【一区切り】レメディオスソード   作:傀儡兵C

55 / 155
猫・猫

 入口にあった骨といい、ケット・シーの言動といい、この建物を作ったものたちは猫にこだわりがあったのだろうと推測はつく。自分の領域だ、好きなもので埋めたいというのも分かるのだが……はてさて。

 

 

「これも猫といえば猫なのかね……!」

 

 

 セシルの独り言にうなり(・・・)で返す白虎。どうやらケット・シーとは違い言葉を喋れる設定ではないようだ。だが戦闘行動に支障がないぐらいに知能があることは、ケット・シーを後ろにした配置でうかがえた。

 セシルも同じようにアウラを後ろにして白虎と対峙している。噛みつこうとする白虎の牙と口内の赤さに慣れない者は怖気づくだろうが、セシルは野生動物やモンスター相手で慣れている。直刀を顎肉に押し込みたいが、予想以上に牙が長くて上手くいかない。

 今更だが虎と人間が力比べのような格好で組み合っているのは、なんとも奇妙な光景だった。

 

 

「つばぜり合い……というより牙ぜり合いといったところか。押しきれないあたり、こいつもレベル100のNPCか……」

「余裕あるねぇ。あたしはどっち狙ったほうが良い? 個人的にはその虎が気になるんだけど……」

「他に動きがなければ、マジックキャスターが鬱陶しいので牽制してくれ。けど何か動かせるのなら、一気に邪魔な後衛を切り捨てたいかな」

「オッケー。ここじゃフェンは動けないから……入れる子は入ってきて! それじゃ、虎を足止めだー!」

 

 

 命令とともになだれ込んできたのはレベル70台の魔獣たちだ。セシルはなんとなくしか感じ取れないが、この魔獣たちはアウラのテイマーとしての能力で強化されている。それでも多少のレベル差はあるが、白虎でも手こずることは間違いない。

 

 

「今だ!」

 

 

 その間にケット・シーを叩く。強力な魔法を唱えようとするが、アウラのレインアロー「天河の一射」の一撃によって妨害される。発動に成功しても、一撃では倒れない。

 セシルは直刀を構え、全力でスキルを発動させる。

 

 

「キング・オブ・ペイン!」

 

 

 強力な一撃に加え、命中すれば各種ステータスの下降、さらには即死効果が付与されている。フェンサーのスキルでも最高の一撃だ。流石に即死には耐性を持たせているだろうが……威力の上昇だけで十分だ。

 未だに攻撃を加えようとしていたケット・シーは隙だらけだった。キング・オブ・ペインはケット・シーの首を捉え、宙から叩き落とした。

 

 

「シャー! このシーがご主人の留守を……」

 

 

 地面に叩き伏せ、通常攻撃とは比べものにならない攻撃スキルは硬い肉体へと食い込んでいく。とうとう首から血しぶきが上がった。さらに今のケット・シーは位置を固定化されている状態である。その隙を逃す手はない。アウラの強力な射撃がケット・シーの頭部を撃ち抜いた。

 ここに狂った生は終わりを迎えた。もしかすればそれは救いになったかもしれない。

 

 もう一方の白虎も数に押しつぶされた挙げ句、同格二人も加われば末路は決まっていた。

 

 

「ご苦労……ふむ、私も加わった方が良かったかな?」

 

 

 戦闘後、大治癒(ヒール)で自身とアウラのダメージを回復させていると、アインズがコキュートスとともに入ってきた。あっさりと決着したようだったが、乱戦と回避不能な魔法などでそれなりのダメージは負っていた

 

 

「まぁ、王様が出るほどでもなかったですよ。確かにレベルは高かったですが、能力の割り振りは随分とちぐはぐ……言ってみれば趣味的でしたね」

「ふむ。ロールプレイのギルドだったのかな」

 

 

 といってもアウラの魔獣たちはかなり傷ついていた。そちらの方も回復させていく。腐ってもレベル100の敵だったということだ。そうして、周囲に気を配っているとアウラがニカっとセシルに笑いかけた。

 魔獣たちも等しく回復させたことで好感を得ることができたようだ。

 

 白虎が降りてきたことからして、次の階層には既に何もいない可能性が高いが、準備を整えてから進んでいった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。