土御門有馬の規格外義息と主人公が行く   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第三話 転機

 

紅緒「……居ない」

 

時刻は朝の5時

まだ日が昇るには早い時間に、私は起き、昨夜ルームメイトとなった彼、焔魔堂ろくろの部屋に来たが、部屋には居なかった

 

紅緒「……」

 

昨日…彼に初めて会った日

彼の見せた圧倒的なまでの力に、私の中で彼への対抗心が湧き上がり、彼を早朝のトレーニングと言う名のケガレ祓いにつれていこうと考えていたのだが…

 

紅緒「……」

 

いないなら仕方がないと

私は寮を抜け出し、禍野へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ろくろ「よう、おはよう紅緒。お前も朝のトレーニングか?」

 

紅緒「!」

 

禍野へ着いた私は驚きのあまり声が出なかった

 

彼が禍野に居ることにではなく

 

彼の周りには数多くのケガレが祓われていたからだ

 

紅緒「…これだけの…ケガレ……一体……何体祓った…の」

 

ろくろ「さあ…100体超えた当たりから数えるのが面倒でやめたから……それより、お前もトレーニングがしたかったのか?…なら生憎、今の町にはほとんどのケガレはいない」

 

紅緒「!ど…うしてそれが…わかる…」

 

ろくろ「この街のケガレはほぼ狩りまくったからな……後は俺の呪力探知でこの街一帯を調べたが、後残ってるのは雑魚ばかりだ」

 

紅緒「呪力探知…?」

 

ろくろ「ああ、俺はガキの頃からこの能力が周りよりも高くてな、人間ケガレに関わらず、呪力を持つものを広範囲で感じ、探知することができる。本気出せばこの町の外も探知できる。昨日お前と出会ったあの橋に俺が居たのは、お前の呪力を探知したから来たわけだ」

 

紅緒「そんな…ことが…」

 

ろくろ「まあでも、お前もトレーニングがしたいなら少し遠くなるが隣町まで行けばケガレがそこそこいるから…今から行くか?」

 

紅緒「……!」コクッ

 

そう彼に言われ、私は彼についていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ろくろ「お前…そんなに食えるのか?」

 

紅緒「…余裕…」

 

隣町までケガレ狩りをしてきた俺達は、町に戻って来た頃には朝日が登り始めており、外を歩く人の数が増えていた

 

動いてきて腹が減った俺と紅緒はちょうど近くにあったコンビニで朝食を買ったのだが…

 

ろくろ「朝食のはずなのに思いっきしデザート食うのはどうなんだ?」

 

紅緒「…おはぎは…もち米でできている……だから実質…『ご飯』になる…からセーフ…」

 

ろくろ「それは暴論じゃね?」

 

俺達は近くの公園のベンチで朝食を食べている

俺は普通にサンドイッチとおにぎりを買って食べているが、紅緒はなぜかおはぎを買った

 

……それも大量に……軽く30個は超えてるぞ

 

ろくろ「お前…そんなにおはぎが好きなのか…?」

 

紅緒「……おはぎは…私にとって……日本人で言う…お米に当たる存在……毎日必ず…食べないと…気がすまない……」

 

ろくろ「お米っていうか…まあもち米だけどな……そんなにおはぎが好きなら……この町にある和菓子屋教えるから今度食べてこいよ」

 

紅緒「!」

 

ろくろ「そこの店のおはぎは絶品で、俺も時々食べたりするからさ」

 

紅緒「…後で…教え…て」

 

ろくろ「おう」

 

おはぎを食べている紅緒の顔はとても幸せそうだった

 

そして余裕と言っていた通り、僅か数分足らずで30個以上あったおはぎは全て紅緒の口の中へ消えていったのだった

 

紅緒「あの…」

 

ろくろ「ん?なんだ」

 

紅緒「どうして……どうして君が…兄様の事を…」

 

ろくろ「!」

 

そうだった……昨日ついぼやいてしまったけど…あれ……言わないほうが良かったやつだった

 

紅緒「教えて…なんで君が兄様を知っているの…」

 

……

 

ろくろ「そうだな……お前は…『雛月の悲劇』…は知っているな?」

 

『雛月の悲劇』

かつてこの町に存在していた雛月という陰陽師候補生養成寮が存在していた

だが、今から2年前…禍野から現れた複数匹のケガレにより、そこにいた候補生18人ほぼ全員が犠牲になった……表向きは

 

紅緒「ええ…私の兄……いじか(石鏡)悠斗(ゆうと)は……雛月寮にいて…そのまま…」

 

ろくろ「その雛月の悲劇……ほぼ全員が殺されたって聞いてたか?」

 

