなみに実行犯の尋問結果だが、大した情報は持っていなかったとか、どうやら使い捨て(ディスポーザブル)の駒だったようだ。民間の掃除屋(クリーナー)を使われて追跡が面倒だったろうに、無駄骨を折った情報部に合掌。

 

 さて、現場は掃除屋(クリーナー)が片付けるが、目撃者の一般人はそうもいかない。財団なんて組織は無いし、記憶処理剤なんて便利なものも無い。事件で警察が動かないというのも不自然なので、ボクが動くというわけだ。

 警察の懐の中でニセ刑事が聴き取り調査か、緊張するねぇ。

 

 借りた会議室で事件の資料を読み込んでいると、外からノック。どうぞ、と返事をするとドアから押上署の刑事、たしか阿部さんが顔を出した。

 

 「結月くん、篠原さんがみえたよ。」

 

 目的の人物が来たようだ。さて、迎えに行こうかと立ち上がると、阿部さんの後ろから女性があらわれた、この人がそうか。

 

 「こちらが本庁の結月くん。それじゃ、あとはよろしく。」

 

 阿部さん、同席してくれないんですか?そんな感情が顔に出ていたのかは分からないが、

 

 「おっさん2人に挟まれちゃあ、話しづらいだろう。俺は席を外すよ。」

 

 そうですか。まあ、事件のことを一般の警察官に聞かれるのもあまり良くないし、いいか。あと、ついでに言うとボクはまだ20代中頃だぞ、おっさんじゃない。

 

 「はじめまして、警視庁の結月です。捜査へのご協力感謝します。」

 

 差し出した名刺を受け取ったのは、巻き込まれた女性、篠原さんだ。女性同士にした方が話しやすくないかと思ったが、人材不足が理由でボクが派遣されたらしい、秘密組織の悪いところだ。中原さんでも連れてくればよかった。

 

 「早速ですが、今回の経緯の確認をしてもいいですか?」

 

 「はい、カフェで彼と写真を撮ったんですけど、そこにアレが写っていたらしくて。写真は錦木さん…助けてくれた女の子たちに言われて消したんですが…。」

 

 「大丈夫ですよ、彼女たちから受け取っています。これですね?」

 

 資料の中から篠原さんと彼氏だという男性のツーショット写真を見せた。リア充だねぇ、結構、結構。中原さんに見せたら『イチャついた写真をひけらかすからこうなるのよぅ〜!』とでも言いそうだ。まあ、それはどうでもいい。

 

 「ええ、そうです。」

 

 「この後ろのビルの中が取引現場っと。撮影時刻も教えてください。」

 

 撮影時刻はガス爆発の三時間前、リコリスの報告書通りか。他にも誘拐時の状況などを聞いたが報告書と差異はなかった。まあ、これは形式的な聴取だしいいか、必要な情報はリコリスと情報部が既に収集済みだ。

 

 「…なるほど、一緒にいた高校生に助けられたというわけですね。ストーカーだと思ったら実際は暴力団だったと、災難ですね。さて、何か聞きたいことはありますか?」

 

 「取引現場ってあの後ガス爆発がありましたよね?あれって何か関係が…?ああいえ…秘密だったらいいんです。」

 

 なかなか突いてくるじゃないか。

 

 「あれですか。ただの偶然ですよ、消防によると設備の老朽化が原因だとか。関わった暴力団員(武器商人)も全員逮捕(射殺)済みですし、誘拐犯も捕まっています。」

 

 日本の治安度は世界一、それを守るのは警察とDA、素晴らしいじゃないか。

 

 「あ、あと千束ちゃんとたきなちゃんが、銃を持ってたんです。」

 

 おっと忘れてた。

 

 「よくできてるでしょう?アレ、モデルガンですよ。キャップ火薬を使うやつ。最近の高校っていろんな部活があるんですねぇ。しかし彼女たちもすごい勇気だ。おもちゃで犯人たちに立ち向かうとは。」

 

 誤魔化せたかな?ちょっと苦しいか?

 

 「へぇ…そうなんですか。珍しい部活ですね。」

 

 一応納得してくれたようだ。

 

 「さて、今日はありがとうございました。また何かあればご連絡下さい。」

 

 署の正面玄関から彼女を見送ったあと、ココアシガレットを咥え一人心の中で愚痴をいう。

 なんとか切り抜けたか、しかし一般人の前で銃を抜くのは切にご遠慮いただきたい。

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