【一区切り】レメディオスソード   作:傀儡兵C

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竜王国編後
次の行き先は


 エ・ランテルの空き地……そこで二人の剣士が剣戟を交わしている。セシルとレメディオスだ。

 剣は刃引きされた訓練用のものだが、まともに食らえば骨ぐらい砕けてしまうだろう。だからこの試合は一定以上の力量を持った者のための訓練だ。

 剣に心得がある人間が見ればセシルがまったく本気でないことは見て分かるだろう。これは一方の身体能力が高すぎるため起こったことで、セシルは胸を貸していると言って良い。事実、セシルはほとんど受けに徹しており、剣を振るのは相手が駄目な動きをしたとき寸止めするぐらいだ。

 二人の訓練は一時間ほど続いた。

 

 

「駄目だ! もう腕が上がらん! 私の根性はこんなものだったのか」

「普通は決闘がそんなに長引くことは無いから、普通だって」

 

 

 師匠がいる方が伸びが早い……というが、模擬試合で経験値が溜まるかどうかはセシルには分からない。〈ユグドラシル〉ではそうしたシチュエーションもあったにはあったが……まぁ剣技を鍛えられることだけは確かだ。

 実はその面ではセシルの方が大きい。我流である身が、聖王国聖騎士の剣技をつぶさに観察できるのは大きい。訓練期間として短くとも、セシルの肉体なら無理矢理に再現可能だ。相互に影響を与え合える良い時間と言えるだろう。

 

 

「それにレメ、お前強くなってるぞ。竜王国へ行く前と比べれば、見て分かるぐらいだ」

「そ、そうか? 自分じゃいまいち分からんのだが……だとすれば嬉しいな!」

 

 

 竜王国での任務ではレメディオスは部隊長クラスを中心に相手をしていた。その結果として経験値が溜まりレベルアップしたのではないか……というのがセシルの推測だ。同行していたモックナックも大分腕を上げていたのも確認している。

 これまでは他者のレベルなど同格以外は気にしたことがなかったが……こちらの世界のシステムには謎が多いなとセシルは考えるようになった。

 

 

「さて、それでは仕事に戻るか……今度はどこへ行くのやら」

「そう言って結構楽しみにしているだろう? まぁ正式に任務が固まるまで、しばらくかかるだろうから我慢するんだな」

「……お前に我慢を説かれるとは……」

「どういう意味だ?」

「そういう意味だ」

 

 

 セシルはレメディオスに脛を蹴られたが、ダメージは入らなかった。

 

 エ・ランテルの冒険者組合もこの頃は人が増えた。国からの依頼という形式であるため、報酬でモメることはないし、全ての判断は自分たちに委ねられているため自由度が高い。人気がじわじわと上昇してきた感じだ。

 そうして騒がしくなった組合だが、一定の秩序が保たれている。カルカとケラルトがいるからだ。空気を和らげるカルカと引き締めるケラルトの組み合わせは効果的に作用していた。

 

 

「ただいま戻りました!」

「ただいま戻りましたー」

「おかえりなさい……というか休憩時間に鍛錬って戦士の体はどうなっているのか……それともデートでしたか? うっふ」

「ば、ばっかな、ケラ! 騎士の鍛錬は神聖なものだぞ!」

「デートねぇ……まぁ金はかからんのでデートで良いのではなかろうか」

「お前まで!」

「はいはい。休憩が終わったなら二人とも仕事に戻ってください。ケラはあまりからかわないように」

「はい。しかし、仕事といってもトブの大森林の調査はこの前、終わったからな。アゼルリシア山脈はドワーフの国との絡みがあるから、これ以上は国でやるだろうし……近くの山は他のパーティに任せている。俺たちがこれ以上、出しゃばることがあるかね?」

 

 

 現在のアインズ・ウール・ゴウン魔導国は直接支配している地域こそ少ないものの、圧倒的な影響力を持つようになっている。敵対関係にあるといえば人間種以外は殲滅すべしというスレイン法国ぐらいで、それすら表向きは開戦していない。

 未知を既知に変えるのが魔導国の冒険者といえど、エ・ランテル近郊にこれ以上方針を加えるところは無くなっている。

 

 

「そうした話になると、我々“金鎖”のような一部の冒険者は一時的に拠点を変えるという話になるかもしれません」

「竜王国の時みたいに援軍にでも行くのか?」

「いえ、もっと長期的にですね。西ルートならリ・エスティーゼ王国からアーグランド評議国に干渉するか……流石にスレイン法国は避けると思いますが。南にはエイヴァーシャー大森林もあります」

「東ルートなら?」

「バハルス帝国を拠点にトロールやミノタウロスなどの亜人種国家と交渉ができるかどうか探るか……あるいは素直にカルサナス都市国家連合と交流してもいいですね」

 

 

 セシルはカルカの声が一部固くなったのを感知した。西ルートなら彼女たちの故郷、ローブル聖王国も近い。帰りたいだろうな、とそう思うし、できるなら帰してやりたいとも思う。だが、現状では不可能だ。それが魔導国との契約であり、多数の守護者を抱える魔導国にセシル一人では対抗できないのだ。まぁモモンガもといアインズとの奇妙な縁もあるので、積極的に敵対したくもないのも本音だ。

 

 

「話を聞いている限りはバハルス帝国じゃないか? 王国は属国化している途中なんだから」

「そうですね。帝国は属国化した際に冒険者が大量に離脱したようですし。国内もまだ調べ終わってないでしょう」

「はぁ……流石はカル様、色々と考えてらっしゃる」

「姉様はそういう予想はしませんものね」

「しない! どうせそのときになってみないと分からないからな!」

「まぁ実際に依頼が来ないと動けないから、レメの方針も間違っちゃいないが……それで? その話をするべき組合長はどこへ行ったんだ」

「属国へ冒険者を派遣していいか、お伺いを立てに。なので東行きでしょう」

「感心してたのに、とんだマッチポンプだった」

「ポンプ……?」

「こっちの話。それにしてもトロール国とかと、仲良くなれる気がしないな」

 

 

 しばらく前のビーストマンの国との戦闘が思い起こされる。行くとしても隠密活動だろう。

 結局は予想どおりにバハルス帝国行きが決まるのだった。

 

 




世界アイテム「サザエさん時空」が発動した
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