セシルはそれなりの戦いの後を
戦いの現場はセシルの戦いに巻き込まない程度しか離れていない。すぐさまたどり着く。カルカとケラルトは無事のようだが、レメディオスは横たわっているように見えて、セシルの胸は少しだがざわめいた。
「レメは無事か?」
「あ、セシル様。ええ、命に別状はありません。ただ、敵の悪あがきを受けて随分と痛めつけられたようです。
腹にフランベルジュで穴を開けられたのを冷静に話しているのも、カルカたちがこの世界での強者である証だが、痛みはそのままなはずである。
どうにも痛ましい気分になったセシルはレメディオスの腹に手を当て、魔力を発揮した。
「
その甲斐があったのか、レメディオスの吐息は安らいだものに代わり……ついでに癒やされすぎたのかカルカの膝の上で寝息をかきはじめた。
「……図太いのか、豪快なのか判断に困りますね。姉様は」
「普段のレメなら意地でも起きてそうだがな。余程打ちどころが悪かったんだろう……さて、ここは想像以上に危険なようだ。地図に記して一旦、撤収しよう」
信仰系前衛職として一人ならどうこうできる存在だが、仲間を連れてはそうはいかない。オーバーロードは範囲の広い魔法も使う。それに巻き込まれる確率は高い。
「ここは多分、魔導国自体が調査することになるだろう。探索の成果としては上出来だ。エ・ランテルに戻ろう」
「セシル様がそう仰るなら、そういたします」
“金鎖”のリーダーであるカルカだが、言外に足手まといになるということを感じ取ったのだろう。忸怩たる思いで決定をくだしているようだった。ケラルトはなんとも言えない目で頷いた。
「まぁ、さっきみたいなのがたくさん来たら困りますし。ここはそれが最善ですねー」
「ああ、そうだな」
雰囲気を軽くするようなケラルトの発言だが、似合ってはいなかった。ただ、カルカの心中をおもんばかってのことなのは伝わった。
こうして“金鎖”は成果ある撤退をした。
“金鎖”はエ・ランテルに戻り、冒険者組合に危険地域と報告した。特に建造物には近づいてはいけないという勧告も同時に出された。
夜中になるとセシルは
バルコニーの柵を背もたれにして、相手が
(すまん。王国の方に行っていてな。会議などで時間を食ってしまった)
(いや、報告書は送ったから、時間が無いようなら切るけど……)
(終わってから応じたから、すぐに声がかかったりしないだろう。大丈夫だよ)
セシルはカッツェ平野での探索の結果を短く詳細に伝えた。これにはアインズも驚きを隠せない。
(
(そうだけど、戦った感じじゃプレイヤーじゃない。現に普通に倒せたし。でもさオーバーロードには経験値を消費して同族を作り出すスキルがあるだろ? そんでもって正体不明の建造物が近くにあると来てる)
(俺たち以外のプレイヤーか、NPCが存在する可能性があるか、か)
(俺一人で突っ込んでも無駄だし、逆に空振りの可能性もある。何百年も大人しくしていたなら、これからも何もない可能性だってあるしなー。というわけで報告してみたわけだ)
(確かにレベル100案件だ。困ったなー。最低でも俺とお前含めて
(ギルドが健在ならそれでも難しいけどな)
考え難いが、ギルドの体裁を保っている場合、ギミックやギルド武器の脅威にさらされる。城攻めが難しいのはここでもユグドラシルでも同じだ。
(今やっている仕事が終わり次第、そちらへ戻るよ。あちら側がおかしいことをしないか、見張ってみてくれないか? 動きがあったら
(了解。見張るだけはしておくよ)