紅緒「…でも確か唯一生き残った候補生が居たと…聞いてい………まさか!?」

 

ろくろ「……ああ……俺がその唯一の生き残りだ。悠斗のことはよく知っているよ……なんてったって、俺が雛月寮に居たときに唯一渡り合った男だったからな。お前のことは、生前悠斗からお前の名前聞いてたから、昨日お前が名前教えてくれたことで思い出したんだよ。悠斗には双子の妹が居たこともな」

 

紅緒「!」

 

ろくろ「お前と悠斗の親のことも……実家の化野家のことも聞いていたよ。8歳の頃、ケガレに両親を殺され……化野家は代々女が当主を務める家系だったため、お前は残り、悠斗は父方である石鏡家に引き取られたが、やがて雛月寮へと流れ着いた……そう聞いている」

 

紅緒「そこ…まで知って……いた…のね……あの…雛月で起きた悲劇…詳しく…教えて……欲しい…」

 

ろくろ「悪いな…それは出来ねえ。アレは俺にとってはトラウマでしかないし…あまり他人にベラベラ話していい内容じゃないからな…」

 

紅緒「…!…そう…ね……ごめんなさい……」

 

紅緒は俺に謝ってそれ以上のことは聞かなかった

……無理もない…兄が亡くなる事になった事件の話…身内なら聞きたくもなるか

 

ろくろ「……ただ、生前…雛月寮が無事だった頃の悠斗の話ならしてやれるが……聞きたいか?」

 

紅緒「!」

 

ろくろ「聞きたいみたいだな。なら話してやるよ。その代わり、お前と一緒に暮らしていた頃の悠斗の話聞かせてくれよな」

 

紅緒「!」コクッ

 

そこからは俺と紅緒の悠斗の話が始まった

 

紅緒は化野悠斗だった頃のアイツを

俺は石鏡悠斗だった頃のアイツを話した

 

ろくろ「とにかくよ、アイツはいつも上から目線で常に誰とも組もうともしねえし自己紹介の時も何が『低いレベルに合わせるつもりはありません。馴れ合うつもりも全く無いですがどうかよろしくお願いします』だ!馴れ合うつもりないならわざわざ他人に喧嘩売るような事言うんじゃねえよ!」

 

紅緒「兄様…(汗)」

 

ろくろ「というかお前の話に聞いた悠斗は俺の知っている性格じゃなかったんだな」

 

紅緒「兄様はいつも…優しくて……正義感が強くて……陰陽師として尊敬でき…る…偉大な兄…だった」

 

ろくろ「………本当、俺の知っているアイツじゃねえなあ……あ、けどアイツああ見えて結構負けず嫌いで子供っぽいところあったこと知ってるか?一回俺と悠斗の師匠怒らせたことがあってさ、そのときに蔵の中で3日サバイバルしたことがあってさ、アイツ意地張って俺より先に出ることは無いとか抜かしていたから、結局出たの一週間後だったわ」

 

紅緒「フフッ!…それ…君も一週間出なかったって…ことよね……君も兄様と同じ位負けず嫌いだったのね…フフフフッ!……兄様も私と勝…負していたとき…子供っぽい理屈で…負けを認めなかったことがあったわ…フフフフッ!」

 

と、ここで初めて紅緒が笑うところを見た

 

最初悠斗の話を聞いていたときは表情が緩んでいて、兄の子供っぽい所が可笑しかったのかついつい笑ってしまったようだった

 

紅緒「…!アレ……なん…で…?」

 

気がつくと、紅緒から涙が溢れていた

 

そうか…そうだよな

亡くなった尊敬する兄の生前の話をしたことで、生きていた頃の兄と過ごした思い出が蘇り、懐かしさと寂しさを感じたんだな

 

ろくろ「……」

 

思えばこいつも可哀想な奴だな

両親を亡くし、更には兄も亡くし…天涯孤独の身なのだから

俺も物心ついた頃には両親は居なかったらから、俺にとっては居ないことが普通だったが、こいつは…

 

紅緒「……!」

 

気がつくと俺は、泣いている紅緒の手を握った

 

ろくろ「泣きたいなら泣きな。寂しさも悲しみも、涙と一緒に吐き出しな」

 

俺がそう言うと紅緒は更に泣き出し、溜め込んでいたものを吐き出した

 

紅緒「゛う゛っ゛……゛兄゛様゛…!…゛会゛い゛た゛い゛で゛す゛!゛な゛ん゛で゛さ゛き゛に゛い゛っ゛た゛の゛で゛す゛か゛!゛……゛ま゛だ゛話゛し゛た゛り゛な゛い゛で゛す゛よ゛!!」

 

ろくろ「……」

 

そんな紅緒を見て、心を締め付けられた様な気分になった

 

