駅に着いた俺たちは、すぐに駅内にあるショッピングフロアに向かう。
「悠斗さんは、ここに来たことはあるんですか?」
「どうだろうね~?あの2人の活発さを考えると、来ていてもおかしくはないと思う。」
「あはは...。」
「でも・・・・・・なんとなく『懐かしい』という感覚が浮かぶことはないかな。」
「そう、ですか・・・。」
「まぁそんなに落ち込まないで。・・・・・・ってか、普通落ち込むなら俺の方なんだから、君が落ち込むのはおかしいと思うよ?」
「だ、だって・・・・・・悠斗さん、本当に気にしてなさそうだから・・・。」
「そりゃ気にしてないからね。」
肩から掛けていたカバンを手で持って、疲れたからなのだろうか?唐突にカバンの持ち手をデコに引っかけてしまっていた。
「・・・・・・何してるんですか?」
「うん?・・・・・・あぁ、なんかやってたわ。」
「小学校の時ぐらいしか見たことないですけど・・・・・・。」
「確かに、なんか変だな。」
俺はデコに引っかけていたカバンを肩に掛け戻した。なんでデコに掛けたのかは自分でも分からなかった。
「それはそうと、どこに行くの?」
「えっと・・・・・・ちょっと待って・・・・・・。」
聞いたら、倉田さんがスマホを取り出して画面を凝視していた。そして、『よし・・・!』と気持ちを入れ直したら、スマホをしまって俺の方を見た。
「ま、まずはゲームセンターに行きませんか?」
「いいけど・・・・・・誰からの入れ知恵?」
「えっと・・・・・・と、透子ちゃん・・・?」
「・・・・・・一応確認するけど、この後行く予定の場所は誰から教わった?」
「そ、それも透子ちゃんです・・・。」
「はぁ・・・。」
何故こうも俺が乗り気になれないのにはきちんとした理由がある。記憶を失った後、退院してから倉田さんが罪滅ぼしとして記憶を取り戻すことに全力で手伝ってくれている。最初は事故の現場とかだったけど、途中から『昔に行ったことがある場所・やったことがある事』を片っ端からやっていくようになっていった。だが、最近の問題はそれが彼女のバンドのメンバーの『
「うーん・・・・・・とりあえず、スイーツかなんか食べに行かない?」
「えっ?それって・・・・・・?」
「もしかして、スイーツ苦手?」
「い、いえ・・・・・・透子ちゃんのプランでは最後の方にあったから・・・・・・。」
「あぁ・・・。まぁ、
「そ、そうですか・・・。」
「倉田さんはどう?お腹空いてる?」
「えっと・・・・・・す、少しは・・・?」
「よし、それじゃあ行こうか?」
「は、はい・・・!」
俺は倉田さんの承諾を得ると、店内を歩き始める。そして、気になったスイーツ店に立ち寄り、2人でスイーツを食べるのだった。
「おいしい・・・・・・!」
「そうですね。」
「・・・・・・あの。」
「何?」
「楽しく、ないですか・・・・・・?」
「・・・・・・君の目的は、普段から楽しく生活してなさそうな俺を楽しませたいの?それとも、記憶を取り戻させたいの?」
「えっ?・・・・・・あっ!す、すみません・・・!」///
「・・・・・・まぁ、楽しいことを否定するような腐った人間じゃないから、いいんだけどね。」
恥ずかしくも苦笑いをする倉田さんは、それを隠して食事を進める。俺はそれを微笑ましい気持ちで見ながら食事を進める。
スイーツを食べ終えた俺たちは、再び店内を歩き始める。
「悠斗さん、この後はどうするんですか・・・・・・?」
「うん?うーん・・・・・・ノープラン。」
「の、ノープラン・・・・・・!?」
「ウィンドウショッピングって、こういう感じでしょ?目的もあんまり決めずにテキトーに歩いて、気になるのがあったらそこに立ち寄るって感じ。」
「た、確かに・・・・・・。」
「そういうことで──あっ。」
「どうかしましたか?」
「・・・・・・なんとなく、やりたいことが出来た。」
「ほ、本当ですか・・・!?」
「うん。ただ、一つ条件がある。倉田さんの全面的協力が必要なんだけど?」
「そ、それって・・・・・・記憶に関係ありますか・・・?」
「多分ね・・・・・・。あの2人から聞いた事ないけど、アレを見た途端にやりたくなったんだ。」
「わ、分かりました・・・・・・!」
俺はその店に立ち寄り、そこで売っている商品をいくつか買って、倉田さんと共に俺の家に行く。
「ほ、本当にするんですか・・・・・・?」///
「・・・・・・うん。なんとなく、身体が覚えている感じがする。細かい条件は違うかもしれないけど、家の中にもいくつか物があったから、記憶を失くす前にはやっていたんだろう。」
「お、お手柔らかにお願いします・・・・・・。」///
「じゃあ、そこに座って。」
「は、はい・・・・・・。」///
そして俺は自分の部屋に連れて来た倉田さんをベッドに座らせて、俺は椅子に座って・・・・・・スケッチブックにペンで描き始めた。
「・・・・・・。」
「・・・・・・っ!」///
「・・・・・・倉田さん、何を緊張しているか知らないけど、ただ座っているだけでいいよ。」
「は、はい・・・・・・!」///
俺は倉田さんを見てはスケッチブックに倉田さんを写していく。倉田さんが顔を赤くしながら緊張しているけど、俺はそんなのは一切気にしていない。