翌日の学校、俺は呑気に昼食を取ろうとカバンから弁当を取り出して机の上に置いた。その時だった。
「おいおいおいおい〜!悠斗さんや〜い!」
「なんでござんしょう、剣司さん?ってか、優里ちゃんも・・・・・・。」
「ちょっとお兄さ〜ん!この前のお出かけはどういうつもりなのかね〜?」
だる絡みしてくるウザい奴のようなことを言いながら俺の席に来ては周りの空いている席を借りて相席する。
「この前のお出かけ?」
「この前、学校帰りにましろちゃんと出かけたでしょ?ちょっと駅で過ごしたらすぐに家に連れこんだからビックリしたよ〜!」
「いや、これにはちょっと・・・・・・うん?なんでそこまで知ってるの?まさか・・・?」
「えっ!?い、いや・・・・・・それはそうと!」
「流すなよ。」
「なんで記憶を思い出すお出かけなのに、なんで家に連れ込んでるのよ!?」
「そうだそうだ!どうなんだ!?」
こっちの質問は聞いてくれる感じではなかった。ものすごくその部分に文句を言いたいんだけど・・・・・・。
「歩いていたら偶然絵画を見つけて、なんか絵を描きたいと思ったから。」
「だからって、家に連れこむなんてな・・・・・・なかなかやりおるな〜悠斗よ?」
「許可が降りているなら殴っていいかい?剣司くん。」
「俺だけかよ!?」
「ってか、私としてはましろちゃんを連れこんだのが一番驚いたけど、悠斗って絵を描いていたんだね?」
「なんとなく描きたいって思ったし、家にいくつか道具があったから。まぁ、スケッチブックには千切った跡があったから、描いても捨ててたんだと思う。」
「「えぇ〜〜〜!?」」
「な、何?」
「もったいねぇな〜!」
「そーだよ!絶対上手いのに〜!」
「見てないのによく自信持って言えるね・・・?」
そんな会話をしながら、昼食を済ませてから午後の授業を受けて、特に何も特別なことが起きることもなく帰った。
悠斗さんが絵を描き始めた週の土曜日。私はバンドが休みだから、会う予定は無かったけど悠斗さんの家に来ている。
(っていうか、なんでここに来てしまっているんだろう?約束はしてないけど、でも記憶を取り戻すためにはあの絵を完成させないと・・・・・・いけない、し・・・・・・。)
頭では記憶を取り戻すためと思っていても、心のどこかではそのことに対する躊躇いがあることに気がついてしまう。
記憶を取り戻してしまったら、今の悠斗さんがいなくなってしまう。不器用で、人見知りで、透子ちゃんの言われたことしかできない私と仲良くなってくれた悠斗さんが・・・・・・。
「っ・・・・・・。」
「あら?」
悠斗さんの家の前で悩んでいたら、悠斗さんの家の玄関から綺麗な女性が出てきた・・・・・・。