【一区切り】レメディオスソード   作:傀儡兵C

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地味パートが続く


エ・ランテル

 セシル達は山を降り、拠点であるエ・ランテルへと戻った。エ・ランテルは王国の東にある都市で、現在は魔導国の支配下にある。実り豊かで、防護面でも3つの城壁に守られている。

 この街は魔導国に支配されるようになって大きく変わった。街には亜人種も住むようになり、彼らを見ても刃傷沙汰にならないよう検問所には講義室が併設された。賄賂などは一切許されておらず、それを破った者には恐ろしい罰が待ち受けるとか……

 今も昔も人の出入りは激しいが、現在では魔導王配下のアンデッドに対する恐怖感や忌避感から活気は薄れている。

 

 そんな現状のエ・ランテルでセシル達は活動している。異形さえもいるため、レメディオスが暴れないか危惧していたが、一度来たことがあるということで落ち着いたものだった。

 このあたりはレメディオスが一皮むけたということだろう。

 

 冒険者組合にたどり着くと、カルカが静かに扉を開けた。支配直後には閑古鳥が鳴いていた組合だが、今ではそれなり程度には人数がいる。中にある全ての目がカルカに向けられるが、流石に元聖王女、落ち着いた様子を崩す気配は微塵もない。

 セシルの異常な戦闘能力に埋もれがちだが、“金鎖”のリーダーはカルカなのだ。威厳という意味ではセシルはカルカの影も踏めない。

 

 

「アインザックさん。ただいま戻りました」

「おお、カル殿。その様子では上手くいったようですな」

 

 

 組合長のプルトン・アインザックは顔に笑みを浮かべて、“金鎖”のメンバーを迎え入れた。魔導国の冒険者組合は他国の組合と異なり、魔導国に吸収された。

 そして“未知を探索する”冒険者を生み出すべく、今では魔導王の協力者となった。ちなみにセシルは、アインザックの白いヒゲとアフロの組み合わせに思いを馳せていた。

 

 

「南西の山の一つを攻略してきました。セシルさんが階段を作ってくれましたし、今後の行き来は楽になるものかと。見本になれば良いのですが」

「それと、あそこで採れた植物類がこれですね。モンスターはアゼルリシア山脈と大差ないようですよー。流石に鉱石の類は専門外なのでよく分かりませんけれど」

「流石はアダマンタイト級冒険者。鉱石についてはこれからの冒険者に鉱夫を連れて行かせて調査しよう。君たちだけに攻略させるのは心苦しいからな」

 

 

 “金鎖”の活動をもとにして、機運を盛り上げようという構想はアインズが立ててアインザックが実行しているものだ。

 わざわざ階段まで作ってきたのには練習場という意味合いもある。練習場といえば駆け出しの冒険者向けの訓練場も開設する計画だという。

 

 

「植物の類も信頼できる錬金術師を紹介しよう。いや、こちらから解析を依頼する形にすべきか……バレアレ薬品店が今もあれば簡単だったのだが」

「しかし山一つ調べるのにも大層な時間がかかるものだな」

「だからこそ、この国ならではの冒険者の仕事が増えるのだよ。あっさりと全てが判明しては先細りになってしまう」

「俺達は攻略するのには慣れていても、じっくりと根を張るような動きには不向きだしな。時間がかかるのも当然だろう、レメ」

「まぁ私の剣がそう言うのならそうだろう」

 

 

 ケラルトの採取物が入った袋を組合に収めた後、アインザックの勧めでしばらくここで時間を潰すことになった。アインザックは飲み物を用意して、セシルにすり寄ってくる。

 年齢の割に頑健なアインザックが近寄ってくるのは、かなり鬱陶しいのだが立場ある人を立てるぐらいにはセシルの常識も回復している。

 

 

「セシル君、この前の話は考えてくれたかね」

「剣技教官の話なら、俺よりレメの方が向いてますよ。俺の剣術は我流の喧嘩殺法ですからね。効率よく相手を殺せても、効率よく学べはしません。その点、レメは正式な訓練を施せる……まぁ人格面で少し問題は出るでしょうが」

「ふむぅ。そうか。モモン殿には頼めないし……では時々私に稽古をつけてくれないかね。それとラケシルにもケラ殿に指南を頼みたいところだ」

 

 

 ラケシルというのはテオ・ラケシルという人物で、現在は形骸化したエ・ランテルの魔術師組合で長をやっている人物だ。

 アインザックとラケシルは元が付く冒険者だが、今から復帰を狙っている。その個人的野望は不思議と爽やかさを感じさせるものだった。

 

 

「まぁ、暇な時なら良いですけど。その代わりカッツェ平野のこととか教えて下さいよ。後、その近隣の地域の調査許可も」

「カッツェ平野か。あそこは魔導王陛下がほとんど支配下に置いているそうだから、古い知識になるが……まぁ今でもアンデッドは出現するが、君にとっては軽い相手だろう?」

「そうとも限らないってことで期待してるんですよ。アンデッドが湧けば湧くほど出現する個体は強くなるそうですし」

「依頼も無しに強敵を求めるか。君達はまさに新世代の冒険者だな」

 

 

 加えてカッツェ平野には古い建造物の遺構などがあるという。そうした場所を調査するのも面白いのではないか。セシルはまだ見ぬ敵と邂逅し、謎を解いてみるのも悪くないと思っている。そして、そんな自分を見て仲間たちは喜ぶのだ。

 

 

「じゃあ、早速稽古と行きますか。アインザックさんの剣技を盗むチャンスかも知れませんし」

「お、お手柔らかに頼むよ?」

 

 

 一刻後、アインザックはあざだらけの姿で戻ってきた。

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