………こいつには……本当のことは…知らないでほしい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ろくろ「落ち着いたか?」

 

紅緒「…は…い………見苦しい姿を晒して…申し訳…ございま…せんでし…た」

 

ろくろ「別にいいよ。……陰陽師として生きていくからには、辛い現実もある…目を背けたい光景だって見なきゃいけないときがある。お前は…家族をケガレに殺されてもなお、怯えず…前へ進んで行こうと頑張ってるんだろ?……それってさ、かなり立派なことだと思うぞ。多分あの世にいるお前の家族も、紅緒を誇りに思っているよ。きっと」

 

紅緒「!」

 

ろくろ「お前みたいな逃げずに立ち向かう勇気を持つ陰陽師…俺は好きだな」

 

そう言い俺は紅緒に向かって手を出し、

 

ろくろ「改めて化野紅緒……お前を歓迎する。これからも互いに、この理不尽で残酷な世界を、少しずつ正していけるよう、頑張ろうぜ?頼りにしているよ、紅緒」

 

紅緒は俺の言葉に驚きの表情を浮かべたが、やがて笑顔になり

 

紅緒「こちらこそ……頼りになります……それから……ありがとう…ろくろ」

 

俺と握手するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ろくろ「おはよう爺ちゃん。それとただいま」

 

紅緒「おは…ようご…ざいます…た…だいま…戻りました」

 

善吉「うぉ!ろくろに紅緒ちゃん!ふたりしてどこへ行っておったのじゃ!」

 

このメガネをかけた老人は音海 (おとみ) 善吉(ぜんきち)

俺たちが住む寮の寮長であり、繭良の祖父だ

 

慎之助「ろくろは例のごとくトレーニングなのはわかるけど、紅緒さんも一緒なのはなんで?」

 

篤「まさかと思うけど、ふたりで早朝デートしてきたわけじゃないよな!?ろくろ!」

 

今俺に声を掛けてきたこの2名は星火寮所属の陰陽師、慎之助(しんのすけ)(あつし)

 

ろくろ「朝のトレーニングしていたら偶然こいつと会っちまったからそのままトレーニングとコンビニで朝食、ついでに町の名所や地理を軽く教えてあげただけだ。それと篤、俺が女子と一緒にいるたびにいちいちデートだか付き合ってるのかだとかうるさく突っかかるな、そんなんだからモテねえんだよ」

 

篤「ああ!?テメェ喧嘩売ってんのか!買ってやるよかかってこい!!」

 

ろくろ「お、なんだやるか?俺に今まで一度として勝ったこともないのにまたやるか?」

 

亮悟「篤、あまりろくろに突っかかるな。それとろくろも挑発するな」

 

そして俺と篤の喧嘩の仲裁に入ったのはこの寮所属の陰陽師年長者の椥辻(なぎつじ)亮悟(りょうご)

一応俺の兄貴分に当たる存在でもある

 

ろくろ「へいへい…あ、それと爺ちゃん。さっき寮の近くでヤの付く職業の奴らが人を探していたんだけど」

 

善吉「うん?なんじゃその探し人は?」

 

ろくろ「いやそれがさあ…特徴は『背がやたら高く』て『メガネかけて』いて『女みたいに長い髪』で『上半身裸』で『下半身パンツ一丁』の男らしいんだけどよ…」

 

善吉「なんじゃそりゃ、どこの変態じゃ。そんなの居たら一発でわかるぞ」

 

ろくろ「だよなあ…見つけたらとりあえず110番でいいかな…!」ゾクッ

 

爺ちゃんに話していたその時だった

 

突然庭の方から一瞬馬鹿でかい呪力を感じ、俺は駆け出した

 

あまりにも一瞬だったため、これに築けたのは高い感知能力を持つ俺だけだったが、俺が突如駆け出したことに疑問を抱きながらも紅緒達もついて来る

 

そして庭に着くと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンツ一丁男「やあみんな!はじめまして!!僕は総覇陰陽連陰陽頭『土御門(つちみかど)有馬(ありま)』だよ♪」

 

『背がやたら高い』

『メガネかけている』

『女みたいに長い髪』

『上半身裸』

『下半身パンツ一丁』の男

 

更には自分は陰陽頭と名乗っている不審者が立っていた

 

その不審者を前に俺は冷静に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ろくろ「とりあえず、110番でいいよな?」

 

有馬「いや待って君ー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【キャラクターズファイル】

化野(あだしの)紅緒(べにお)

ろくろと同い年の本作のメインヒロイン

実力と性格は原作通り

原作との違いは序盤の時点でろくろに対して高い好感を抱いており、個人的にろくろのことを気に入っている

 

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